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【中国、米ドルを融資してリターン得て喜ぶあたりもトホホ…?】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資⑤

2018-09-17 00:03:45 | アジア

前回からの続き)

 本稿で綴っている、中国の新興国向け開発支援ローンにおいて、ある意味、いちばんトホホだな~と感じさせられる点が、当該投融資が同国の通貨「人民元」ではなく、米「ドル」建てで実行されていること。つまりこの枠組みにのなかで、中国は他国の通貨すなわちドルを貸し付け、支援受け入れ国はドルを市場から調達して中国に返す、といったことをしているわけです。その意味は、ドル基軸通貨としての地位を補強することに他なりません。ドルがそれだけ国際決済の場で使用されるようになるわけですからね・・・

 以前から指摘しているとおり、中国には人民元の国際化を進めたいという願望があるはずです。それは同国ほどの経済力を持つ国であれば自然なことでしょう。人民元がドルなどと並ぶ国際通貨として認められるようになれば、何もドルを持たずとも原油などの戦略物資等を確保できるし、外国の金融政策等に自国経済が左右されるリスクとかも減らすことができるわけですからね。この観点で、こちらの記事等でご紹介した人民元の「SDR入り」などは中国にとっては大きな成果だったといえるでしょう。人民元がドル、ユーロ、英ポンドとならぶ国際通貨に列せられたわけだから。といったことで中国は、今後もあらゆる機会を通じて人民元を世界に流通させ、あわよくばそれをドルに替わる基軸通貨に・・・なんて野望を実現させたいところですが・・・(?)

 ・・・にもかかわらず上記のようなことをしているわけです。その理由ですが・・・双方にとって人民元はドルなどと比べると制約等が多過ぎて国際通貨としての扱い勝手がまだまだよろしくない、といったことがあると思われます。そのへんを改善するには人民元の取引等をいっそう自由化する必要がありますが、そうすると中国内に押し留められていたマネーの「エクソダス」が起こって人民元が暴落する恐れなどが出てきます。よってコトを性急に進めるわけにいかない、となり、とりあえずは手元の外準つまりドルで貸し付けでもするか、となった次第・・・ってあたりが実相なのではないでしょうか。

 こちらの記事等にも書いたように、中国は人民元の価値の裏付けにドルを使っています。これを言い換えると、自国の通貨の価値をアメリカというヨソの国に保ってもらっているわけです。その意味で人民元は「疑似ドル」であって、「」のような真の国民通貨つまりその信認を自身の経済力で支えるおカネとはいえません。このドルの呪縛から脱するために中国は金準備を大量に積み上げ、いつの日かこれをドルに替わる通貨価値の裏付け資産にする気なのでしょう・・・が、はたしてかの国に「金本位制」みたいな難しいスキームを無難に運用できるのか、非常に疑しいところだし、当の指導者自身も自分たちにそれができるとは思っていないような気がしますが・・・

 といったこともあって中国は当面、アメリカの通貨をかき集め、他国に融資し、その利息をもらって喜ぶしかない。それは結果としてドルの価値保存機能としての強化や流通拡大等に寄与することになるから、アメリカを喜ばせることにもなる。そんなこんなで中国はドル覇権の維持発展に貢献する役回りを率先して演じることに・・・

 かくして「ドル>人民元」の構図が固定され、中国がアメリカに替わる覇権国に成り上がることは不可能・・・ということになろうかと考える次第です。

(続く)

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