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ネット音楽配信ビジネスは今度こそ立ち上がるか from hotwired japan

2005-08-19 | Weblog

http://hotwired.goo.ne.jp/original/fujimoto/050712/02.html

アップルのiTunesによる音楽ダウンロードサービスiTMS(iTunes Music Store)が早ければ8月にもついに日本でもスタートすると言われている。すでに発売されているハードウェアのipodはプレー


ヤーとCDから入力する ソフトウェアの提供だけでも国内で好調な販売を続けており、全世界で累計4億曲販売した実績の楽曲販売のスタートに対する期待は大きい。すでに先行してい る携帯電話会社auが提供している「着うたフル」の累計ダウンロードも、2004年11月にサービスを開始して以来先日累計1000万曲のダウンロードを 突破した。いよいよ日本も本格的な音楽ダウンロードサービス市場の立ち上がりを迎えようとしている。

インターネットの商用利用がスタートしてからおよそ10年、音楽のノンパッケージ販売はもっとも期待されたインターネットビジネスのひとつであり続 けてきたが、そこにはいつもは大きな壁が存在してきた。1995年に米プログレッシブネットワーク社がリアルオーディオの提供を始めた時あたりから、イン ターネットユーザーにはインターネットが音楽ビジネスの歴史を変えると誰もが予想したに違いない。しかし、パッケージ流通により成り立っている音楽業界に とっては、瞬間的に地球の裏側にもコピーしてしまうデジタル技術に対しては慎重にならざるをえなかった。コピー防止技術や著作権処理の技術、業界の思惑の 中で標準化の話し合いについて時間は費やされた。

国内の音楽業界もおそるおそるではあるが、2000年には現在国内で最大の音楽ダウンロードサービスを提供しているモーラの提供会社であるレーベルゲートをレコード会社各社が共同で設立し、少しずつ準備を始めた。

しかし同じ頃ナップスターというP2P技術を利用したファイル交換アプリケーションの登場で音楽業界は衝撃を受ける。MP3フォーマットに変換され た音楽データはまたたくまに世界中を駆けめぐり始めた。時をあわせるようにCDの販売も減少をはじめ、売上減少のやり玉にP2Pソフトがあげられ、提供会 社と利用者に対する起訴合戦がスタートすることになる。

iTMSはまさにそうした激動の中の2003年に1曲99セントという画期的な価格設定でサービスをスタートした。成功の要因としては本連載の第10回の情報家電のコラム でも分析したように、アップルのシェアの小ささ、PCメーカーが出したハードだったこと、ハードからソフト、コンテンツ販売までのトータルサービスであっ たことなどの理由があると思われるが、その後順調にサービスが世界各国で立ち上がり、参入するプレーヤーも増えて、音楽業界もこれまでの慎重論からビジネ スとしてのチャンスという見方に一気に方向転換することとなった。

同じ頃日本ではやはりCDの売上が減少し、その理由として携帯の通話料・パケット料に若者のCD購入費を奪われているという見方まで出ていたが、そ の敵であったはずの携帯の着メロの著作権使用料が、なんとJASRACのCDの売上の減少分をまるまる補うという状況になったことで、iTMSとは別に微 妙に音楽業界の見方に変化が出た。着メロでは作曲家の著作権収入が中心で商売にならなかった楽曲の原盤権を所有しているレコード会社もこの状況から、携帯 の3G化に合わせて本格的に携帯に音楽を配信する着うたサービスに力を入れることになった。そしていよいよ2005年日本でのiTMSサービス開始への期 待が高まっているところである。

iTMSに期待がある一方で、日本ではうまくいかないという見方もある。ひとつは前述で解説した通り、日本では欧米と異なり携帯による音楽利用が進 んでいる。携帯は確実に課金できる仕組みもあり、コピーされる心配もほとんどない。携帯での着うたにレコード会社が力を入れている状況で、iTMSに提供 される楽曲の数が揃わないのではないかとの意見もある。仮に揃ったとしても洋楽中心で、若者に対する瞬発力のある売れ筋商品であるJ-POPが揃わないな どの状況も予想されている。

確かに日本でのライフスタイルを考えた時に携帯のアドバンテージは大きいとは考えるが、筆者は大事なのは「ipod」か「携帯」かという議論ではなくノンパッケージの音楽ビジネスそのものの新しい利用スタイルをいかに作ることではないかと考える。

まず音楽の価値を分析してみたい。従来のパッケージのLPなりCDの価値というのは
(1)「パッケージ」デザインなど飾っておきたい価値
(2)「コンテンツ」音楽そのものであり聞くことができる価値
(3)「コンテクスト」曲順や選曲、アーティストの価値

の3つのバリューで構成されていると考えられる。

現在のネット配信モデルでは1曲づつ購入するモデルであり、基本的には100円から300円程度の価値として購入してもらうというところが基本であ り、上記の価値で言うと(2)の価値が中心である。しかし、LP時代から使われているアルバムというのは、言葉通り様々なアレンジや順番含め複数の曲を トータルで構成したひとつの作品であり、一曲一曲のシングル版とは明らかに異なる価値を持つ。

