Straphangers’ Room2022

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財団法人の「統治」

2018-01-05 00:28:00 | ノンジャンル
こんなところでグジグジ言っても仕方がないんですが、相撲協会を巡る問題は登場するプレイヤー総てが馬鹿さ加減を晒しまくっているのには呆れるほかありません。ラスボス的に登場して超弩級の斜め上っぷりを晒したのが評議員会の議長ですが、会見の詳細を見ると「礼を失する」なんてかわいいレベルの問題発言をしてますね。

11月の理事会で暴行事件が報告されなかったことにつき、警察の捜査中であり警察からも口止めされていたから隠蔽じゃない、って三歳の子供でも分かる妄言でしょう。一般企業のインサイダー情報と同様で、対外厳秘で情報を管理すればいいだけです。それをしないで理事会に報告が無かったというのは、理事としての義務違反であり、本件で何か協会が責任を負うことがあれば、適切に理事会に諮ることを妨げたとして、賠償責任を負ってもおかしくありません。

財団法人における評議員会は株主総会と同列であり、だから理事、監事の選解任を行う権限を持ちます。
理事と理事会の行動を監視するのは監事ですが、監事は何をしていたのか。そして株主と同列になる評議員がこんな「いかさま」をしていてどうなるのか。一財ではなく公財というのに、なんという杜撰な経営なのか。

もちろん一般事業法人でも全株主が良しとすれば法令定款に違反しない限りトンデモが可能ですから、ひとり相撲協会だけを責めるわけにはいきませんが、だとしても公益財団法人としてふさわしいガバナンスなのか。
もっとも、定款で定められた方法で選出された一握りの評議員に「全株主」同等の権限を付与しているという、譲渡禁止特約のついた非公開会社レベルの閉鎖的な「所有者」が公益法人の最高意思決定機関というのもなんか変な話です。
このあたりが社団法人のように社員総会に最高権力を委ねているのとの違いですが、相撲協会の場合、財団法人という制度設計がいちばんダメな形で発露したガバナンスと言えます。

結局は「興行主」に過ぎない存在に財団法人格、さらには公益法人格を与えてしまった所管官庁の失敗なんですが、「興行主」であるのなら、興行を成立させない方向で締め上げる、という意見もあるわけです。
しかしそれを妨げるのが馬鹿さ加減を晒すプレイヤーの「最後の一人」なわけです。要は「観客」の相撲を見たいという欲求。これがコンプライアンスその他の社会正義や倫理的規範を無視する行動に駆り立てることで、相撲協会は支えられています。

それこそ八百長問題、野球賭博問題に、ちょこちょこ出てくる薬物問題、さらには「かわいがり」による「殺人」もありましたが、それで客離れ、ということが無いのが現実であり、残念ながらそれが相撲ファン、好角家と言われる人たちの倫理性なのです。
今回にしても、問題が発覚した直後の九州巡業に地元の人がつめかけ、白鵬など「当事者」の姿を有難がったわけです。

その国民性ゆえに「圧力」が期待できないのであれば、やはり問題を冷静に指摘して、所管による強権発動しかないですし、それを怠れば「喉元過ぎれば」でまた同じこと、いや、別のトンデモ事態が起きたりもして、またぞろの繰り返しになるわけです。