Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

近鉄ナローは残すべきか

2012-06-22 01:36:00 | 交通
去る6月15日の朝日三重版は、近鉄のナロー線区である内部・八王子線の廃止問題に対応するために四日市市議会が存続策を検討する特別委員会の設置を決めたことを報じ、同線の廃止問題がにわかにクローズアップされました。

同線に対して四日市市は2011年度以降、車両更新費と駅整備費用の補助を決めており、車両更新も2013年度以降に実施される予定でした。

ところが近鉄がここにきて設備投資補助だけでなく、営業赤字への補助を求めてきたため、このままだと近鉄が事業廃止を持ち出しかねないと危機感を持ったと考えられます。

四日市市も何が何でも補助は出さないというわけではなく、設備投資については補助を出すことを決めていますが、営業赤字の補填となると性格が全然異なりますので、市も同線のあり方そのものから考える必要を感じたようです。


(近鉄四日市・2000年)

近鉄のナロー線区と言うと北勢線がありましたが、一足早く2003年に三岐鉄道に事業譲渡されいます。
三岐移管に伴い輸送人員、営業収入も好転したことは事実ですが、それでも赤字体質からの脱却は出来ず、累損が当初想定を上回る状態にあるなか、当初予定の10年間の期限を来春に控え、以降の経営形態について地元自治体との協議が続いています。

北勢線の時もそうでしたが、ナローと言う特殊な規格ゆえ中古車が無く、車両新造、更新のコストが割高であるため、結局車両の更新が縁の切れ目、というか、過去の経営主体は1回までは置き換えをしているが、2回目は出来ない、と言う状況です。
つまり、三重鉄道が電化時に投入した車両を近鉄が1回置き換えして終わった格好であり、北勢線は1970年代後半の置き換え車両を大規模更新し、内部・八王子線は1980年代前半の置き換え車両の置き換えとなる今般に存廃問題となったわけです。


(西日野・2000年)

車両の規格が小さく、北勢線では床置き式を設置して冷房化されましたが、近鉄では未だ非冷房という状況では鉄道として維持する必要性をまず検討すべきでしょう。
一方で近鉄の運営姿勢は相当杜撰と言うか、無人駅での集札等をほとんど行っていないので、相当な運賃徴収漏れがあることが想定され(北勢線が三岐に移管されたのち、輸送人員は近鉄時代に届かないのに、収入は大きく上回っていることもその証左でしょう)、こうした「基本」の徹底でまず対応すべきとも言えます。

北勢線の三岐移管で輸送人員や収入が好転したことから、鉄道での維持を訴える声が高いですが、県や地元自治体が20年間の赤字補助で20億円、設備投資で48億円を補助するほか、各種近代化工事に対するスキーム外の補助を含めると、国費も含めて100億円程度が投入されています。

営業赤字を出している状況ではこの投資効果は計算のしようが無いわけで、ここまでの「ドーピング」でも累損が積み上がる状況と言うのは、やはりモード選択が間違っていたとしか言えません。


(なんちゃってBRTの鹿島鉄道跡地。狭軌単線が転じた専用道はけっこう余裕)

バス転換ではなく鉄道を選んだことで、並行バスが縮小に追い込まれて、バスの利用者にとっての利便性を損ねる半面、鉄道は確かに便利になりましたが、累損の積み上げでは、誰も得をしていない状況です。


(専用道に連接バスを組み合わせれば...)

今回四日市市が営業赤字への補助に慎重なのも、あれだけやってもなお、という北勢線の「10年間」を見ているからでしょう。10年経って三岐鉄道が期間満了で退出するしないで自治体ともめていることも、累損が積み上がる状況で自治体が総ての責任とリスクを負うことが求められる危険性として認識されているのかもしれません。



融通返上が先でないのか

2012-06-22 00:23:00 | 時事
大飯原発の再稼働で節電目標が緩和されるそうですが、よく見ると大きな疑問があります。

関電管内が15%から10%に緩和とあり、やはり原発の影響は大きい、と思いきや、中部電、北陸電、中国電も「緩和」されています。
要は関電への融通に備えた節電目標が「緩和」されるのですが、それぞれ5%の目標が4%(中国電は3%)に「緩和」というのはどういうことでしょうか。

なんで本来足りている3電力管内の節電目標を残したまま関電管内を緩和するのか。
大飯再稼働による電源確保分はまず3電力管内の節電目標の解除に充てるべきでしょう。融通規模から見ても、大飯再稼働分の「枠」は関電管内に多く割り当てられており、よそにお願いしている枠を返さずに自分たちに多めに、と言うのは筋が通りません。

関電管内にもメリットが無いと再稼働の理解が得られない、と言うつもりかもしれませんが、15%の目標ですらビビった関西の首長は、それ以前の問題として3電力管内に本来必要でない節電を強いて電気を融通してもらってようやく15%に留めている、という基本的事項を忘れたのでしょうか。

自分達の節電目標を下げるよりも先に、3電力管内に対する「借入」を返済する、と言う当然の義務が見えていないのでは困ります。