一昨年あたり「タイムスリップグリコ」などで、なつかしのシングル版がジャケット写真毎8cmCDになって復活して人気になったことを思い出していただいてもわかるとおり、「音楽を買ってしまう」欲望を喚起させるためには、(1)や(3)の価値も大きな比重を占めている。

残念ながら、デジタルのノンパッケージでは(1)の所有できる価値は喪失しているため、それを利用するのは難しいが(3)の価値はパッケージから解 放されるからこそ再発見できる要素は多分にあると考えられる。現在の(2)のモデルではコンテンツの価値を重視し、著作権というコンテンツ価値に属する権 利を売買することをビジネスモデルの基本においている。確かにマイクロペイメントなどの少額課金決済技術の進展は、こうしたコンテンツ価値に対して多様な 決済方法を提供することにもなり、少額の課金、回数制限方式、定額方式などの実用化を促している。

しかし、近年のCDの世界のオムニバスアルバムやベスト版の流行など、音楽の聞き手も一曲一曲に思い入れを入れているというよりは、癒されたい、カフェの気分を味わいたい、青春時代の想いに耽りたいなど、利用者はコンテキストの価値に対価を払っていると言える。

実際ipodのシャッフル機能がウケているが、これは一定量の音楽の中からのランダムな選曲が楽しいという価値を提供している。同じくiTunes の中でプレイリストという機能がある。これもDJ気分で自分で音楽を選曲する楽しさであるが、このプレイリストを交換したり、有名人が作ったプレイリスト を入手するなどを楽しむ人たちがすでに登場している。これは新しいビジネスモデルを予感される。

例えば、あなたが1万曲の音楽データを手に入れたとしても、CDと異なり、その中から今日聞く音楽を選ぶことは大変な作業になる。しかし、自分の曲 の好みや過去の選曲傾向などから、今日のおすすめの20曲だけを選曲し、インデックスデータを配信してくれるサービスがあったとして、それが有料でもあな たは利用するかもしれない。この場合、あなたにとって重要な価値は20曲のコンテンツ以前に、「自分のために選んでくれた20曲の選曲情報」というコンテ クスト価値である。同様に自分と同じ趣味や価値観の人、80年代のAORが大好きな人たちが最近よく聞いている曲などを教えてくれるサービスが存在したら とても便利であろう。

膨大なコンテンツや商品が街に溢れ容易に次々と消費される現代においては、コンテンツを商品と見た場合には普通の商品と同様に、自分の生活をより豊 かにしてくれるかどうかが、購買意欲を刺激する意味でも重要なファクターになっており、もはや商品そのものが必要かどうかは重要ではなくなってくる。これ は相対的にコンテンツ価値からこうしたコンテクストの価値が高まっていることを意味し、今後のデジタルコンテンツのビジネスモデルを議論する時には忘れて はいけない重要な要素であると考えられる。

このように携帯音楽配信とiTMSは音楽の楽しみ方の幅を大きく広げてくれるだろう。それは今まで売ることが難しかった古い曲や眠っていた曲などに 価値を与える可能性もある。携帯にもハードディスクが搭載され、いつでもどこでも膨大な音楽を持ち歩くことができるようになれば、そもそも着うたの本質的 な欲求である「人に自分のお気に入りを聞かせたい」ということを自然にどこでもできるようになる。

音楽は完全にコミュニケーションの道具であり、友人と乗っている自動車の中はDJブースになることは間違いない。近い将来自動車でのドライブデート は選曲センスの戦いとなるだろう。音楽は一曲一曲よりも大量の曲の中でどのように楽しむかがノンパッケージ時代のキーワードになる。

今後どんなに万能な著作権管理システムと課金システムが完成したとしても、デジタルコンテンツの購買欲望を喚起する仕掛けが用意されていなければ、 欲しくなる人が少なく、ビジネスとしてうまみはなくなる。デジタルコンテンツは音楽業界全体としては新しいビジネスチャンスであることは間違いないと思わ れるが、従来のパッケージビジネスにおいても、カラオケやラジオのチャート番組などの別のビジネスモデルの中で音楽に触れ、聴く機会が存在するという連動 された複合型モデルで成立していたことを忘れてはいけない。

一人に年間数枚のCDを売ることを考える時代から、一人の年間音楽エンジョイ費を月数百円とるモデルへのパラダイムシフトこそが、市場全体のパイを 広げる鍵である。音楽関係者には街で回りを見渡して欲しい。目の前を歩いているここ数年CDを買ったことの無い膨大な人々が、この大いなる市場の潜在予備 軍である。巨大な新しいエンターティメント市場である音楽ビジネスは今度こそiTMSとともに幕を開けようとしている。



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