JALが福岡行き最終便でオーバーブッキングの調整が出来ずに欠航するというまさかの事態を起こしました。
どうやら最終的には調整がついたようですが、時すでに遅し、福岡空港の門限が迫り、出発を断念したということです。
これだけでもグダグダなんですが、夜半に長時間の振替待ちとなり、翌朝は早朝にチェックインの仕切り直しと言われていながら地上係員がやってきたのが「締め切り」の直前と、もう最悪の状態です。
経営破綻以降の立て直しで、「殿様商売」が目に余るANAに比べてサービスが見違えるほど良くなったという評判が確立していただけに、せっかく積み上げてきたリカバリーを一気に吐き出す事態です。
オーバーブッキングの数字が26名。おそらく本来の見込み通りにキャンセルや予約変更に回った乗客もいるでしょうから、いったい何人超過していたのか気になるところです。しかもそれが最終便ですから、後送りできないというまさに「背水の陣」で何を根拠に予約を受けたのでしょうか。
確かにノーショーなどの減数はありますが、平日の最終便近辺での推移を伊丹便などで見てきた身としては、少なくともラス前となる前便の受付締め切りの時点である程度の絞り込みは可能です。(座席変更を目論んでもラス前が出たらもうあまり動かないが、それまでは結構動きがある)
(神戸空港にて。2008年12月撮影)
しかし今回はチェックインどころか搭乗まで開始して、しくじったわけです。変更を受け入れたフレックストラベラーもいますから、搭乗の段階で何人ダブったままだったのか。おそらく無理では、と思っていたのでしょうが、何とか機材変更を図る、あるいは臨時便を出す、さすがにそれは荒唐無稽なように見えるでしょうが、基幹拠点の羽田ですから可能性は追及できます。
それか満席同士ではあるでしょうが、ANAやSFJ、SKYの空席があれば押さえる。SFJの北九州便を押さえる。何が何でも帰らなきゃ、という乗客に北九州からのタクシーを付けて打診する。リードタイムがあれば取れる対応は増えますが、翌朝の対応も含めて地上側の鈍さ、緊張感のなさが最悪の結果を招いたのでしょう。
結局400人近くが会社都合の欠航となり、2万円のお詫び金を配らざるを得なくなったわけです。フレックストラベラーの規定通りの2万円にこだわったのも拙いやり方で、5万円、10万円と釣り上げなかったのはなぜなのか。800万円のお詫び金を配り、交通費を負担し、ケースによっては当夜から翌朝のスケジュール変更やキャンセルに伴うコストも負担することを考えたら、26名に10万円を払っても安かったのです。さすがに5万円、10万円なら心が動く人も多いでしょうから、あっけなく決着した可能性すらあります。
とにかくこんなザマになったのはなぜか。オーバーブッキングという慣行自体が問題なんですが、あれこれ理由をつけて肯定する、擁護する評論家やコメンテーターの多いこと。確かにノーショーや間際の変更も少なくなく、自分自身直前に変更をかけることがそこそこありましたし、「乗り遅れ」すらあります。(保安検査締切後ではあるが「出発前」だったので変更扱いで済んだが)
だからといってオーバーブッキングは肯定できるのか。あくまで「予測」「見込み」であり、重複分の人数が必ず来ない保証はありません。全員が搭乗希望になる可能性だってあるわけです。
ニュースショーのコメンテーターのなかには、「譲り合いの精神で」とか寝言をほざいていましたが、今回は総ての乗客に髪の毛一筋の落ち度もありません。乗る意思表示をして金まで払って「ダブりでした」は120%事業者の責任であり、譲り合いの精神がないとか言われる謂れは全くありません。だいたい、本来であれば航空会社が責任をもって調整しないといけないのに、「自発的に」客が申し出たという形態をとるというのも嫌らしい話であり、この手のコメンテーターには業界関係者もいましたが、ムラ社会の非常識を押し付けないでほしいものです。
輸送契約が成立して、一方当事者の都合で債務不履行が発生しているのです。不可抗力の域でもなく、事業者事由であっても故障などの偶発性でもなく、意図的なダブルブッキング、すなわち故意の行動の帰結です。いろんなところにちりばめられている免責を主張しても、おそらくその規定の適用は不当として賠償は認められるでしょう。というか、それくらいのリスクがあるよね、と縛らないとモラルハザードになります。
空席があるのに乗れない人がいるのは公共交通機関としていかがなものか、としたり顔でいうコメンテーターもいますが、新幹線は自由席もあるし立席が認められていますが、高速バスはオーバーブッキングをしているか、していませんよね。
だいたい、もともとキャンセル待ちの制度があるわけで、当日空港で申し出る以外にも、早い段階(変更等の発生が容易に見込まれる段階)ではキャンセル待ちでの予約を受けています。
少なくとも当日中の振替が効かない(最終)便では、オーバーブッキングを禁止する。その代わりキャンセル待ちの予約を今より多く受けて、入れ替えることで対応する。最終的には当日の空港カウンターでキャンセル待ちを受けて、空席ゼロで出す。それでいいはずです。(キャンセル待ちは保安検査締め切り時点で確定するので、搭乗口で待っているキャンセル待ちを通常のタイミングで搭乗させることに支障はない)いや、全便でこの対応でもいいはずです。それをしないのはなぜか。
さらに言うと、オーバーブッキングの問題は、定員以内で予約を取った人が、それ以上の過剰予約で予約できた人に劣後することです。
先に搭乗手続きをすれば乗れてしまう。欠航に至った事例はないといいますが、1名2名のレベルであれば、カウンターでお詫び金を積んで事なきを得たケースもあるでしょう。そしてその人は実は早期に予約していたかもしれないわけで、予約の順番ではなく手続の順番で乗れる乗れないが決まるとなると、果たして公平なのか。上級会員であっても乗れませんから。
