負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

地図づくりの楽しみは男だけのひそやかな独壇場である

2005年03月27日 | 詞花日暦
地図作りの歴史には、奇妙な
島がたくさん出て来る
――M・ハーベイ(ジャーナリスト)

 もしクレオパトラに軍用地図を見るようにいったら……のあとは省略しよう。鼻の高低とはちがう奇抜なオチをいまではおおくの人が知っている。空間の把握や位置感覚を司る右脳の発達した男性にくらべ、女性は地図を読むのが苦手だといわれる。
 だから、地図づくりは男の独壇場である。地図を必要とした大航海時代の旅が、必然的に男の仕事だったこともある。地図の目的は、未知の世界を空間情報として正確に把握し、共有すること。しかし古地図を見ると、奇妙な怪物や島がいたる所に描かれている。
 半獣身が住む島、鳥がなる木の島、男や女だけが住む島などの例をハーベイは上げている。ホメロスはひとつ目巨人の島、人が豚に変えられる島、日本でも西鶴が女護島を書いた。不確かな場所だからではない。男は地図を描く際に空想をたくましくし、夢を紡ぐ。地図が苦手な女性に内緒で、二通りの地図づくりの楽しみを味わっている。