絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

Uさんの県展制作 4

2011-04-19 | 絵画指導
少し、書く量が多くなったので、記事を分けました。

続いて、木材の下塗りに入ります。

まだ、木の明るい部分が、白い紙のままになっているので
そこに、色を着けたいのですが、暗い色を着けると、今まで描いたものが役に立たなくなります。そこで、実際の色よりも明るい色をつけて、立体感は損なわないようにします。

木は完成したときは、ややこげ茶色に近づいたり、よく見るとあずき色に見えたりします。しかし、厳密には、緑であったり、紫であったり、場所によって様々です。

だから、本当に下塗りなのですが、私は今回は、明るい部分をイエローグレーと白でやってみるように指示しました。本人は、全くの素人ですから、何色でやるかを知りません。

もっとも、私もやるときによって、さまざまなので、「今回は…」と但し書きをしたのは、そのためです。(隠し味として、わざとバーミリオンで、描くという古川先生の言葉を思い出すと、何色でもできそうです。)

一応、素人では、取り返しのつかない状態にならないように、明るい木の色に近い色で進めてみました。

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しかし、これまでは、紙の白さだったので対比が強く出ていますが、どんなに明るく塗っても、白い紙より暗くなるので、最初に描いた部分との対比が弱くなります。だから、少し寝ぼけた感じになるのが、ちょっと心配になります。
ただ、この色が着くことで、空間を感じるようになります。

それをご覧ください。



色が着いていない紙の白さが、空間を感じないのがわかりますか。
色の着いた部分は、明暗の対比が弱まりますが、空間を感じ始めました。

全体に色が着くと、このようになります。



言い忘れましたが、木材の中で、白っぽく感じる部分は、空の色に近いので、空と同じような明るさで塗っておきました。

下塗りが終わったら、本格的な描きこみに入ります。
ここからが、特に、あっさりの淡彩画とは、違います。

初めてのUさんは、全く知りません。
それで、一部だけ、描いて見せました。

細い面相筆を使っての描きこみです。
やってみせると、Uさんも納得したようです。
石膏デッサンと同じなのです。
微妙な明暗の差を描くだけです。

ただ、違うのは、色があること、質感を出すことです。
この絵の場合は、木材ですから、木の表面の皮を感じさせることが求められます。

この描きこみの時に、本当の色に近づけていきます。

微妙に青白い部分や、あずき色の部分、こげ茶の部分などです。
また、本当に暗い部分が何色にみえるかという問題ですが、私は黒はそのままでは使わず、やや紫がかった色を使いました。
それは、バーントシェンナとウルトラマリンのディープを混ぜた色です。
ギュッと暗くしまって見える部分は、その色です。



Uさんは、昨年の7月から私の指導を受け始めて、半年デッサンをしたので、かなり描けるようになりました。その力があれば、この表現は、楽にできると思います。
だから、デッサンから指導すると、絵の指導は初めて描く人でも楽ですね。

今日は、ここまでということで、終わりにしました。
二時間でした。

私が描いた部分は、完成ではありません。描きすすんだら、この部分ももっと、真実に迫るくらいのリアルさを求めたいと思います。もうそうなったら、初めてといえども描いてあげてはいけません。最後は自分の力で、完成させてあげないといけません。

私の指導は、やり方を一部だけ教えて、同じようにやってみてくださいという方法です。
それも、初めてだからです。一度やってみせたら、余程わからない人以外は、同じことをしません。後は、もう口で言うだけです。

だから、今回の指導は、本当の初めての人の指導ということです。







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