事務屋のひとり言

東京都の事務員のひとり言です。

再リセットからの挽回

2005-08-13 | 都立大改革の日々
「手から手へ」を2枚持ってきて、表裏に分かれている「3.8文書」を切り貼りして、A4一枚にしました。そして衝撃的な一文にマーカーで線を引いて、人文のエレベーターに張りました。
できるだけ早く、いろいろな人に知って欲しいと思ったからなのですが、エレベーターにああいう張り紙はいけなかったみたいで、2週間ぐらいで剥がされてしまいました。

本来3月7日に行われるはずの、手打ちの会議を吹っ飛ばしたのが、浜渦副知事と言われています。
反対集会の成功と、文科省の厳しい姿勢が、大学管理本部の水面下での協調路線を生んでましたが、この1件でまた全てがやり直しになってしまいました。
と言っても、全てがなくなったのではなく、強硬派と穏健派の2つの流れに分断されてしまったようです。
この頃から、資料を事務側に求めてくる時にも、2つの別の部署から同時に求められるようなことが増えました。
管理本部の事務室は大きな1室です。別部署と言っても、5メートルも離れてません。にもかかわらず資料のやり取りが無いようなのです。
「昨日○○部署にファックスしてます」
「急いでいるから、こっちにもう一回送ってくれ」
となりからもらった方がよっぽど早いのでは? と思う事態が頻発し始めました。

同意書が全く役に立たなかったため、次に出てきたのが「意思確認書」です。略して「イカク書」なんて呼ぶ人もいました。
こちらは授業名を記入する欄があり、文科省への提出を見据えた文書になっていました。
同意書と同様、こちらも出さない人が多数いたのですが、「意思確認書はあくまで意思を知るためのもので、来年度の人事に直結しない」という理解があったからでした。
人事や就労条件に絡む話は、組合の専決事項という合意があったのです。

3月8日を境に、管理本部は変貌しました。
その真意を知って、南雲先生や一部の事務は驚愕しました。
それは
「ダメなら、全員公募して改めて設置すればいい」
という、怖ろしく極端な考えです。
法科大学院の設置では、事務側の踏ん張りもあり、3ヶ月で立て直しました。今からやれば4月開校に問題ないというわけです。

無茶な話ですね。院生会は「研究環境の維持」を掲げていますが、教員が全員代わってしまって「研究環境の維持」なんて可能でしょうか?
今の都立大の教員と同じレベルの教員がやってくること自体、不可能だと思います。

もちろん管理本部は、それができると確信していました。しかし勝手に確信されても、事務側にとっても教員にとっても、おそらく院生側にとっても迷惑なだけです。そんなことをやって失敗したら、いったい誰が責任を取ってくれるのでしょうか?

南雲部長には厳しい判断が求められました。
教員を大学院で救うと言う当初の目標が、「そもそも大学院の設置がない」という話になるのは困ります。
提出期限をさらに越えて、引っ張って引っ張ったあげく、人文は全員一括提出と言う選択を取りました。一括提出とは、個人の署名捺印をせず、人文学部名での提出です。

今でもこの判断を、非難する人文学部の先生もいらっしゃいます。この件で大学管理本部は大々的な報道を流し、「都が教員に勝った」という印象を与えたからです。
でもここで「人文教員全員非就任」という決断が正しかったか、というと私にはそうは思えません。もともと100名以上の過員から始まる、マイナスの戦いです。
その上大学管理本部は、「全員公募で、大学の維持が可能か?」という根本的な問題も疑問に思わない集団となっています。(実際に思ってないのは一部でしょうが)
学生にとっては一生の問題であるということすら、どっかに吹っ飛びそうな勢いです。
ここまでのマイナスからの挽回の戦いを見て、さらに文科省不認可の後の攻防戦を見ても、この就任承諾書提出が何かの問題に「ケリをつけた」わけではありませんでした。むしろこれからも戦い継続を選んだと言えるでしょう。

だいたい管理本部自身が「勝った」と思っていませんでした。むしろ逆に困ってたぐらいです。
首都大に同調する人をこの「意思確認書」で選抜したかったのに、個人の署名捺印もなく一括で出されたのでは、何の意味がありません。この後もう一回文書を提出してもらうことが決定的になったのです。

残ってしまったのが近経の先生方です。最初から完全独自路線を歩んできた近経の先生には、事態の推移の情報、特に先生方の情報が入りませんでした。
分裂してしまった他の経済学部の先生は、近経の先生との連携は全くありません。なにしろ勝手に管理本部と交渉してると思ってるくらいです。COEという交渉武器もないのでは、自己防衛するしかありません。

このころ近経の先生の説得に、何度も管理本部から人が来ました。しかし近経の先生の要求は、最初と同じ「全員の残留」と変わりません。逆に強硬な管理本部の態度に直面して、さらに態度を硬化させたようでした。
他の事務員からの又聞きですが、近経の先生が「管理本部はまともな話ができない」とグチを漏らしていたそうです。
「それは半年以上前からだ」と他の先生は言うでしょう。どうも近経の先生方は、希望の人事案が通らなくて、初めて「対決姿勢」を出したように見えたのが残念です。
結局、近経の先生は就任承諾書を出さず、新大学にコースは設置されませんでした。

3月23日に4大学総長・学長懇談会が開かれ、総長・学長、大学管理本部長、理事長予定者が集まりました。協議再開が確認されたのです。
やっとリセットがキャンセルされたかと思ったのですが、またも横槍が入り、4月8日管理本部長メモが出ます。「確認事項なんてない」という文書でした。

今度は7月の文科省認可に向けて、「就任承諾書」の戦いです。
同時に認可申請に絡む書類作成が、事務側にも降ってきました。
事務組織として管理本部とはどういう所か? 
事務側はある程度知っていたのですが、それでも予想を超える冗談みたいな事態が連発することになりました。

1 コメント

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仕事中に株? (ゆたか)
2008-02-11 11:23:02
仕事を非常勤職員に丸投げ、勤務中に株情報、居眠り、閉室時間になってからやっと仕事(残業)
これがある係長の実態
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