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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

アベンジャーズ エンドゲーム

2019-06-20 09:25:00 | 映評 2013~
人間は生きていると、深く強く後悔を感じる時がある。
あの時あの娘に告白していたら・・・あの時あいつに謝っていれば・・・あの時折れずに意地を通していれば・・・
そんな感じの強く深く激しい後悔を私は「アベンジャーズ・エンドゲーム」を見終わった時に抱いた・・・
 
ああ、今までのマーベルヒーロー映画全部映画館で見ていたら
 
血が煮えたぎるような分厚い感動をしたのだが、実を言えば「アイアンマン」名義の三作はちゃんと観てないし、ソーもバトルロイヤルしか観てないし、ハルクも観てないし、アントマンの二作もキャプテンマーベルも観ていない
その他の観た作品だって実を言えばガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズ以外は映画館で観ていない。全部WOWOWか、妻の実家のブルーレイを姪っ子たちと観ただけだった。
それでもエンドゲームに激しく感動した。
いい例えかわからないが、カーリング女子チームのメダルを4年に一度のオリンピックでだけ応援していた私より、毎シーズンカーリング場に行って応援していた人の方がはるかに熱い感動を感じていたであろう・・・
・・・というのと同じで全作を映画館で見続けていたら、私の感動なんかとは桁違いどころか別次元の感動を覚えたに違いない!!と思ったのだった。
なんか今私が「エンドゲーム最高!」って言うのって、平昌でメダルの可能性高くなってからカーリング見始めて「そだねーそだねー最高!」とか言ってる奴らと同レベルなのかもしれない
 
いや正直マーベルの一連の作品には、傑作もあれば、うーん・・・な作品もあり、正直これまで掛け値無しに面白い!と思ったのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(以降GOTG)くらいだった
でも、少々つまんなくても、多少くだらなくても、それでもヒーローたちを愛してついてきた人たちにはきっと人生最大級のハッピーが届けられたのではないかと思うのだった
 
だからこれを今年の終わりに2019年度のベストワンでーす!とか言ったら、今まで観てこなかった奴が何言ってやがると笑われるような気がして、ちょい後ろめたい
でも、私は、1位かはわからないが、堂々とベスト作品に上げるだろう。
 
いいじゃないか
 
キャプテンもアイアンマンも、そんな私を受け容れてくれると思う!!
 
そんなアベンジャーズ・エンドゲームへの想いを極力ネタバレなしで語りまくってみようと思う
 
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【何がそんなに感動なのか】
ポイントはいくつか
・これまでのシリーズに登場し、この映画のタイムライン上で生きている者はだいたい出てくる
それがロバート・レッドフォードのような大物であっても出てくる
ストック映像の再利用ではなく新撮で出てくる
あ、こいつは
おお、この方も
・・・的な驚きと喜びの連続
 
・ゴリゴリCG&デジタル加工とわかっちゃいても魂を焦がす神々しいショットの数々
特にあのマーベル姉さんズそろい踏みワンショットの壮絶さは、額に入れて飾りたいくらいだ
 
・推しメンのキャプテンが泣かす
私はキャプテンアメリカのことを人として心から尊敬している
あの恰好はちょっと恥ずかしいし、頭悪そうに見えるけど、かれこそキャプテンの名にふさわしい、真に高潔な人だ
そのキャプテンのこれまでの作品での積み重ね、叶うことのなかった思いなどなどがすべてきれいに結実する
 
それはアイアンマン目線でも、ソー目線でも同じだろう
ヒーロー全員がそれぞれ人生を全面肯定する
だからこの映画は人生の映画なんだと思う!!
 
