Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

阪神尼崎のレンガ倉庫

2013-02-09 22:28:00 | 交通
阪神電車の要衝、尼崎でいつも気になるレンガ造りの建物があります。
電力がまだ独占体制になる前の会社創成期に、電力事業用に発電所として建設されたもので、電力事業の廃止が早かったため発電所としての使用時期は短かったですが、それ以降倉庫として使われています。


(レンガ倉庫を見る)

この建物、これまで頑なに開放されませんでしたが、1月下旬から2月初旬にかけての2週末4日間、遂に公開されました。
車庫の片隅にあるということで車庫の見学会かというとさにあらずで、「阪神沿線 工場写真展」というイベントの舞台となったのです。

ひそかなブームである「工場萌え」の世界ですが、阪神電車が主催して開催となると、結構な市民権を得たものですが、ちょうど神戸にいたこともあり、時間を作って尼崎に出かけてきました。


(告知ャXター)

尼崎駅の東側、近鉄10連対応でホームが伸びたことで、芦屋や武庫川などに続いてまさかの「川の上の駅」になった庄下川を古風なコンクリ橋で越えると、レンガ倉庫があります。
晴天の午後、光線加減もよく撮影会状態になっているのを見やりつつ建物に向かうと、案内の人が開口一番「車庫敷地内、建物内は撮影禁止です」と連呼しています。


(入場者が出入りするレンガ倉庫)

これは興醒めですが、通用門?を入るといきなり目の前が車庫から尼崎駅への線路で、電動貨車が止まっていたり、洗車線があったりと、撮影を許すと展覧会目的で無い人が居座りそうなので、致し方が無いようです。
それでもけっこうな人だかりがありましたが、どうもお目当ては洗車線のようで、子供たちが待ってるんですね。手前の電動貨車が邪魔でしたが、少しあって私が尼崎駅から見下ろすと、9300系が洗車線で洗車しており、待っていた人に喜ばれたでしょう。


(洗車線活動中)

トイレはありません、段差はあちこちにあります、とエクスキューズが多い案内でしたが、まあ工場(車庫)内の倉庫ですから仕方が無いでしょう。階段の上がり降りも狭いので係員が上りは上りだけ、と誘導していました。
階段を上がると衝立で仕切られた向こうに資材がつんであるのが見え、倉庫として使っているさまがありあり。片付けてはいますが、片付け切らないものが残っているようです。

手前の部屋はレンガ倉庫の由来と阪神電車のグッズ販売、アンケートの提出場所になっており、展覧会は奥の部屋。
神戸港の川崎重工の造船所から、大阪大正区の中山製高フ製鉄所まで、阪神間、阪神沿線の工場(12事業所くらい)の写真がいっぱいありました。(中山製高焜hーム前が最寄りという扱いでした)


(風格ある造り)

「萌え」の要素としてはやはり夜に輝く姿であり、写真は総て夜のシーン。「工場萌え」はエチレンタワーの輝きが有名ですが、阪神間には石化コンビナートがないため、ある意味地味ですが、鉄香A非鉄、化学、造船から酒造となかなか綺麗です。
事業所勤めをした人間としても、この手の美しさはある意味勤め人だけの特権だったのですが、構外から超望遠であの美しさを切り取られてしまったようで、ちょっと悔しいです。

ちょうど今回の展覧会の「主」である写真家の小林哲朗氏の講演会があり、大勢の人で賑わっていましたが、それが終わるとャXトカードの発売も。
工場写真のャXトカードというのもなんですが、結構な売れ行き。
興味の無い人にしてみれば同じような写真に見えて、好みがあるようで、売り切れている事業所と売れ残っている事業所のコントラストがけっこうあるものです。

売れ残り組を挙げるのは武士の情けとして、売り切れていたのが武庫川の大阪チタニウム。確かにルミナリエにも負けない光のゲート然とした構造物など、出色の美しさです。
さらに驚いたのは来場者から「大阪チタニウムは?」と問う声が多いことで、「大阪チタニウムさんはすぐ売れてしまうんですよ」と返すあたり、「工場萌え」の世界ではエース級の工場のようです。




