簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

上の町こけし通り(JR乗り潰しの旅)

2015-03-06 | Weblog
 興徳寺の石段を下りきったところに有るのが「上の町こけし通り」だ。
余り広くは無い通りの街灯には、こけしの絵も飾られている。
町並みには何軒も伝統こけしの看板を掲げた家が並んでいて、雰囲気は申
し分ない。しかし、どの家にもこけしが並べられたショーケースが有るわけで
も無く、ガラス戸が固く閉ざされている。





 近頃では、店頭商いが出来るほど観光客の入り込みが期待できないので、お土
産物屋さんとしては成り立たず、制作したものを直接他の販売店や土産物店に卸し、
ネットなどで受注生産をする工人も多いと聞いたが、こういった工人のお宅なのだろ
うか。



 元々この地は、地元の日帰り温泉客を増やそうとの戦力を長年取ってきたらしい。
そのため温泉に入り込む観光客も県内や近隣からが多いと言う構造的な問題も有
り、特産品などを土産として購入する事に繋がってこなかった。



 通りには、二代目・浅之助の看板を掲げた店も有る。
浅之助は明治の初めごろ、土湯でこけし作りを定着させた佐久間一族の一人である。
ここはその血縁の店であろうか。しかし店先を覗いても人気も無くひっそりとしている。
そんな店先のガラス戸を押し開けて、訪ねるのは相当な勇気がいる。





 折角こけし通りと銘打っているのに、これでは風情も無く味気なく残念でならない。
そんなことを思いながら、通りを抜ける。

 こけし通りの突き当りに東鴉川親水公園が有り、そこに「足湯土ゆっこ」が有るが、
震災の影響で使えなくなっている。
温泉街には、震災の影響がまだこんな形で残っている。(続)




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土湯の町歩き(JR乗り潰しの旅)

2015-03-04 | Weblog
 土湯温泉のバス停前に有る観光案内所と並んで、一風変わった名前のお店が
建っている。
県内産のコンニャクイモで手作りに拘る「こんにゃく工房・金蒟館(きんこんかん)」だ。
土湯のNPO法人「土湯温泉観光まちづくり協議会」が立ち上げた施設で、こんにゃく
のブランド化を目指している。
 お決まりの刺し身こんにゃく、千切りこんにゃくや珍しいこんにゃくアイスが人気を
呼んでいるとか。



 その近くにある写真館ギャラリーは、プロのカメラマンであり、こけし店の店主が
営むカフェを併設したギャラリーで、沢山のこけしを展示販売する人気の店だ。
ここではこけしに囲まれ、ゆっくりとお茶をすることが出来る。





 温泉街には「土湯見聞録館」や「土湯伝承館」なども有り、どこも無料で入館できる。
「土湯見聞録館」には、故・阿部荘作氏のコレクションなど、東北のこけしが約1000本
も並べられていてその数に圧倒される。
 「土湯伝承館」では、東北各地のこけし約800本を展示している。
休憩スペースや工房も併設されていて、休日には制作の実演が行われる。

 荒川大橋を背にし温泉街から少し山際に向かい、石段を登ったところに土湯山
興徳寺がある。







 
 この境内に聖徳太子を祀る太子堂と、土湯こけし工人組合が主体となって昭和49
年11月に建立した薬師こけし堂があり、温泉の守り神である薬師如来と木地師の始
祖・惟喬親王を合わせて祀っている。
赤い屋根の小さなお堂の中には、奉納された沢山のこけしが並べられている。(続)

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土湯系のこけし(JR乗り潰しの旅)

2015-03-02 | Weblog


 今から160年余り前、文政年間から受け継がれてきた「土湯系こけし」は、比較的
頭が小さくて、円柱形の細めの胴は上部と下部が少し絞られたエンタシス型が多い。
頭の模様は、墨で黒く蛇の目を描き前髪をたらし、その両側に赤い髪飾りを描くの
が特徴だ。胴模様はロクロ線の組み合わせが基本でその色の組み合わせが美しい。



 ロクロで描く線模様には、返しロクロと言う技法が有り、単調になりやすい線模様
にアクセントを付けている。
昔のロクロは足踏み式であるから、急に回転速度を変え、停止させ或は反転させ
ることで線模様が乱れ、水紋のような独特の線を描くことが出来た。
今は殆どがモーター式のロクロで、一方向への回転だからこの線を描くには、特
殊な技法がいるそうだ。



 温泉街に有る民芸品店「会津山根屋」は、こけし工人・渡辺忠雄さんのお店だ。
民芸品・おみやげ品に混じって土湯系のこけしが並べられている。
店先にはガラス張りの工房も有るので、運が良ければロクロ引きの作業風景が見
学できるかもしれない。

 荒川大橋の袂にある公衆浴場・中の湯の前にある「まつや物産店」は、こけし工
人・阿部家五代目・阿部敏通さんのお店だ。







 今は主に六代目の国敏さんがお店を切り盛りしているようだ。
訪れた日はその六代目が在宅で、店先で気さくにロクロ回しの実演を見せてくれ、
お茶を供しながら、こけしの話を熱く聞かせてくれた。
こうした若手の工人が健在なのは、本当に喜ばしいことである。(続)

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