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【シリーズの相関】
そうは言っても本作単体をいきなり見始めた人はどこまで感動できるのだろうか
最低限、前作インフィニティ・ウォー(以降AIWと記す)は観ておかないと、ストーリーの前提がわからんだろう
それでAIWの前提として、「マイティ・ソー/バトルロイヤル」と「シビルウォー/キャプテンアメリカ」は観ておいたほうがよく
「シビルウォー/キャプテンアメリカ」を見るには「キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー」が必須で、さらにそれの前提が「キャプテンアメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」だ・・・などと言い出すと結局全部見なきゃになってしまうのだが。
GOTGはストーリー的にはインフィニティウォーに直接繋がる要素は少なく、実はガモーラとネビュラ以外はそんなにストーリーに関わる活躍はしないので、観なくてもインフィニティ・ウォー→エンドゲームのストーリーの流れについていけないことはない。とは言え観ておかないとガーディアンズの面々の特殊能力や人間関係は理解できないだろう。
 
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【映画批評のひとつの時代の終わり、始まり】
しかしこのエンドゲームという作品から、もはや映画をある1作品だけで評価するのが時代遅れになりつつあるような流れを感じる
原則として一本の映画の良し悪しで賞を決めるアカデミー賞とか、〇〇誌ベストテンとか、古くなっていくのかもしれない。
それは批評家よりファンの発言の方が映画語りにおいて価値を持つ時代になるかもしれない。
 
あるいはこのMCUの一連のシリーズはスポーツのリーグ戦みたいに考えてもよい。
エンドゲームはさしずめワールドシリーズというところで、感動するのは最後に優勝を決めた試合だけど、リーグ戦の色々な積み重ねがあっての感動だ。
 
私はキャプテンアメリカ中心で見たからキャプテンリーグのファンとしてその最終戦を楽しんだ
アイアンマンリーグから来た人たち、ソーリーグから来た人たち、みんながこのエンドゲームで一つになって盛り上がるのだ
 
そんな感じで映画もリーグ戦的な楽しみへと移行しつつある2010年代の終わり
これまでだってスターウォーズにハリーポッターにそういうのはいくつもあったけれど、これからもレジェンダリーのモンスターバースシリーズとかそうなっていくのかもしれないが、これほどまでにファンの心をつかんだファンのための大団円はなかったのではないか。などとにわかファンの私が言うのも気恥ずかしいが
 
だから映画賞も年度で区切らない、シリーズに対して評価するような部門があってもよいのではないかと思う
 
 
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【なんとなくホークアイさんについて】
映画冒頭は前作AIWのラストシーンと同時刻ごろと思われる
そう言えば前作で出てこなかったホークアイの家族団欒シーンから始まる
 
しかしこのホークアイさんであるが、人間離れした超やばい奴らばかりのアベンジャーズの中で「弓がうまい」だけでレギュラーの座を守り通しているのは奇跡と言えるのではないか
 
ホークアイなど昭和ライダーで言えばそのポジションはせいぜいライダーマン・・・いやそれどころか滝和也くらいだよ。
それが、エンドロールではキャプテンマーベルやブラックパンサーよりも明らかに格上扱いで紹介されているこの奇跡
 
そう言えばブラックウィドーだって、「特殊能力:美人」なくらいだけど、また彼女も格上の神6的な扱いになっている。
 
まあでもアベンジャーズのレギュラー6人はいわばウルトラセブンにおけるウルトラ警備隊みたいなもんで、他はゲストキャラ扱いなんだな
そう思うと、
キリヤマ→キャプテン(司令)
モロボシダン→ソー(別の星から来た人)
アンヌ→ブラックウィドー(紅一点)
フルハシ→ハルク(怪力)
ソガ→ホークアイ(射撃手)
アマギ→アイアンマン(発明家)
・・・と、うまくおさまるなぁ・・・
 
 
などとライダー、ウルトラでたとえ出したりして、俺は一体何を言いたいんだ
 
ともかくそれにしても未だによくわからんのはホークアイとブラックウィドーがなんであんなにソウルフルな関係なんだろうか
レギュラー陣の中で圧倒的に弱いという共通要素での絆なのか
それでもなんでも今回ホークアイは主体的にストーリーに関わり、ストーリーをドライブさせていく
戦いではさして活躍しないが(キャプテンマーベルの圧倒的な戦い方を前にして弓が上手いくらいではどうなるものでもないので仕方ない)、ドラマでは活躍する。
ヒーローとしてはたいしたことない彼が変に自虐的にならず堂々とヒーローとして悩み苦しみ戦う姿は印象深いし、どんな自分であっても誇りを持てという作り手のメッセージともとれる
 
