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物理学者中谷宇吉郎は荒唐無稽な物語を愛読した

2005年01月21日 | 詞花日暦
思い切った非科学的な教育が
自然に対する驚異の念を深める
――中谷宇吉郎(物理学者)

 石川県の雪国に育った中谷宇吉郎は、子供のころ、最初に熱中したのが『西遊記』だったという。「画の多い字が一杯並んで、字づらが薄黒く見えるような頁が、何か変化と神秘の国の扉のように」幼い彼をそそった。現代の若い読者とは正反対である。
 中谷を魅了したのは、「放恣な幻想がその翼をかつて奔放に虚空を翔けまわっている」ふしぎさ。今日の科学的思考では、容易に認めがたい迷信や怪異の荒唐無稽な物語である。だが中谷は、ほんとうの科学は純真な「驚異」から出発すべきだと書いている。「不思議を解決するばかりが科学ではなく、平凡な世界の中に不思議を感ずる」ことも科学の重要な要素であると。だから、幼い日の奔放で荒唐無稽な夢を子供から取り上げない方がいい。
 凡庸な科学知識を振り回し、原子や分子などと日常茶飯に口にすると、逆に物質の神秘に対する驚異の念を薄くする悪影響を与えるのではないか、とも語っている。

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3 コメント

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Unknown (菅原)
2005-01-21 07:43:44
幼い子供が空想物語を好むのは、いまも変わらないでしょう。孫悟空の代わりにハリー・ポッターやTVゲームがあるのでしょう。ただしそんな嗜好をどこかで切り替える時期があります。一体それはどの時期なのか、教えてください。いつまでたっても子供にとどまっている大人(若者)がたくさんいる現状は、何が惹き起こしているかも。
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私の考え (彩木 翔)
2005-01-21 13:07:15
菅原様のおっしゃる「嗜好を切り替える時期」を私なりに解釈すると、「人生を真剣に考え始める時期」と言って良いかと思います。しかしこれほどタイミングに個人差のある事もないように思いますので時期の特定は難しいように思いますし、個別に見て行くと、早期に明確な目的意識に目覚める少年少女の絶対数は、自分の少年期より増えているような気さえします。しかしその反対に極端に幼稚な若者の絶対数も増加していて、これもいわゆる「二極化」現象の現れなのかも知れませんね。

原因として考えられる事の一つに、「自分自身と向き合う機会をことごとく逃す環境」...具体的に言えばテレビ・ゲーム・携帯電話と言った耐久消費材に囲まれている為、自分と関わる事なく貴重な成長期を漠然と過ごし、それに危機感を持つ親もいない....逆に月々何万円もの携帯使用料を出してやるような白痴的な親が多いのには「立ち眩み」を覚えますね(^^)
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あいまいな質問でした (菅原)
2005-01-21 23:26:54
意に添うにしろ添わないにしろ、私たち大人がつくってきた現在という環境の総体が奇妙な子供たちをつくっているのでしょうね。
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