暁の広場

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430Mhz 山岳移動用3ele八木アンテナの製作

2012-06-14 16:32:01 | エレクトロニクス

前回は角材分割ブームで6エレ八木を作りましたがエレメントを接着したのでかさばり出番がありませんでした。

今回は携帯に便利な様に仕舞い寸法を小さく軽量な3エレを製作しました。3エレ程度でもビームアンテナの特性は体感出来てフロント方向のゲイン、サイドの切れなどはハンディー機付属のホイップアンテナとは雲泥の差でビームアンテナの魅力を垣間見る事ができます。

 八木宇多アンテナは日本人研究者が発明し今日世界中で使われています。動作解析は中々複雑でコンピューターの無かった当時、如何に大変な研究であったかが想像されます。

 昨今ではMMANAというアンテナシミュレーターソフト等があり解析や設計が楽に行えるようになりました。がやはり理論値でしかなくカット&トライがいつの世でも最後の作業となります。

 概略の構成をMMANAでシミュレートしましたが実際組み立ててみると理想値からはかけ離れた結果に。。。。 幾つかの資料を参考に各パラメーターを決めました。最終数値でのシミュレーションの結果は特に問題なく3エレ八木特有の丸っこいビームパターンです。

 特徴は給電部にあり広範囲なインピーダンスマッチングが可能なガンママッチを試してみました。八木アンテナは特性インピーダンスが50Ωでは無く送信側とのマッチングが必要です。webにはダイポール型にパラスティックエレメント(導波器、反射器)を付け直接給電の物も見られます。これは各エレメント間隔と長さ等の適正化を行っていると考えられます。しかしながら可動調整部は無い為一度で成功しないとエレメントを切ったりと大変な作業が予想されます。

 ガンママッチではショートバー位置とバリコンの2箇所の調整箇所があるので調整は極めて簡単で楽です。

 八木アンテナは左右対称なのにガンママッチの給電方法は片側エレメントのみ、両側エレメントに給電するTマッチは殆ど見なくなりました。給電が片側なのにどうして動作するのか長年不思議に思っていました。飛行機の双発エンジンの片肺動作のようなものでなくちょうど振り子のような励振らしいです。エレメント数が多くなるとビームパターンが少し給電側に偏ると言われていますがこれは水平面指向性パターンの場合で垂直偏波で使う場合は影響が少ないのではないでしょうか。

また八木アンテナではブームが金属でも各エレメントは絶縁する必要がありません(給電ガンママッチロッドなど給電ラインを除く)これはエレメント中央が電位ゼロとなる為でアンテナ製作には極めて好都合。八木アンテナが誕生した背景にはこの物理法則が大きく寄与しています何故ならエレメント中央が電位ゼロでなかったら絶縁するか両端支持するかになり大型のHFアンテナではとても不都合なのです。

八木アンテナはエレメント数を増やす事でさらにシャープな指向性と大きなゲインを得ることができます。軽量小型の3エレ八木ですが山頂で無線をやるのならさらにエレメントを増やし8エレ位までは材料を吟味し軽量化を図ると大した重量と体積増加になりません。

 製作は机の上で作業ができ調整も室内で出来るのが430Mhzの良いところHFアンテナだとこうはいきません。

 製作はアルミパイプをパイプカッターで切りエレメント固定のクリップを取り付ける。問題は給電部です。如何に機械的に丈夫で最短で高周波電流を流すか?そして分解が容易な構造にするかです。

 

 1)エレメントのアルミパイプを寸法に切り出す。1/2長センターに印を付けておく

 輻射器326mm 反射器350mm 導波器284mm

 2)給電部の製作 アクリル(当方は5mmポリカーボネートを使用したがプラスチックでも木の板でも?OK)を現物位置関係が収まるよう切り穴あけする。

 

この給電部の製作が一番手間かもしれません。電気的に合理的な接続であれば問題ないので工夫のしどころです。コネクターは取り付けスペースの関係でBNCを使いました。給電ロッドには3mmΦの銅線を使いましたがこれはトリマーコンデンサー(10-15PF)とハンダ付けする為ハンダが付く素材である必要があります。トリマーコンデンサーは手持ちの関係で耐圧の大きな物を使いましたが5W程度までなら小型のエアトリマーでOK。

給電ロッドの保持にスペーサーを取りつけエポキシで固定しました。他の方法でも問題ありません。輻射器(ラジエーター)中心との間隔は20mmです。

給電ロッドの長さは100mm、コンデンサーから80mm位の所でショートバーで短絡固定します。調整はSWR計を見ながらトリマーコンデンサーを回し最低になるようにするだけです。万一トラフ値が上手く出ないようならショートバー位置を動かして再度トリマーバリコンを調整します。

ショートバーは0.8mmT~1mmTアルミ板を一度給電エレメントに巻きつけ型を付けてから半分に切ります。給電ロッド側を少し曲げておくと上手くスライドします。

給電部のブームへの固定  輻射器センター位置に3mmビスで固定しナットから出た部分をブームの穴に入れ半固定し他方にタップを切り4mmビスで脱着分解出来る様にしました。タップが無ければブームの穴を貫通させ蝶ナットとボルト止めでも同じです。

導波器、反射器固定用クリップ取りつけ  クリップは100円ショップで入手出来る一番小さなサイズ。ブームエンドは少し長く残して手で持ったり三脚にマジックテープで固定できる様にしておきます。

トレッキングポールに固定できるようU字クランプを取りつけました。ロープとペグでトレッキングポールを自立させアンテナを固定します。

広帯域な特性を期待して輻射器エレメントは一回り太い8mmΦを使いましが6mmΦでも調整は取れ問題ないと思います。

調整はバリコンを回しただけで431.5Mhz SWR2.1

                    432.5mhz     1.7

                    433.5Mhz     1.2

                       ・

                       ・

                    435.5Mhz     1.1

                       ・

                    438.5Mhz     1.1

 

 期待とおりの広帯域特性でした。 ダイポールとの電界強度比較、パターン測定は省略しました。目標はホイップ以上。。。。。(笑   屋外で使用した感じは良好で普段アンテナ位置の関係でアクセスできないリピーターもアクセス良好。これはビームを振って反射波と思われる建物に向けた結果です。サイドの切れも上々でした。理論値ではゲイン5dB前後です。

 S7の信号もサイドではS0になるのは山での運用に威力を発揮するでしょう。小型ながらビームアンテナの特性を十分持っています。

エレメント径、ガンママッチロッド系や間隔、配線など数mm異なるだけでアンテナの特性は変化しますが広範囲な調整能力をガンママッチが対応してくれますので再現性は良いと考えます。八木アンテナの複雑な動作原理で各部寸法のゲイン最高値がFB比やSWR最良値となりません。エレメント間隔や長さを変える事で沢山の異なった結果が得られます。これが八木アンテナの自作の難しさと言われているところですが私的には実用で便利ならそこそこにです。

 改良点 トリマーコンデンサーはタイト製で重量もありむき出し、防水性は皆無です。ココは調整実験後固定コンデンサーに置き換え微調整はショートバーで行うようにした方が良いでしょうバリコンは8割方入った位置で調整がとれているので10PF程度でしょうか。メーカー製の八木アンテナでは給電ロッドが中空で中を同軸芯線を移動させ静電容量としている物があります。

電気的等価性を守れば作り方は全く自由で工夫とアイディアが生かせる楽しい領域です。

 山岳移動用とは名うったものの山に登らず道具ばかり集める。。。アンテナや機器製作ばかりやって無線やらない家。。。。 作る楽しみなんですけどね^^