そのホークアイが新宿で真田広之と戦うのだが、ここでは「ホークアイ」のもう一つの顔である「ローニン」というヒーローであるのだそうな。
 
【真田さん、そりゃないぜ】
われらが真田広之は「たそがれ清兵衛」等で日本の主要な映画賞を独占していた名優とは思えない、猛烈に濃い紋切り型演技、なんとなくめちゃくちゃ東映がかった芝居をして、断末魔に説明台詞を歌舞伎役者のように吐いて息絶える。なんつーものを見せるんだよ。演出か?なんかのオマージュか?
めちゃくちゃ好意的にみると片言の日本語を話す「ローニン」にも聞き取りやすいように話してあげたニッポンのオモテナシ心なのかもしれない。
上手い下手以前のショーコスギの忍者映画的世界観の突然のぶっこみ。日本人へのサービスだとしたら、いらねーよあんなシーン。せめて刀では勝ったが弓矢で負けたのならトワイライトサムライ真田の面目も立つのだが、普通に刀で負けるし。
日本に媚売りたいならマーベルと東映の共同制作だったバトルフィーバーJでも出せってんだ
この素晴らしい映画における唯一のトホホなシーンであった
 
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【大軍団バトル】
決戦は大軍団同士のバトルというのはロード・オブ・ザ・リングのようだが、しかし2019年にもなって大軍団同士の主に白兵戦によるバトルというのもなんだかすごい画だ
アメリカ軍はこういう時どうして何もしないのだろう?ワカンダ国は国を挙げて駆けつけてきてくれるのに
普段のアメリカ軍はディック・チェイニーに操られて必要もないのにイラクを攻め滅ぼしたりするくせに、こういう時はキャプテンやアイアンマンにお任せして何もしない・・・まあ、キャプテンマーベルの尋常でない戦い方を見れば参戦するのはかえって危険だと怖気づいたのかもしれないが
 
あ、わかったぞ!!そういうことか!!
すでにアメリカ軍はヒドラによって支配されているんだ!!だからヒーローの闘いは無視するんだ。そうか!チェイニーもラムズフェルドもヒドラの一員だったんだ。
きっとトランプもだ!!あいつも小声でアベシンゾウに「ハイル・ヒドラ」とか耳打ちしてるに違いない!
 
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「アベンジャーズ エンドゲーム」
2019年5月30日、TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞
監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
脚本:クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー
音楽:アラン・シルベストリ (燃えるなー)
出演:ロバート・ダウニーJr. クリス・エバンス、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、マーク・ラファロ、ジョシュ・ブローリン(グーニーズのお兄ちゃんが宇宙を滅ぼすくらいにまで成長したとは感慨深い)
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2 コメント

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Unknown (kossy)
2019-06-20 16:35:32
ウルトラセブンに例えたところで笑ってしまいました!
いやいやもっと登場人物多いですけどね(笑)
俺もまだ観てないMCUがあるので絶対的ファンじゃなく
同じように楽しめた口です!
ちょっと今から仕事サボって映画観てきまーす
Unknown (studioyunfat)
2019-06-20 18:28:17
kossy様
コメントありがとうございます

今思うと、ブラックパンサーをフルハシにして、ハルクはカプセル怪獣ミクラスにした方が良かったかもですね
藤田進の地球防衛軍参謀はニックフューリーで、ステーションV3のクラタ体調はキリヤマの親友だからウィンターソルジャーですか
キャプテンマーベルはゾフィーとかw
ドクターストレンジは異世界を行き来するからイカルス星人ですか
スパイダーマンはノンマルトのこどもで
こりゃ止まりません

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