負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

リンゴの「皮を磨く」と「皮をむく」のでは大違い

2005年01月10日 | 詞花日暦
リンゴは皮ごと絞ると、全体に薄い
紅色がつき、変色が気になりません
――斎藤義政(銀座千疋屋社長)

 一六六六年、ニュートンはロンドンの大火や前年のペストを逃れて、生家のウールスソープに帰った。庭先のリンゴが落ちるのを見て、引力の法則を発見する逸話は、子供向きの本でよく知られている。
 ラテン系の民族がブドウ酒を好んだのに対し、「アングロサクソン民族はリンゴ酒が大好物」で、栽培や品種改良に熱心だった。「イギリスは十九世紀には世界で第一位のリンゴ生産国」。もっとも、ウールスソープで見たリンゴは、野生をはるかに越えた日本の改良品種が持つ豪華絢爛とはほど遠い。素朴な小ぶりのリンゴだった。
 朝は金といわれるリンゴを毎朝すりおろして食べたい。上質の自然な酸味が寝起きの気分を爽快にする。ただし、皮はむく。ポストハーベストのアメリカ産はなおのこと。催奇形性農薬などの恐れがある。リンゴの表面を拭いても間に合わない。英語の「リンゴを磨く」の慣用句は媚びへつらうという意味がある。大量生産の農産物には、どこか磨き上げて消費者に媚びている印象がつきまとう。