Straphangers’ Room2022

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公平さを欠いた比較による露骨な鉄道贔屓

2023-07-31 21:50:25 | 交通
鉄道廃止に伴うバス転換は利用者の逸走を招く、という軌道系マンセーの記事が最近ネットで目立ちます。どうも今年に入って参院の国土交通委員会に出席した参考人がそうしたデータを示したようですが、それを錦の御旗のように振りかざす軌道系至上主義はどうなのか。

そもそもこの問題、「レールボーナス」の話でもあるわけですが、比較自体が公平なものかどうか。バス転換の問題点としては、まず「値上げ」があるわけで、賃率に加え、通し計算がなくなることによるターミナルチャージの二重払いによる値上げの加速も大きいのです。旧国鉄の特定地方交通線転換時には、非冷房の気動車から空調完備のバスということで好評を博したケースも少なくなくなかったのですが、足元は交通バリアフリーということで居住性や荷物の取り回しに難があるアコモということで、バスの利便性が低下しており、まあこれはバス固有の問題だとしたら鉄道有意として扱うべきかもしれませんが、問題が分かっていながら改善できないことに問題があるわけで、それで「非効率」な交通モードを温存すべきというのは、特にそれが行政の負担、税金で行われる以上はあってはならない選択です。

高速バスなどの幹線バスはもちろん、一般路線バスにおいても鉄道の利用の侵食しているケースはいくらでもあるわけで、それこそ未だに未練がましく失敗だとか言われる岐阜の名鉄600V各線の廃止にしても、昭和後期に美濃町線でバスと電車の共通乗車を行ったら、当時はスピードもアコモもバス優位だったのでバスに流れたという結果があります。要は条件次第で何とでもなる世界です。

この手の論者が金科玉条というか、絶対のサンプルとして挙げる京福福井の運行停止期間の問題にしても、「大混乱」となったのは準備もなにもなく代行バスを走らせたこと、わざわざ駅に立ち寄ったこと、といった悪条件がその結果を招いたわけです。同時期に長期間続いた越美北線の災害運休に伴うバス代行でそのようなことは起きませんでしたし、京福福井、今のえちぜん鉄道とは比べ物にならない輸送量の呉線も西日本豪雨でのバス代行を経験していますが、さばききれないという混乱はありましたが、バス停、ルートの工夫で、福井の時に言われたような「混乱」はありませんでした。というか、災害時その他のバス代行時には駅に入らず幹線道路上のこの辺りに停まります、というような対応を事前に定めるようになっており、バス代行の信頼性はかなり上がっています。

通勤通学に伴う「集中率」が顕著であれば確かにバス転換をしたらピーク時に用意しないといけないバスの台数が半端なくなります。ただそう言う路線は鉄道としての維持が不可能ではないレベルの輸送量を確保しています。逆にピーク時で1時間に2本あるかどうか、しかも単行、というような路線では通勤通学輸送でもバス転換は可能です。そもそもすべてを公共交通に頼っていないケースもあるわけで、特にスクールバスの運行も並行して実施しているケースであれば、運転手の確保も含めて白紙で効率的に再編することで対応できるでしょう。

ピーク時にバス転換が難しいほどの需要がある路線であれば、さらにオフピーク時の観光対応とか、集客を図るというような積極策があって然るべきです。そもそもそれだけの人口集積や流動があるのですから、利用を増やすという方向性が全く通じないことはないでしょう。
一方でそれだけに集中がない、利用がない場合は、鉄道であることのメリットがないことを意味します。それこそ鉄道と同等の待遇で適材適所にすれば、効率的な公共交通の維持確保が可能です。


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1 コメント

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Unknown (もと千葉県民)
2023-08-01 10:36:40
京福福井の運行停止は2002年、もう20年以上前の話なのに、この話を出す鉄オタはアップデートできないの? と思ってしまいます。

実際地図を見ると、大野市から勝山を経て福井市郊外まで国道158号のバイパスがありますが、他道の接続点に「永平寺参道IC」「勝山IC」と、わざわざ書かれていることから、かなりの高規格道だと思われます。
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