それから20年余り後、ロンドンの王立研究所の若き化学助手FaradayはStodartとの連名で、初の合金鋼の論文を発表した。研究の目的は国産のるつぼ鋼に各種の貴金属を添加して、インド産のウーツ(wootz)鋼よりも優れた刃物をつくることにあったが、貴金属入りの鋼は湿った大気中でも曇らず、さびないのではなかろうか? との期待もあった。79種類の合金鋼試料を溶解して調べたところ、刃物には0.2%のAg、あるいは1%程度のPt族を添加したものが良く、またPt10:鋼80の合金は屋内に長く放置してもさびなかったという。史上初のステンレス鋼は白金鋼であった!
出典:ステンレス協会編(長谷川正義監修)ステンレス鋼便覧-3版- 2003.7.31初版3刷発行 日刊工業新聞社
出典:ステンレス協会編(長谷川正義監修)ステンレス鋼便覧-3版- 2003.7.31初版3刷発行 日刊工業新聞社