Straphangers’ Room2022

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「決算隠し」は容認できない

2016-07-03 11:15:00 | 交通
社長の「解任」がネットで話題になったいすみ鉄道ですが、7月に入ったということは、特殊な取り扱いをしていない限り、会社法の規定から株主総会を終えていないといけません。社長のブログによると、向こう2年間の委嘱を受けたようなことが書いてあることから、総会で重任され、取締役会で引き続き社長になることが決まったのでしょう。

そうなると、株主総会で2015年度(2016年3月期)の決算が承認されているはずで、会社法の規定により遅滞なく決算を広告する義務があります。会社法では非公開の小会社であってもB/Sの概要と当期純利益が必須の公開項目となっており、定款の規定に従い、官報などの日刊新聞紙か、ウェブでの公開をしないと会社法違反になります。

いすみ鉄道は平成26年度、すなわち2014年度(2015年3月期)の年度決算を最後にウェブでの公開をしておらず、定款上は「日刊新聞紙」(紙名を明示する必要はある)だからそれで大丈夫、というのでしょうが、開示の姿勢としては最悪です。特に税金で存続している企業として、その経営成績を一切開示していないのは論外であり、社長以下経営陣はそれだけでも経営における義務を果たしていないと指弾されるべき事態であり、その状態を放置容認している千葉県など税金を原資とした補助金の出し手も、また不適切な税金支出を厳しく問われます。

このことは、国鉄型気動車や観光がどうのこうのというヲタのレベルでの評価とは全く別物であり、ヲタに受けているからといって免責されるものでもありません。特に2014年度には、予算化された補助金だけでなく、短期借入金を計上しており、自社の信用で借り入れなど不可能であることに鑑みると、自治体と金融機関、すなわち株主による「ヤミ補助」を強く疑うものであり、今回の決算でその数字がどう推移しているのか、一時的な借り入れであれば「つなぎ融資」だが、恒常化していたら経営がますます厳しい、ということです。

もちろん株主が判断、承認しているのであれば「いすみ鉄道」の範疇において法的には問題ありませんが、千葉県民として、県税の納税者として、いすみ鉄道の株主である千葉県の支出が適切かどうかを問うことは地方自治法で認められた法的な権限です。
あるいは千葉県知事を選挙で問うことも当然有権者としての権利としてあるわけで、いやいや、いすみ鉄道への支出は適切、ということを説得力ある反論ではなく、「だったらお前が」という茶々や批判封じは、税金の不適切な支出による県民の不利益を容認する論外の行為です。

さて、本件で問題なのはメディアの姿勢です。
2015年に開催された総会については、観光鉄道の取り組みが経営成績に顕れない、という趣獅フ報道が朝日千葉版でありました。
つまり、メディアはいすみ鉄道の総会を取材しているはずで、もし取材不要と認識しているのであれば、招集通知に記載されている事業報告と計算書類、決議事項に目を通したうえでの判断のはずです。

6月30日の朝日千葉版では、銚子電鉄の3期ぶりの黒字化を報じており、旅客運輸収入が伸びており、経常損失も627万円と、足下の運賃収入の伸びが続けば、2016年度は鉄道と濡れ煎餅で黒字化が達成できそうだという内容になっています。
この記事は29日に開催された株主総会で事業報告(と計算書類)が承認されたと冒頭にあるわけで、総会を取材して記事化しているわけです。

一方でとやかく言われる、というとお前が騒いでいるだけ、と言うのでしょうが、昨年の総会、計算書類、さらには事故を巡る不祥事など報道等で指摘されている論点が山積しているというのに、いすみ鉄道の総会が記事にならないのはなぜか。
7月1日の朝日千葉版では、16日からうちわ型急行券を発売するというパブリシティ記事が掲載されていますが、おそらく前日までに総会が開催され、そこで同時に紹介された「広告」だけ記事化したということでしょうし、決算内容も銚子電鉄の記事を思うと、「お察し」としか言いようがないわけです。(もし好転しているのに出さないというのであれば、会社、メディアとも酷いですが)

「公告」すべき内容は報道せず、「広告」だけ記事化するというのはメディアとして論外であり、こうやって当該会社、自治体、さらにメディアのスクラムで税金が費消されていくことを考えると、(前)都知事相手に倫理を説くメディアの姿がいかに白々しいかがよく判ります。




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