(前回からの続き)
ということで、アベノミクスが「カブノミクス」(アベノミクスの私的造語:取り柄は「株のみ」)を追求するあまり、通貨安誘導政策を展開した結果、わが国のGDPや国富は激減、自衛隊の戦力は大きく低下、そして、わが国のアキレス腱(エネルギー)はいっそう脆弱になり、あげく、北方領土返還交渉の相手国ロシアには「敵に塩を送る」始末・・・
本ブログで何度も書いているように、そして本稿のタイトルのとおり、一刻も早く上記の異次元さに気づき、本来の次元すなわちアベノミクスとは正反対の、「円」の強さを活かす方向に舵を切るべきだと考えるものです。その過程で、残念ながらその「戻り地獄」(アベノミクスが高値掴みしたリスク資産が暴落すること)は避けられないとみていますが、外国人はともかく日本人投資家(年金基金、本邦企業および個人等)だけでもその被害を最小化するべく、対処を急いだほうがよろしいかと・・・(?)
上記を意識しながら、あらためて本稿でご紹介した本グラフ(1970年から現在までの米ドルに対する円の価値の推移)をみると、何となくその方向は見えてきます。すなわちまずは単純に円預金(≒日本国債投資)、あるいは円のキャッシュをホールドすることでしょう。逆にドル等外貨への投資はNGです(直接投資も同様)。ただでさえアベノミクスのいまはこれらが円に対して極端に高くなっているうえ、2012年までのトレンドをたどれば分かるように、わたしたちにとっては、利息が付く米国債への投資だって、割に合うものではありません。これらの価値の保存力は円の現金(当然、無利息)にすら負けるためです。したがって、かりに外貨建て資産に投資するとしたら・・・元本割れリスク承知でハイリターン狙いの株とかジャンク債がその対象になりますが、これらは巨大な「双子のバブル」を形成していて、いまは手出しが危険でしょう。なので結論は、円で巣ごもり・・・って、こちらの記事に書いたように、多くの日本人がすでにそうしているので、上記のダメージは多少は緩和されそうです・・・
次は・・・やはり「金」(ゴールド)なのでしょうね。本稿では、円が強いほうが好ましいことの理由は、その意味するところがドル価値すなわち石油購買力の上昇だから、としてきました。したがって、円のほかに安全確実にこれをもたらしてくれる資産、そして「通貨」・・・としての性格を合わせ持つ投資対象は、となれば・・・金以外にないのではないでしょうか。
実際、金は、本稿前段で論じた石油価格の上昇に対して、円をも上回る価値保存力を示しています。1970年つまりニクソン・ショック(米ドルと金の兌換停止)前年まで金は1トロイオンス35ドルでした。これが2012年(アベノミクス前年、原油価格が110ドル/バレル前後に上昇)には同1800ドル付近(10月、年最高値同1792ドル)となりました。すなわち1970年→2012年の上昇倍率は、原油が約60倍(1.8ドル/バレル→110ドル)のところ、金が約50倍ということで、円の約13倍をはるかに上回り、原油に迫る値となっています。よって、不換通貨では世界最強の円のリスクヘッジを図るとすれば、こうした観点から自ずと「金」になる、と考える次第です。
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