世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【実質は中国の韓国救済策】中韓通貨交換協定:あらためて意識される「円>ドル>他通貨」①

2017-10-23 00:04:43 | アジア

 以前から書いている通貨の強さを示す不等式(実質金利の高い順に並べたもの)「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」があらためて意識されるニュースでしたね・・・

 報道によれば韓国銀行(中銀)はこのほど、韓国中国が緊急時に資金を相互に融通する「通貨交換(スワップ)協定」を3年間延長することで中国側と合意し、中国人民銀行と契約を結んだと発表しました。同期間・融資限度枠(3600億人民元・64兆ウォン)ともにこれまでの契約と同じです。

 2009年に始まり2011年に現行規模にまで拡大されていた本協定は今月10日が期限でした。ご存知のように中国と韓国は、米軍による高高度迎撃ミサイルシステムの韓国配備をめぐって関係が悪化しており、そのために韓国では中国の反対で本協定が消滅するのではないか、と心配する声が上がっていました。そんな中での延長合意ということで、下記セイフティーネットをとりあえずキープできた形の韓国はさぞかしほっとしたことでしょう。

 こちらの記事を含めて何度か書いているように、韓国・・・経済の最大の弱点はこのあたりにあります。つまり、同国には金融危機の際に大規模な資本流出が起こって通貨ウォンが暴落し、外貨建て債務の支払いに窮して最悪、デフォルトに追い込まれるリスクがあること。これに備えるために、まずは外国人投資家のウォン売りに対抗できるだけの十分な外貨を持つ必要があります。ということで韓国は現在(8月末)3848億ドルの外貨準備を保有するに至っています。これ、世界第9位というスケールだそうで、これだけあれば大丈夫なのでは、と思いたいところですが、実際にはそれでも不安がぬぐえません。2008年のリーマン・ショック直後、同国は2000億ドル以上もの外貨準備高があったにもかかわらずウォンは対ドルで急落し、デフォルト寸前(?)に追い詰められたためです。

 そこで次の手が上記の通貨スワップ。これがあれば、外貨が枯渇した場合でも協定締結国からマネーを融通してもらって資金繰りをつけることができるし、当該セイフティーネットがあること自体が信認強化につながって「韓国売り」を緩和させる効果も期待できる、といった具合です。

 以上のように考えると、今回の上記協定は、実質的には中国による韓国救済のための枠組みと解釈するべきでしょう。こちらの記事等でも書いたとおり、まあ中国にも資本流出リスクはあるものの、同国の外準は世界一の額ですから、これが底をつく事態は考えにくいわけですからね。したがって、中国としては本件で韓国に恩を売って朝鮮半島情勢に影響力を保持しつつ、いっぽうではこのスキームを通じて人民元の国際通貨としての地位向上を図ろう、といったねらいがあるものと想像されます。

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする