Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

ある意味財務省より酷い対応

2018-04-19 22:50:00 | 時事
セクハラは否認する、騒がしくて仕事にならないから辞任する、という支離滅裂な理由を掲げた辞任会見、そして次官の人権はどうなる、と大臣が大見得を切ってからわずか5時間でちゃぶ台返しどころじゃないどんでん返しが待っているとは思いませんでした。

それでも「一部だから」とセクハラを否認している厚顔には恐れ入りますが、ここまで突っ張ってしまうと、次官の辞任だけではなく、庇い続けた大臣の責任も不可避でしょう。少なくとも未明の段階で大臣が速攻で批判しないといけなかった事案であり、それができていなかった時点で最後のチャンスを失ったといえます。

財務省側が問題であることは言うまでもない話ですが、この急転直下の事態で特大ブーメランとなったのはテレビ朝日でしょう。
なんか被害者面をしていますが、局長は懲戒、社長の引責辞任があっておかしくない事態です。

ある意味「加害者」というしかないのがテレビ朝日です。
セクハラ被害を職制に報告したのに、職制が握りつぶした。セカンドレイプの可能性といいますが、実際にはそんな被害者思いの話ではなく、取材先としての財務省のご機嫌を損いたくない、いわば財務省との関係を優先してセクハラ被害者に泣き寝入りを強要したわけです。社会人として、管理職としてセクハラについていろいろ教育を受けますが、これは一番やってはいけないこととして叩き込まれる話です。

NHKのニュースでは、取引を考えると、という「街の声」を流していましたが、今はそれをやったらコンプラ問題です。よくも言ったな、と加害者側が「反撃」したら、その時点で個人犯罪ではなく会社の犯罪になりますから、株主代表訴訟その他の責任を経営者は問われる事態になるわけで、ブラック企業やオーナー企業はわかりませんが、上場企業ではまずやらないでしょうし、取引先からそういう申し出があったら、事実確認をしたうえで、まず処分、謝罪しかないでしょう。厚巻きに対応して、穏便にして頂きたく、としないと、爆弾を抱えてしまいます。

さらに、取材で得た情報を週刊新潮に流したのは倫理上問題、と言ってしまったのがダメ押しです。
外務省公電事件のように、情報を政治家に流して政局を仕鰍ッた、というのであれば問題ですが、メディアに流したわけです。
ここで重要なのが、次官がセクハラをした、という事件を録音という絶対の証拠付きで入手したテレビ朝日は、報道せずに握りつぶしたのです。この時点で自社で報道する気がない、ということですから、記者としての倫理観というのであれば、犯罪を報道せずに握りつぶすことではなく、報道する方向で動くことは記者としての任務を全うする方向といえます。

擁護派の最後のよりどころも「記者の倫理ガー」ですが、情報を社として握りつぶした時点で別次元のステージになっているのです。
そして徹底的に批判されるべきでありながら、脛に傷持つメディア全社がだんまりを決め込んでいるのが、この「握り潰し」すなわち「報道しない自由」という、国民の「知る権利」を妨害したという事実です。
次官のセクハラを知りながら、握り潰した。報道機関としてこれこそが最大の問題であり、テレビ朝日が財務省を忖度した、という事実は、これまで「報道ステーション」を筆頭に批判を繰り返してきた陰で正反対の行動をしていた、という裏切りは、社長の引責辞任があって当然の話です。

そしてこの期に及んでもなお、というのがその「報道ステーション」です。
元共同通信記者、白鴎大学特命教授のコメンテーターが少しでもテレビ朝日の肩を持とうと必死で、記者会見したからギリギリセーフだとかほざいて、キャスターもテレビ朝日が財務省に抗議しました、と偉そうに言っていますが、握り潰した時点でアウトなんですよ。いまさら何をやっても遅い遅い。冒頭で「テレビ朝日がセクハラ被害をもみ消し、情報を握りつぶしていました」と謝罪から入ってしかるべきでしたが、他人事のように、偉そうに言っているのには呆れ果てました。

そして、通り一遍の報道でCMを挟むレベルの時間も割かずに次官の直当たり取材の報道でお茶を濁してから日米首脳会談のニュースにスイッチする逃げ腰は、自社の問題を矮小化したい意図が見え見えです。矮小化という意味では、今朝のニュースショーで各紙朝刊の1面紹介のコーナーで、朝日だけテレビ朝日の記者が被害者、という情報が1面に見当たらなかった(見出しがなかった)のもそうでしょう、0時からの会見なら1時頃の最終版の降版には十分間に合うわけで、他紙がきっちり載せているのになぜ朝日は省いたのか。この期に及んで「報道しない自由」でしょうか。

最後に、「報道ステーション」の内容で看過できなかったのは、記者会見でわざわざこの質疑だけなぜ報道したのか。
NHKは「握り潰し」への質問を報道したのに、テレビ朝日が報じた唯一の質疑が、週刊新潮への情報提供に金銭授受があったのか、というもの。これは被害者を貶める意図が明白でしょう。会見では否定していましたが、その質疑を流すことで、金銭目当てで情報を売ったのかもよ、という先入観を与え、テレビ朝日の非を隠し、記者に何か落ち度があったという印象操作をしているわけです。取材情報を週刊新潮に流したのは遺憾、という会見コメントも含めて、記者に落ち度ありとするのは、セクハラ被害の泣き寝入りを強制し、セクハラ犯罪の情報を握り潰すという法人として、報道機関として論外の行動を覆い隠そうとする最低の行為です。

これは、財務省側を批判するよりも強く批判すべき事象です。