負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

新しい技術が普及するには三十年の歳月を必要とする

2005年01月17日 | 詞花日暦
変革スピードが遅いのは、技術自体が
変革を行うわけではないからだ
――P・L・サッフォ(技術コラムニスト)

 パソコンが登場した一九八○年代、紙のなくなる日が近いといわれた。九○年代初め、インターネットを始めた筆者は、ファックスやプリンタを捨てた。それから十年、予想は外れて、世上の紙使用量は増加し、ファックスもプリンタも健在。仕方なく再登場願っている。
 筆者の深慮を欠いた性格もあるが、技術が一挙に人々の生活を変えないことに無知であった。サッフォによると、変革は三十年パターンで行われる。たとえば無線機の出現から放送産業の誕生まで三十年。印刷機でも人工衛星でも、「あらゆる分野の革新」に適用できるという。
 なぜそれほど年月がかかるのか。技術は、一般の人々がどう生活に組み込むかのオプションにすぎないからである。人間の気まぐれな期待と心変りが、早急に変革を受け入れない要因になる。短期のインパクトを過大評価し、期待に添わないと、今度は長期の効果を過小評価する。これをサッフォは「巨視的近視(マクロマイオピア)」といった。技術の変革は、とりわけ日本で人間の気まぐれな気分の問題であるようだ。