すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

杉並「放射線シンポ」(②)「生活習慣による発がん」も「原発事故・放射線被曝」も同じ?!

2011年08月20日 | 杉並田中区政批判

シンポジウムに集まった人々は何を聴きたくて参加したか? 

  7月30日の杉並での「放射線に関するシンポジウム」に参加した人々のほとんどは、いまだ収束していない福島第一原発事故が排出している放射性物質による放射能汚染の拡大、放射線被曝の危険への危機感と不安から真実の情報と健康上の対策を求めて集まった人々だ。とりわけ、ニュースやインターネットで福島の子どもたちに実際に発生している甲状腺被曝の事実と発がんの危険や子どもたちや妊婦をはじめ全県民が高線量の放射線にさらされている福島の現実を見聞きし、胎児や子どもの将来への不安から参加している若い母親は多い。

杉並区による放射線シンポジウムは何の目的で開催されたか? 

 

 しかし、杉並シンポジウムは、参加者の想いとはまったく逆に、福島の子どもたちや住民がさらされている危険に蓋をしひたすら隠蔽し、フクシマを見殺しにし、さらに放射線に関する真実の情報と対策を切実に求めている参加者に対して「この程度の放射線は健康に影響がない」「過剰に危険視してストレスを抱えるほうがもっと健康によくない」というデマを流しこみ、すりこむための目的だけで行われている。パネラーの講演の内容もひたすらこの目的にそって「放射能汚染と放射線被曝による危険」を薄めに薄めて事実上否定し、他のリスク要因と同列かそれ以下のリスクに過ぎない問題として意図的に軽々に扱い、「放射能とのつきあいかた」「放射線を前提にした生き方、考え方」の問題、「生活習慣・生活環境」の問題にすり替えることに終始した。いや、もともと、「放射能汚染と放射線被曝の危険」議論を封殺するためのデマゴーグの役割を果たすパネラーとして杉並・田中区政によって選び抜かれたのが、加藤和明であり、津金昌一郎だったと言った方が正確である。

二人目のパネラー・津金昌一郎と講演内容について

 二人目のパネラー・津金昌一郎については、広報すぎなみ紙上では『放射線の健康影響、特に放射線と発がんなどについて、医学的立場から』と講演テーマが公表されていた。津金の場合には講演で、確かにこのテーマについて語った。しかし、その内容とは、「福島第一原発事故による放射能汚染と放射線被曝の危険」という誰もが抱いている不安と危機感に対して、驚くほどに緊張感に欠けるものであり、発がんや生活習慣の一般的話に終始した。喫煙と発がん、飲酒と発がん等の疫学的研究・統計結果と放射線被曝による発がんの危険を同じ次元で比較・対照し、「生活習慣によって癌(がん)になる人もいれば癌にならない人もいる」という一般的な癌予防(論)のおしゃべりだ。シンポジウムを聴きに来た人々は禁煙・節煙や禁酒・節酒、「生活習慣病」の予防の話を聴きたくてシンポジウに参加したわけではない。放射能・放射線は、被曝すれば確実にDNAを破壊し、一度に高線量を浴びれば死亡や重大な障害を生じ、低線量でも晩発性の癌や障害、さまざまの健康被害を発症する。この人体と健康、とりわけ子どもと妊婦にとってのおそるべき危険の問題について専門家の助言を聴きたくて参加しているのだ。しかし、津金の口からは、医学の専門家、がんの専門家であるにもかかわらず、この参加者や私たちの切迫した危機感と問題意識に応える内容は、まったく語られることはなかった。この津金は、仮に福島に呼ばれたら何を語るのか。そもそも国立がん研究センターの要職にあって、福島原発事故の前に、同センター柏東病院でもたびたび講演しているが、その柏は現在関東圏の有数の高放射線量のホットポイントとなっている。その柏でも杉並でしたような生活習慣上の癌予防の話をするというのか。

津金もまた福島第一原発事故が起きてから「放射線被曝の危険」否定の政治的発言を行っていた!

