簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

丸子のとろゝ汁 (東海道歩き旅・駿河の国)

2020-04-10 | Weblog


 丸子では、近年になって国道が旧道から外れた場所に通されたので、
ここは国道の裏通りと言った感じでそのまま残される事になった。
その為往時を彷彿させるゆるく曲がる道が当時の面影を伝え、良い雰
囲気を漂わせている事が真新しい町並の中にあって僅かな救いである。



 そんな丸子の宿通りを抜け、街道の難所、宇津ノ谷峠に向かうと、そ
の道中丸子橋の手前に、緑豊かな小公園がある。
家康の駿府城築城の折、近在より切り出された石垣用の石がそのまま埋
もれ、近年電話線工事により掘り出されたという「辰石」や、岡本かの
子の文学碑がある。



 『午前の陽は流石に眩しく美しかった。老婢が「とろゝ汁ができまし
た」と運んできた。(中略)炊きたての麦飯の香ばしい湯気に神仙の土
のやうな匂ひのする自然薯は落ち着いた美味しさがあった。』
(「東海道五十三次」 岡本かの子)


 
 丸子宿の茶店では近在の山から掘り起こした山芋が「とろゝ汁」と
して名物になっていた。昔からこの地では自然薯が取れるところで、
それを擂りおろしたものに家伝の白味噌で味付けし、麦飯にかけて食
べるのだそうだ。



 ここには広重が描く江戸時代の浮世絵にタイムスリップしたような
茅葺屋根の建物が立っている。
「西立場 とろゝ汁名物 風味よし」と言われた丁子屋の建物である。



 街道の評判を試してみたいと思いながら、ここまで昼食を取らず空腹
を我慢しながらやってきたのに、あいにくこの日は臨時休業で表戸が固
く閉じられていた。これでは夫婦喧嘩のとばっちりを受け食いそびれた、
膝栗毛の弥二さん喜多さんと同じである。(続)

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