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【「Jカーブ効果」なんて期待できない】Brexit是非の議論から日本が学ぶべきこと④

2016-05-27 00:04:04 | 日本

前回からの続き)

 先述のように、日銀異次元緩和」(≒円安誘導)が始まったばかりの2013年春からしばらくのあいだ、黒田日銀総裁はしきりに「Jカーブ効果」(自国通貨安によって短期的に貿易収支の赤字が増えるが、その後反転し、貿易収支の黒字が[Jの字を描くように]増えること)を強調し、しばらく貿易収支は悪化するが、やがては円安の後押しを受けて輸出額が増え、同収支が好転することで日本は輸出主導の経済発展を遂げる、みたいな発言を繰り返していました。しかし・・・

 ・・・こちらの記事でも綴ったとおり、そして以下のグラフでも一目瞭然、わが国の輸出も貿易収支も、黒田総裁が力説したJカーブを描いていないことは明白です。その理由はこちらの記事等で詳述したとおりですが、端的にいえば、日本の輸出産業・輸出貿易構造がとっくの昔に為替レートに大きく影響されないものになっているということ。べつに円安になったら急に輸出額が増えるわけでも、逆に円高になったからといって急減するものでもない。ようするにJカーブ効果なんてそもそも期待薄だった・・・

 いっぽうで輸入はそうはいきません。円安誘導を開始したとたんに輸入額は急増することになります。原油・天然ガス・鉄鉱石・小麦などなど・・・ドル建てで取引される輸入原材料の円建て価格は円安になれば即座に跳ね上がりますからね、かくしてわが国の貿易収支はかえって悪化することに・・・。輸出額はほとんど増えず、輸入額が一気に増えれば当然です。これがアベノミクス開始以降の日本の貿易の実態です。

 さすがの黒田総裁も最近はJカーブ効果というワードを口にすることはなくなりましたね~。おそらく「円安誘導は輸出振興に効果なし」―――この当たり前すぎる(?)事実に(ようやく?)お気づきになられたのでしょう(?)。であれば―――輸出という唯一の成長エンジンに力を与えることができないのならば―――いったい何のための円安誘導なのか?と自問していただきたいものです、黒田日銀には。まさか・・・本稿前段で書いた「自国通貨の大幅下落で経済成長率は押し下げられ、輸入インフレが起こって、実質所得も大きく減少へ」という、英国におけるBrexit(EU離脱)是非を巡る議論では国家的な災難と考えられる事態に日本国を意図的に陥れて喜ぶことを目的にしている(?)とは思いたくはないが・・・(って、それでは売〇〇になってしまいますからね)

 とまあ、いつものように脱線気味ですが、EU離脱すべきか否かを問う国民投票が近づく英国発のニュースに接したら、本稿で記したことを思い浮かべていただくのもよろしいかと。「あれ?日本は英国民ならばイヤがるような方向に行こうとしているぞ」ってことに気付くでしょうから・・・

(「Brexit是非の議論から日本が学ぶべきこと」おわり)

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