 加藤和明は3月21日に緊急声明を出していたが、津金昌一郎もまた「福島第一原発事故による放射能汚染・放射線被曝の危険」を否定するという目的のために重大発言を行うという一石を投じている。以下は5月15日21時23分のNHKニュースの記事である。(※記事中の字は当サイト責任で付したもの)

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放射線と生活習慣 リスクを比較<o:p></o:p>

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射線の影響に関心が高まるなか、1年間に浴びても差し支えないとされる量の100倍に当たる100ミリシーベルトを被ばくしたときのがんの発症率の増加は、野菜不足や受動喫煙の場合とほぼ同じだとする調査結果を、国立がん研究センターがまとめました。

 

 国立がん研究センターでは、放射線の影響を正確に理解してもらおうと、広島と長崎で続けられている被爆者の追跡調査と、センターがこれまで行った生活習慣についての研究を比較しました。その結果、1年間に浴びても差し支えないとされる量の100倍に当たる100ミリシーベルトを被ばくしたときのがんの発症率は、通常の1.08倍に増加し、野菜不足や受動喫煙の場合とほぼ同じでした。また、200ミリシーベルトから500ミリシーベルトの放射線を浴びたときのがんの発症率は、運動不足や塩分の取りすぎとほぼ同じく、通常の1.2倍に増加していました。喫煙や毎日3合以上の酒を飲む習慣のある人と同じ程度の、通常の1.6倍にまでがんの発症率が高まるのは、2000ミリシーベルトの放射線を浴びたときだったということです。国立がん研究センター予防研究部の津金昌一郎部長は「被ばくを避けるために、外出を控えたり野菜を食べなかったりすると、逆にがんのリスクが上がるおそれもある。過剰に心配せずに生活してほしい」と呼びかけています

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  津金昌一郎が杉並のシンポジウムでパネラーとして強調したのも、この前掲NHKニュースでの津金発言部分(前掲赤字)だ。「放射線に対するストレスこそは強力なリスク要因。適度のストレスは必要だが、過度だと“猛毒”」と「放射線被曝の危険」に対する転倒した逆デマを放言する加藤和明とまったく同じことを言っている!シンポジウムでの津金講演の詳細については同シンポジウムで配布されている以下の説明資料のpdfを参照。

津金昌一郎 放射線と発がんリスク

http://www2.city.suginami.tokyo.jp/news/detail/11547/tsugane_setsumeisiryou.pdf

ごらんになれば津金の講演の意図は明白です。

1、「がんのリスク」として「放射線、ダイオキシン、生活習慣」を同列化

 ここで疫学的統計で加藤がごまかしているのは、「ダイオキシン」は化学反応由来物質であり化学的に対応できる枠内、いわゆる「生活習慣」は個人の生活範囲の枠内に属する問題であり、解決や予防の処方箋・対策があるのに対して、「放射線」は個人の生活外部からしかも化学的には対応できない次元から人間にがんや障害をもたらす《予防できない危険》であるということだ。放射線の危険に対する対策とは、チェルノブイリが示す通り、避難、保養、医療を確保するしか道はないのだ。

  さらに津金は疫学的根拠に基づくと言っているが、放射線被曝の恐ろしさは、いつどんな危険をもたらすかがわからないという意味で切迫した対処が求められている問題であり、10年、20年、30年、40年と疫学的統計を整えてから対処するといったような悠長なリスク要因ではないということだ。子どもや妊婦(胎児)の場合には福島で現に検査を実施した1080名の子どもの半数から甲状腺被曝が判明しているように今後がんが発症する可能性が高い危険であり、さらに晩発性の場合を考えれば、10年後、20年後、30年後の発現の危険は、被曝させない、被曝を減らすという、《今が水際》という危険だということだ。真実、真摯な疫学的統計・分析というならば、ダイオキシンや生活習慣の発がんリスクを羅列するより、水俣病こそあげるべき負の教訓ではないのか。水俣病にも、チッソの廃液排出を原因として断定し原因をたちきるべき《今が水際》という瞬間があったのだ。

 津金の論は、原発(核)と原発事故がひきおこしている放射能汚染・放射線被曝の危険を、他の人体・健康にとってのリスク要因と同列化し一緒クタにすることで、危険視することに反対し、逆に大したことではないと強弁するためのイカサマにほかならない。

2、「がんになりやすい生活習慣・生活環境」・・・これが放射線による発がんへの対策だとでもいうのか?! 

  津金昌一郎の著書には『がんになる人、ならない人』というのがある。その考え方を福島原発事故という衝撃的事態で突然、放射能汚染・放射線被曝の危険にさらされている福島の人々、全国の私たちに適用している。これはもう、ふざけるな、許せないという話だ。喫煙をやめ、飲酒をやめ、野菜を食べ、生活習慣を改めれば、放射線被曝によるがんにも対抗できるとでも言うのか。煙草を吸わない人、酒を飲まない人は放射線を浴びても大丈夫だ、がんにはならないとでもいうのか。そして何よりも、この「生活習慣・生活環境」論には、いまもっとも危険にさらされている子どもたちの問題はすっぽり欠落、意図的に抹殺されているのだ。

3、「30歳で放射線を100㍉シーベルト被爆した場合にがんで死亡する生涯リスクは、放射線被曝がない場合にがんで死亡する生涯リスクの20%に対して1%多くなる(※津金が言いたいのは『1%多くなるだけに過ぎない』ということ)」

 要は、 津金は、放射線被曝しても、被曝しない場合よりも、ほんの少しがんによる死亡率が上がるだけで基本的に大差ないということを言っている。だから大騒ぎするな、というのが津金の論旨であることは言うまでもない。

4、「放射線被曝量をゼロに近づけようとすることでより大きながんのリスクを背負うことのないようにバランスをとれ」?!

 津金は、はっきりとこのように言っています。

「被曝量をゼロに近づけようとしてとった対策によって下げられるがんのリスクよりも、より大きなリスクを背負うことがないようにバランスをとることも大切です。そして、がん予防にだけ偏り過ぎるのも必ずしも得策ではありません。他の生活習慣病、疾病予防も含めて、総合的な健康の維持、増進をめざすことが重要です。さらに言えば、生活の質、人生の楽しみとのバランスを考慮する冷静さも必要です」

 津金は、やれ線量測定だ、やれ除染だ、やれこの食べ物は汚染されてるから食べてはならない等々でリスクをゼロにしようとするほうがもっと大きなストレスになりリスクを高くする、生活習慣を改善し、生活の質を高め、人生を楽しむということこそ、最重要の予防だとまで言っています。これは実際には、フクシマをなきものにするということです。福島原発事故などなかった、放射能汚染や放射線被曝など起きていないというふうに考えてみたらどうか、生活と人生を楽しめ、などということが許せるか。

 これがおびただしい被曝者を生みだし、いまなお放射能が降り注いでいるときに、人間のいのちと健康を守ることが使命である医学者の言うことか!とりわけ放射線被曝している、またその危険にさらされている福島をはじめとする子どもたちの命と健康、将来を何だと思っているのか。加藤和明にせよ、津金昌一郎にせよ、福島現地で自分で生活してみろ、自分の子や孫をそこで暮らさせるということがお前たちはPhoto_3できるのか。

原発再稼働・放射能安全デマの田中区政を徹底的に弾劾しよう!放射能から子どもたちを守れ!すべての原発いますぐなくそう!

 7・30杉並「放射線に関するシンポジウム」で明らかになったことは、田中区政、田中良杉並区長こそ、原発再稼働・放射能安全デマの先兵であり、張本人だということにほかなりません。そうでなければ、加藤和明や津金昌一郎のような人物を「放射線に関するシンポジウム」パネラーとして招くことはあり得ない。反原発・脱原発の運動が、放射能汚染・放射線被曝の危険の拡大のもとで杉並でまきおこること、それを叩き潰すためにこのようなトンデモナイ連中に講演をさせ、シンポジウムを開いた。この原発再稼働・放射能安全デマの杉並区の責任を徹底的に追及しよう。母親、青年学生先頭に、そして何よりも田中区政の支配する区職場の正規・非正規全職員が、全杉並の反原発・反放射能の大運動にたちあがろう。9・11ー9・19反原発の大行動に立ちあがろう。


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