降版時間だ!原稿を早goo!

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「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★花柄地紋の凸版があった=「北海タイムス物語」を読む (127)

2016年06月22日 | 新聞

(6月21日付の続きです。写真は1972年2月3日付@読売新聞夕刊です)

小説新潮に、増田俊也さん(50)の「北海タイムス物語」が連載されている。
僕は以前、北海タイムスと提携していた「日刊スポーツ北海道」に知人がいたので、札幌の北海タイムスに何回か行ったことがあった。
というわけで、増田さんの青春物語@新聞記者編ともいえる同小説に注目——の第127回。

【小説「北海タイムス物語」時代設定と、主な登場人物】
1990(平成2)年4月中旬。北海タイムス札幌本社ビル。
▼僕=北海タイムス新入社員・野々村巡洋(ののむら・じゅんよう)。東京出身23歳、早大卒
▼萬田恭介(まんだ・きょうすけ)=北海タイムス編集局次長兼整理部長。青学英文科卒45歳
▼清國(きよくに)さん=北海タイムス制作局員、元・活版部職工


【 以下、小説新潮2016年1月号=連載④ 467ページから 】
題号を段ボールに戻し、別の大きな金属片を取り出した。
「これは札幌オリンピックだな」
机の上に置いた。
〈北の祭典、華やかに開幕〉
という大きな横見出しが花模様をバックに浮いている
❶。
「お、これ、俺がつけた見出しだ。一九七二年」
萬田さんが懐かしそうに凸版を手にした。
「へえ。そうか。これならやるぞ、記念にとっときな」
「え、ほんとですか。やった。大事にさせていただきます」



❶「北の祭典、……花模様をバックに浮いている
1972年2月3日、札幌オリンピック開幕——当時27歳だった萬田部長は夕刊フロント1面の面担(紙面編集担当者)で、
北の祭典、華やかに開幕
とつけた。
〈大きな横見出し〉
〈花模様をバックに〉
と記述があるので、おそらく左右130倍・天地 17.5倍の大きさで、G(ゴシック体)白ヌキ・バックにスクリーン地紋だったのではないだろうか。
開会式写真をドーーーーーーーンと見せるため、天地サイズはそれほど大きくなかったと思う(→ところで同日、号外は出さなかったのかしらん)。
見出し〈北の祭典〉は情緒的だけど、たぶんサブ見で白ヌキG「札幌オリンピック」と明示してあったのだろう。

写真のような地紋見出しは見なくなったので、メーン地紋見出しを指定してみた。
札幌五輪 (アキ) 華麗な幕開く
▽天地116倍・左右 18.5倍
▽G(ジー=ゴシック体)袋字(ふくろじ)
▽袋字内=左3分の1、右3分の1にそれぞれNo.◯地紋、中央シロヌキ
(No.◯は新聞社ごとに設定した地紋番号)

……今なら、地紋なしのG黒字のみ、だよね。
*倍(ばい)
倍は新聞編集でつかう単位。
1行15字組み時代の活字1文字の天地サイズ。
現在でも会社人事や異動欄でつかわれている(天地88,左右 110ミルス)。
▽1倍=88ミルス
1980年代以降のコンピューター編集(新聞CTS)では 11ミルスを1U(ユー=ユニットの略)としたから、
▽1倍=88ミルス=8U


————というわけで、続く。

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