アベノミクスで解決できない問題

2013-02-09 21:59:00 | 時事
東電の第3四半期決算が発表になり、円安による原燃料価格の上昇で赤字幅が悪化したそうです。
再建計画、補償計画の見直しは必至で、国の支援、電気代の見直しが避けられない状況です。このあたりは原発事故を起こしていない関電なども同じ状況ですが、電力供給維持のために高コストな発電を強いられている状況で、正当な価格転嫁すら許されず、給与カットに資産売却を強いるという「世論」の浅ましさが足を引っ張っているといえます。

そうしたなかで大阪市、大阪府は2030年度という目標こそ不採用にしたとはいえ、基本的に脱原発が可能と言う「お花畑」にいるわけですが、お役所はコスト意識が無い、とよく批判されている状況がここでも発揮というか、発電に必要なコストを全く無視して「可能」といっているしか思えません。
焚き物が無い、というときにお札を燃やせば火は熾りますよ、と言うのと同じでしょう。旧型、小出力の火発で電力をまかなえば燃料費がかさむ、保全費など付帯する費用もかさむという当たり前の事態が見えていない「世論」を正しく誘導することもなく、率先してお花畑では先が思いやられます。原燃料費の問題はアベノミクスでは解決しませんから。

ただ東電の決算に関しては疑問もあり、原燃料費における円安影響につき、為替ヘッジはしていなかったのか。
少なくとも四半期、半年スパンで輸入額は読めるはずであり、「政権交代」以前であればまずまずの水準で輸入為替が取れていたはずです。足下は円安期待もありスャbトよりも高くなる懸念もありますが、12月までに予約を打っていればそこまでひどくなかったはずです。

まあ今後は為替ヘッジをしても円ベースでのコストアップは不可避であり、国もユーザーもコスト転嫁を受容しないといけなくなることには変わりがありません。
だからといって円安は困る、と言うのも愚かしい話です。景気が低迷して収入が減れば、電気代が安かろうと負担感は高くなるということが判っていないわけですから。



LRTはなぜ志向されるのか

2013-02-09 10:12:00 | 交通
気仙沼線のBRT化に対して、鉄道での復旧に拘泥することを批判した際に、バスではダメだ、という意見を、条件があっていない比較ではと批判しました。

それに対するご意見として、米国のLRT推進団体の論文のご提示を頂きました。
http://www.lightrailnow.org/facts/fa_brt_2006-08a.htm

英語はあまり得意ではないのに、いきなり長文の英文とあって面食らいましたが、ありがたいことに最近は単語にカーソルを合わせると訳(怪しいのも含めてでてくるので取捨選択が大変ですが)が出るわけで、ざっと目を通してみました。

一言で言うと、バス嫌いは心理的なものだから鉄道だと思って使え!という当局の誘導があっても、結果は鉄道志向という明白な結果が出ている、という批判です。

確かに論文上の各都市での結果は出ています。そういう意味では軌道系交通の整備のほうが効果が高いという結論になるでしょう。ただし、「同じ条件」という意味で見たとき、提示されている事例の多くは、論文中の写真で見る限り、輸送力的に日本で言うところのLRTのカテゴリーよりも、近郊鉄道のカテゴリーに近いわけです。

BRTの弱点として挙がっている理由にバスの輸送力不足(団子運転)があるように、輸送量に応じた交通モード選択の段階で軌道系交通にアドバンテージが見られますし、LRT整備による輸送改善(従来のバスにおける輸送力不足がLRTになって適正化された)が評価されることでシフトが進んだというは、BRT整備に無いャCントであるという評価も可能です。

鉄道のほうが「上位」と感じる心理的要因を除去すればBRTは利用される、という主張を否定しているわけですが、ではなぜ同じ条件で鉄道志向が生じるのか。私の読解力不足なんでしょうか、あくまで「結果論」としての志向であり、その志向に対する明快な分析が見られないような気がします。

もちろん、公共交通シフトを期待する時に、「利用者の心理的要因を考慮して」軌道系交通を選択したほうが効果が高い、というのであれば、軌道系を選択する大きな理由になるわけですし、この論文がそれを示し得るものであれば、重要な素材になるでしょう。

もちろん「同じ条件ならバスは選択されない」という結果が統計的にも認められることを示せることが条件でしょう。成功例を挙げていますが、失敗例がそれを下回るということは示されていませんから。