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【本四架橋コスト回収に暗雲】選択と集中が求められる公共事業①

2013-09-05 00:03:49 | 日本

 先月末、国土交通省は、本州・四国間の橋梁(本四架橋)を通る高速道路の運営会社「本州四国連絡高速道路」(本四高速会社)の支援のための出資を来年度は見送る方針を決めました(NHKニュースより)。

 3ルートからなる本四架橋は約2.9兆円もの巨費を投じて建設された国家的プロジェクトです。ところが開通当初から交通量が想定を下回る状態が続き、本四高速会社が手にする料金収入だけでは借金を払えないことが明らかでした。2003年にはこのうちの約1.3兆円が切り離されて税金で穴埋めする一方、国と周辺自治体が毎年数百億円を出資して同社の借金返済に充当してきましたが、財政難に苦しむ自治体がその負担に耐えらなくなったことで、この返済スキームの見直しが必要になったというわけです。

 で、1.4兆円にのぼる同社の債務の今後の返済計画については、本州の高速道路会社の料金収入を充てる方向で検討していくことになりました。それを元手にして借金を返しながら、本四高速の料金を引き下げて交通量の増加を図ろうという目論見のようですが・・・。

 本四架橋のこのようなニュースや債務返済の経緯をみていると、いまさらながら「はたして本州と四国の間に3橋も必要だったのだろうか」という気がしてきませんか。

 下のグラフは3ルートの代表的な橋の交通量(台/日;平成22年度)を比較したものです(出典:国土交通省資料)。これによると3つのうちいちばん東、つまり関西圏との最短ルートである大鳴門橋(神戸淡路鳴門自動車道)の交通量がもっとも多く、逆にいちばん西側の多々羅大橋(西瀬戸自動車道)が最少で全体の13%あまりを担っているだけ、という結果になっています。

 これがもし1橋だったとしたら、たとえば真ん中のルートで鉄道も併設されている「瀬戸大橋」だけが建設されていたとしたら・・・。上記の交通量のほとんどが瀬戸大橋だけを利用することになっていたでしょう。多くの車両が使うから通行料はいまよりかなり安く設定できたはず(本州四国間の物流コストもそれだけ低かったはず)。それでも建設コストの回収はずっとスムーズにできたことでしょう。ちなみに瀬戸大橋を含む瀬戸中央自動車道の総工費は6700億円です(3ルート合計の23.3%)―――。「何をいまさら・・・」の虚しい空想ですが・・・。

 もちろん3橋があったからこそもたらされたさまざまな経済効果や、それにともなう国や地方の税収の増加等もあるのでしょう。しかしそれらが上記の巨大コストに見合ったものといえるのか疑問です。実際、3橋の恩恵をもっとも受けると思われた周辺の自治体が「本四高速会社への資金拠出はもうムリ!」と音を上げたわけですから・・・。

(続く)


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