すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

「子ども・子育て新システム」に絶対反対!現場から怒りの批判を

2011年02月03日 | 保育民営化(幼保一体化)に絶対反対

子育て・保育・幼児教育の現場から怒りの批判を

  ・・・・シリーズ・実践編(第一回) 

 今国会に幼保一体化=民営化の法案上程

 1月24日に政府は、昨年6月発表の「子ども・子育て新システムの制度案基本要綱」に基づく幼保一体化・こども園法案の通常国会上程を明らかにしました。現行の幼稚園・保育所の廃止とこども園への移行の期限は定めないものの、移行した施設には運営費補助金を手厚く上積みし財政支援で優遇するというものです。「バスに乗り遅れたら後でカネで泣くことになるぞ」とおどして、補助金問題で自治体と施設(幼稚園、保育所)を揺さぶり、自治体にこども園・幼稚園・保育所の整備を促し、こども園への転換に誘導しようとしています。

 「子ども・子育て新システム=幼保一体化・こども園」法案の骨子

 上程される法案では、 これまで文部科学省・厚生労働省の別々の所管だった補助金を幼保一体給付勘定に、内閣府所管で一本化し、2013年度には同法に基づく子ども家庭省に一元化する、 自治体が実施義務として行う現物給付と保護者の収入に応じた負担というこれまでのありかたを廃止し、利用者と事業者との直接契約によるサービス給付(売買)と利用券制度による利用者補助方式に切り替え、 新システムの運営の要の位置を担う株式会社(企業)の参入を促進するために、開所時間・施設定員・職員定数・資格を有する正規常勤職員の比率・施設面積・調理設備・園庭等の種々の設置基準を伴う認可制を廃止し、指定制に変え、事業者による運営費の使途の自由化等の全面的な規制緩和をはかる、④2013年度から実施する、というのが、基本的な骨子となっています。

 新システムは、「新成長戦略との連携」「新たなマーケットと雇用の創出」として打ち出されたことに明らかなように、保育や幼児教育とはまったく関係のない次元から企図されています。国の保育・幼児教育分野での財政支出の全面的削減、この分野での自治体の公的責任の廃止と民間企業への全面的市場開放による保育・幼児教育の民営化・産業化の動機・打算、その一点で強引に組み立てられています。新システムは保育・幼児教育・子育て支援の新たな社会的仕組みと呼べるようなシロモノではまったくありません。子ども・子育てを食い物にして企業をこの分野にピラニアのように群がらせ、企業にカネ儲けのマーケットを開くと言うこんな「新システム」を私たちは絶対に認めることはできません。

親代わりで子どもを守り育てている保育・幼児教育の現場の反対の声にこそすべての真実がある

 子育て、保育、幼児教育の現場を知る者なら絶対にこの新システムのような発想や制度設計はできません。現場、現実を一顧だにせず、よくもまあ、こんな「新システム」を思いついたものです。

 日本の現在の人口は1億2000万。この現在生きている1億2000万人には1億2000万通りの人生があるが、はっきりしているのは、この1億2000万人が例外なく、当然のことながら乳幼児期を経て今日に至っていること。生をこの世に得てから小学校就学までのこの乳幼児期に人がいかなる育児・保育・教育を受けるかは人生にとって非常に大きな意味を持っています。

      

 子どもは、家庭・保育所・幼稚園で家族・親(特に母親)や親代わりの先生(保育士、幼稚園教員等の職員)から見守られ、助けられ、支えられ、育てられ教えられて、育つのです。保育所や幼稚園に子どもを預ける親にとっては、「先生」は《親代わり》、保育所・幼稚園は《乳幼児期の育ちと遊びと学びの家庭代わりの拠り所》です。

 「新システム」の考案者・設計者は自分たちの乳幼児期に家庭や保育所・幼稚園で一体どのように大切にされ誰に育てられてきたのか?自分の子どもをどういう思いで家庭で育て幼稚園や保育所に委ねてきたのか?そういうことに何の想いもひっかかりもなく本当によくぞこんな「制度」を考え付いたものだ、そうは思いませんか?この「新システム」を《子育て》《親代わり》とは到底認めがたい、絶対に承服できない、受け入れることができないという違和感、異物感は、本能的な生体反応というべき当然の反発であり、本質的なものです。

 私たちは、この直感こそ、「子ども・子育て新システム=幼保一体化・こども園」に対する根底的批判の《一の矢》、最大の批判と考えます。の新システムは絶対に制度として導入させてはならない!心底からの批判を現場から当事者(子ども、親、保育所・幼稚園職員)の批判として「新システム」に叩きつける必要があります。

 子どもは当事者、その中心でありながら、しかし自身では批判の声をあげられません。当事者としてそれを行う権利は当然に子どもを保育所や幼稚園に委ねている親(保護者)にありますが、最も的確な正鵠を射た批判を行えるのは保育・幼児教育の何たるかという現場のすべてを知っている保育所・幼稚園で働く職員(労働者)です。これは制度設計の理屈や理論・施策の是非をめぐるあれこれの議論以前の問題です。現実に基づくストレートな憤りであり批判です。この批判の前には「新システム」などひとたまりもありません。

 新システムの正体》 新システムは民間企業がこども園を経営・運営することを制度の中心・根幹に据えています。しかし新システムが参入を予定する民間企業に、新たな事業モデルがあるわけではありません。既に保育事業に指定管理者制度や業務委託や認可外保育で参入している企業(株式会社)こそ先行モデルです。その最大の特徴は、何か民間ならではの斬新で社会的に有益なサービスを提供しているというようなものではまったくありません。その最大の特徴は、いまどの業界でも企業が行っている経営戦略そのもの、ズバリ言って時間給のパート・アルバイト等の非正規雇用で人件費を削り込むことで利潤をあげること、要するにとっかえひっかえの細切れシフト制勤務で保育・幼児教育・子育て支援を賄うというものです。それが新システムのすべて、株式会社参入のすべてであると言ってもよいと思います。

 単刀直入に言って、保育、幼児教育、子育ては、新システムの考案者や財界、企業が考えているような、パート・アルバイトのシフト勤務で担えるような仕事ではまったくありません。もちろん、ここでは実際にパート、アルバイト等の形態で生きんがために懸命に働いている非正規労働者の皆さんを非難しているのではありません。パート・アルバイトのシフト勤務で保育・幼児教育・子育てを賄えると考えている新システムの考え方そのものがとんでもない、許せないということです。保育・幼児教育・子育てという仕事の課題、性格、現実、実体を抜きにした荒唐無稽の暴論であり、万が一にも、このような新システムが導入されるということにでもなれば、子育ても子どもの未来もメチャクチャにされてしまうということです。

 次回=シリーズ・実践編の第二回では、子育て・保育・幼児教育の現場の仕事を具体的に例示することで、現場からの新システム批判に入っていきます。

 

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