Straphangers’ Room2022

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都知事選寸評

2016-08-02 02:42:00 | 時事
都知事選は「初の女性都知事」誕生で幕を閉じました。
与野党の党利党略が渦巻く中、「無所属」が漁夫の利を得た格好ですが、「マダム回転寿司」と揶揄される「渡り鳥」ですからいろんな意味で政党の色がないというか、どこからも抵抗感がない、というメリットをうまく生かした格好です。

逆に与野党は責任問題が必至なわけで、与野党合わせて小池候補に拮抗するのがやっとという体たらくです。
子供じみた締め付けをして、身内はどうなんだと失笑を買う自民都連に、勝ち馬に乗りたいから自党推薦候補がいるのに事実上「二股」をかけた格好の党本部では、支持者はもとより党員もどっちに投票?という感じでしょう。
野党はもっと厳しく、保守分裂なら与党票が半分になって、ならばそれこそ先の参院選で「1/3」しか取れない勢力でも勝ち目がある、と普通は考えるのに、半分の半分です。共産党アレルギーを原因に挙げる人も多いですが、そもそも鳥越候補の「資質」が酷かったわけで、まともな候補を立てていれば「天下三分」じゃないですが、きわどい勝負に持ち込めていたでしょう。

ところであまり指摘する人がいないのですが、自民都連の「ドン」の黒幕ぶりが批判され、それも推薦候補の苦杯につながったと目される状況がなぜ生まれたか。そこに小池候補の「指南役」と言われる元知事の「アシスト」があったわけです。
週刊誌に「ドン」に干されて元都議が自殺した、という暴露話を執筆したことでそれが有権者に知れ渡ったわけで、これで都連に担がれた増田候補の旗色が相当悪くなったわけです。

これだけなら「指南役」による援護射撃で、ナイスプレーとなるところですが、この元知事、自身の辞職の原因となった規正法違反に関連して5年間の公民権停止中なのです。その立場で事実上の政治活動を選挙戦において実施したというのはどうなのか。
選挙運動が出来ないことが公選法、規正法で規定されていますが。
まあ「違法」運動であっても、候補者の当選無効にはならないでしょうから、やったもん勝ちでしょう。

さて、選挙の熱が冷めてみれば、新知事がどういう都政を行うのか、という話になります。
「マダム回転寿司」と揶揄される政党遍歴の新知事ですが、実は「改革派」という点では首尾一貫しているのです。政界での振り出しは日本新党で、程なく55年体制が崩壊した連立政権では政務次官となり、その後新進党で小沢氏の側近、自民党入りしてからは郵政選挙の「刺客」を務めるといった按配で、常に「改革派」の旗手となっていました。

右寄りだなんだと言われますが、本性は「改革派」です。まあ我が国におけるそれは「改革屋」ですが...
そして勝ち馬に乗るという意味では今回の自民党本部なんか可愛いもの、というくらい徹底しており、計算高く、そして権力志向が高いとも言われていますが、おそらく図星でしょう。与野党問わず浪花節的世界が強いなか、領袖をここまで鞍替えできるのですから。総選挙にあたり、幸福実現党とも「組む」ぐらいですし。

そう考えると、「改革屋」で権力志向という部分が、あの人物と被るわけです。そう、大阪市長だった大阪維新の会の「顧問」と相似形を描いている部分のなんと多いことか。
「改革屋」に共通する、自分は汗をかかない、面唐ュさくなる前に別の論点を作って投げ出す、という繰り返しで大阪府、大阪市とかき回した経歴と同じようなことが東京でも起こるのか。類は友を呼ぶと知ってか知らずか、今回の都知事選では件の「顧問」は積極的にコメントしていましたが、新しい都政に食い込むのかもしれませし、新知事もそれを拒まないでしょう。

もっとも、お互いに「お山の大将」を目指しているのですから、共存は出来ないでしょうが。