Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

個人から世帯へ、そして一億で

2016-01-18 23:16:00 | ノンジャンル
パートが25万という例え話に噛み付くアホさ加減ですが、パートが25万ももらえる感覚がおかしい、というのはいいがかりもいいところでしょう。正社員の旦那が50万の月給を貰うという前提で分かりやすい例えをしたわけでしょう。こんどは50万の月給なんて、という向きが沸いてきそうですが、そんなこと言い出したら話になりません。

ここの突っ込みどころは、パートに出ることで平均年収は下がるが世帯収入は増える、としている部分でしょう。統計的には下がっているが、世帯で考えたらアベノミクスの恩恵を受けている、といいたいのでしょうが、それがどういう着地点を予定しているかまで思いが及べば、そんなバラ色の話ではないのです。

何度もした話ですが、かつてDINKSというライフスタイルが喧伝された時がありました。家庭に入って専業主婦になって子育てに明け暮れるよりも、子供は作らずにDouble Incomeでリッチに暮らす、という話でしたが、四半世紀以上経った現実は、Double Incomeでようやく暮らしていける、というレベルです。

1人あたりの生産性、というか労働分配が途上国、特に中国に比べて倍違うのでは、生産コストで太刀打ちできない。いきなりの賃金カットも出来ませんから、まさに中長期的戦略で1人あたりの労働分配を「半減」させる方向に舵を切ったわけです。
女性の社会進出、というお題目も、経済規模が倍にならない限り、1人あたりの分配は減るという当たり前の計算を無視していたわけですし、労働者の側も朝三暮四に騙されたようにバラ色の未来しか見えなかったわけです。

非正規雇用の激増もあり、まさに労働分配が半減しましたが、その激変期にデフレ経済がセットされた?ことで、減収でも家計の負担感が相殺されてしまい、痛みを感じない茹でガエルのような状態になってしまいました。
そしいつの間にか世帯収入なら、と痛覚が麻痺してしまったのですが、あの答弁で突っ込むとしたら、旦那の給与が35万になったので、奥さんがパートに出て15万稼いで、世帯収入は横這いに見えるけれど、1人あたりの収入で考えたら確実に減っている、という方向でしょう。

こうして1人あたりの労働分配が減少して、生産性という意味では中国などとの競争力を維持できるようになりましたが、急成長に伴う人件費増大で中国の魅力が減少し、さらに安価な途上国がライバルとして浮上しているのが足下の状況です。
配偶者を労働力として動員する手はもう使えない。そう考えると、「一億総活躍」のスローガンも意味深でしょう。1人あたりの労働分配をさらに下げるべく、「国民総動員」で平均を下げるとでも言うのでしょうね。

こうしてみると、中国ですら成長の果実を賃金の増大の形で還元させる方向で動いているというのに、日本はなんともおとなしいですね。
労働運動を過激化せよとは言いませんが、最低限の主張くらいはすべきですし、ましてや労働団体を支持母体にしているはずの野党第1党が、トンチンカンな質疑で議論の本質に迫れない状況は、一番タチが悪い存在と言えます。