負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

本のデジタル化はTVゲームのRPGから始まった

2005年01月22日 | 詞花日暦
RPGとは……変換された文学、    
すなわち「電子文学」として位置づけられる
――榎木正樹(評論家)

 RPGとはロール・プレーイング・ゲームのこと。以前から子供や若者たちをとりこにしている『ドラゴンクエスト』から『ファイナルファンタジー』まで、数おおくのゲームがそう。プレイヤーは特定の役(ロール)になり、プログラムされた物語のなかでさまざまなドラマを体験する。
 RPGの発端には、一九六○年代、カウンターカルチャーに再発見されたトールキンの『指輪物語』がある。「細部まで徹底した世界設定の方法と等身大の英雄譚として神話を再構成していくシステム」が、コンピュータ・プログラムに適合した。
 最近、インターネット・ゲームの世界を描いた川端祐人の小説『SOUP』にも、トールキンやル・グイン(『ゲド戦記』)が登場する。榎木正樹が指摘するのは、RPGがコンピュータ・メディアに変換された文学であること。ゲームのわかりやすい視覚性、展開するスピード、効果サウンドなどを考えると、本の文字を追う読書のけだるさをきらい、ゲームに熱中する若者たちの気持ちがよくわかる。だが、ここでは想像する人の能力は育たない。