Straphangers’ Room2022

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誰得のタイ国鉄線形改良区間開通情報

2024-07-29 21:22:00 | 交通
タイ国鉄の「東北本線」は、タイのイサーンと呼ばれる「東北地方」への幹線ですが、イサーンはバンコクなどの低地、平地とちがい、高原状の地勢となっています。そのためナコンラチャシーマ(コラート)に向かう本線と、ケンコーイからノンカイ方面行きルートの別線となるブアヤイ支線ともにコラートの台地によじ登る勾配区間となっています。

ウボンラチャタニー方面、ノンカイ方面の両方のメインルートとなるナコンラチャシーマ経由が本線格ですが勾配が厳しく、かつ最後はメコン川に流れ込む水系のダム湖沿いなど風光明媚ながら隘路となって時間がかかります。ノンカイ方面からラオス、中国へと抜ける高速鉄道の工事も始まっていますが、在来線の体質改善も並行して進んでおり、長大トンネルを介する新線の建設など、ナコンラチャシーマまでの全区間で工事中という感じです。

その中核ともいえる区間のパーサデッドトンネルが7月28日に開通しました。一部複線で5㎞超の長大トンネルを含む片勾配で高原によじ登りますが、線形改良も含めると40㎞以上の新線となっており、また既存区間もホームの高床化とか近代化が進んでいます。

ところがこの新線区間、開業初日に「事件」が発生しています。
タイ国鉄というと非冷房の3等車がデフォルトですが(2等座席も客車は非冷房。一部2等寝台も非冷房)、トンネル内では建設工事中に蓄積した粉塵がそのまま残されていたため、列車が入ったとたん粉塵を巻き上げて車内は白煙が充満したかのごとき状態になったようです。頭から粉塵を被った状態に加え、スマホも砂まみれになり、タイ国鉄では8月中旬まで新線経由をストップして清掃に努めるようです。

もともとタイ国鉄はトンネルが数えるほどしかなく、3等車で窓全開でトンネルを通っても延長が1㎞程度とあって寒くて風が舞い込みうるさい、というレベルで済んでいましたが、今回は先例のない長大トンネルを窓全開で走ることで初めて分かった事態です。まあ日本でも長大トンネルを窓全開で通過することはこれまでありましたし、粉塵が舞い込むということはSL列車でもない限りありえなかったのですが、これが初期トラブルで済む話なのか気になるところです。
なおタイ国鉄では年6回SL列車運行されますが、石炭ではなく重油燃焼方式に改造された機関車であり、ディーゼル車と同レベルの「排気」です。(煙とかは演出の面が強い)

現地の報道では「タイのキハ47」のけぶる車内の写真が出ていますが、クルンテープアピワット-ウボンラチャタニー間の急行でしょうね。急行料金を取っての粉塵責めというのはあんまりな話です。というか、この急行の2等車と、昼行特急、夜行特急のそれぞれ1往復、そして夜行快速2往復の2等寝台以外は非冷房なので、トンネル側の問題が解決できなかったらどうするんでしょうね。


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