どうやら最終的には調整がついたようですが、時すでに遅し、福岡空港の門限が迫り、出発を断念したということです。
これだけでもグダグダなんですが、夜半に長時間の振替待ちとなり、翌朝は早朝にチェックインの仕切り直しと言われていながら地上係員がやってきたのが「締め切り」の直前と、もう最悪の状態です。
経営破綻以降の立て直しで、「殿様商売」が目に余るANAに比べてサービスが見違えるほど良くなったという評判が確立していただけに、せっかく積み上げてきたリカバリーを一気に吐き出す事態です。
オーバーブッキングの数字が26名。おそらく本来の見込み通りにキャンセルや予約変更に回った乗客もいるでしょうから、いったい何人超過していたのか気になるところです。しかもそれが最終便ですから、後送りできないというまさに「背水の陣」で何を根拠に予約を受けたのでしょうか。
確かにノーショーなどの減数はありますが、平日の最終便近辺での推移を伊丹便などで見てきた身としては、少なくともラス前となる前便の受付締め切りの時点である程度の絞り込みは可能です。(座席変更を目論んでもラス前が出たらもうあまり動かないが、それまでは結構動きがある)
(神戸空港にて。2008年12月撮影)
しかし今回はチェックインどころか搭乗まで開始して、しくじったわけです。変更を受け入れたフレックストラベラーもいますから、搭乗の段階で何人ダブったままだったのか。おそらく無理では、と思っていたのでしょうが、何とか機材変更を図る、あるいは臨時便を出す、さすがにそれは荒唐無稽なように見えるでしょうが、基幹拠点の羽田ですから可能性は追及できます。
それか満席同士ではあるでしょうが、ANAやSFJ、SKYの空席があれば押さえる。SFJの北九州便を押さえる。何が何でも帰らなきゃ、という乗客に北九州からのタクシーを付けて打診する。リードタイムがあれば取れる対応は増えますが、翌朝の対応も含めて地上側の鈍さ、緊張感のなさが最悪の結果を招いたのでしょう。
結局400人近くが会社都合の欠航となり、2万円のお詫び金を配らざるを得なくなったわけです。フレックストラベラーの規定通りの2万円にこだわったのも拙いやり方で、5万円、10万円と釣り上げなかったのはなぜなのか。800万円のお詫び金を配り、交通費を負担し、ケースによっては当夜から翌朝のスケジュール変更やキャンセルに伴うコストも負担することを考えたら、26名に10万円を払っても安かったのです。さすがに5万円、10万円なら心が動く人も多いでしょうから、あっけなく決着した可能性すらあります。
とにかくこんなザマになったのはなぜか。オーバーブッキングという慣行自体が問題なんですが、あれこれ理由をつけて肯定する、擁護する評論家やコメンテーターの多いこと。確かにノーショーや間際の変更も少なくなく、自分自身直前に変更をかけることがそこそこありましたし、「乗り遅れ」すらあります。(保安検査締切後ではあるが「出発前」だったので変更扱いで済んだが)
だからといってオーバーブッキングは肯定できるのか。あくまで「予測」「見込み」であり、重複分の人数が必ず来ない保証はありません。全員が搭乗希望になる可能性だってあるわけです。
ニュースショーのコメンテーターのなかには、「譲り合いの精神で」とか寝言をほざいていましたが、今回は総ての乗客に髪の毛一筋の落ち度もありません。乗る意思表示をして金まで払って「ダブりでした」は120%事業者の責任であり、譲り合いの精神がないとか言われる謂れは全くありません。だいたい、本来であれば航空会社が責任をもって調整しないといけないのに、「自発的に」客が申し出たという形態をとるというのも嫌らしい話であり、この手のコメンテーターには業界関係者もいましたが、ムラ社会の非常識を押し付けないでほしいものです。
輸送契約が成立して、一方当事者の都合で債務不履行が発生しているのです。不可抗力の域でもなく、事業者事由であっても故障などの偶発性でもなく、意図的なダブルブッキング、すなわち故意の行動の帰結です。いろんなところにちりばめられている免責を主張しても、おそらくその規定の適用は不当として賠償は認められるでしょう。というか、それくらいのリスクがあるよね、と縛らないとモラルハザードになります。
空席があるのに乗れない人がいるのは公共交通機関としていかがなものか、としたり顔でいうコメンテーターもいますが、新幹線は自由席もあるし立席が認められていますが、高速バスはオーバーブッキングをしているか、していませんよね。
だいたい、もともとキャンセル待ちの制度があるわけで、当日空港で申し出る以外にも、早い段階(変更等の発生が容易に見込まれる段階)ではキャンセル待ちでの予約を受けています。
少なくとも当日中の振替が効かない(最終)便では、オーバーブッキングを禁止する。その代わりキャンセル待ちの予約を今より多く受けて、入れ替えることで対応する。最終的には当日の空港カウンターでキャンセル待ちを受けて、空席ゼロで出す。それでいいはずです。(キャンセル待ちは保安検査締め切り時点で確定するので、搭乗口で待っているキャンセル待ちを通常のタイミングで搭乗させることに支障はない)いや、全便でこの対応でもいいはずです。それをしないのはなぜか。
さらに言うと、オーバーブッキングの問題は、定員以内で予約を取った人が、それ以上の過剰予約で予約できた人に劣後することです。
先に搭乗手続きをすれば乗れてしまう。欠航に至った事例はないといいますが、1名2名のレベルであれば、カウンターでお詫び金を積んで事なきを得たケースもあるでしょう。そしてその人は実は早期に予約していたかもしれないわけで、予約の順番ではなく手続の順番で乗れる乗れないが決まるとなると、果たして公平なのか。上級会員であっても乗れませんから。