クリントイーストウッド監督の「ヒアアフター」という映画を観に
横浜のららぽーとまで行った
すこし早めに着いて近くのレストランで食事をし
そろそろ映画館に向かおうとしてたその時
地面が揺れた
自律神経のバランスが悪かった時期でもあり
一瞬 自分の身体が自らふらついたのかと思った
ショーウィンドウに陳列してあったバッグや靴が
バラバラと落ち始めた
地震だ!と叫んで 女房の手を取り
ショッピングモールの外の駐車場へ一目散に走った
自分の足元のアスファルトが波打つ光景に
恐ろしさで足がすくんで動けない
館内から溢れ出た大勢の人たちに埋もれて
誰かが携帯で話している声が聞こえた
宮城!? えっ? 大地震?
2011.3.11の出来事だった

観る予定だったヒアアフターという映画のオープニングは
皮肉にも大津波のシーンから始まる
それゆえに震災以降
その映画はすぐに打ち切りとなった
あれからもう11年 まだ11年
人それぞれ 時間の長さも
過ぎてゆく速さも違うだろう
何を思い出しても
そのひとつひとつが語り尽くせない
震災から一年後に訪れた石巻 女川の風景は
忘れることのない記憶
瓦礫の山とモノクロの風景
未だにどんな言葉を使っても
表現できる術がない
あの時を境に
自分の仕事に価値を見出せない日が続いた
こんな状況で何ができる どんな歌も響かない
そしていつからかまた
仕事場で作業しはじめた
もしまだ役目があるのなら
人の心に寄り添える歌を作りたい そう思った
その年の暮れ
作家の伊集院静氏との新たなご縁をいただき
作品が完成した
もしあの地震がなければ
おそらく出会うことのなかったご縁かもしれない
本当ですか 哀しみにもやがて終わりが来るって
本当ですね 哀しみが終わっていつか笑える日が来る
この歌を聴くと
いつもあの日のことが浮かびます
心より哀悼の意を込めて