菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

講義録:会社とは(3) ~会社の法人性

2011-02-01 00:00:00 | 会社法学への誘い
 会社は「法人」です。平成17年改正前の旧商法にも、また、会社法にも、会社は法人であることが明文で規定されています(旧商法52条、会社法3条)。法人とは、たとえ生身の人間でなくとも、権利義務の主体となれる組織のことです。

 生身の人間、すなわち生物学上の人のことを、法律では「自然人」といいますが、自然人は、生まれながらにして、権利を取得し、義務を負担する資格をもっています(民法3条1項参照)。この権利を取得し、義務を負担する資格のことを「権利能力」と呼びます。

 ところで、自然人以外であっても、法が権利能力を付与する場合があります。自然人以外の場合には、法の力によって権利・義務の主体性(法人格)が与えられるので、これを「法人」といいます。先ほども説明したとおり、会社には社団性があり、出資者である社員から独立した主体性を有します。したがって、社団の性質を有する会社には、法人格を付与する基礎も認められることとなるのです。

 会社は法人ですから(会社法3条)、あたかも自然人と同様に、会社自体が権利を取得し、義務を負担することができます。たとえば、会社は、自らの名義で、原材料を仕入れ、顧客・消費者に商品を売却します(売買契約)。また、銀行から運転資金を借り入れ(金銭消費貸借契約)、事務所や工場用の土地・建物を賃借し(賃貸借契約)、そして、従業員を雇うのです(雇用契約)。これらの契約により、会社は権利を取得し、義務を負担します。より具体的には、仕入れならば、原材料の引渡しを請求する権利を取得する一方、代金を支払う義務を負担するのです。

(次回に続く)


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