Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

神戸∴・髏・フ危機

2010-12-14 23:52:00 | 交通
茨城$_戸線の搭乗率が危機的になっています。
運行再開後の10月が60.7%と大幅に下げたのに歯止めがかからないどころか11月は54.8%と大幅続落です。運休前の数字と比べたら2割以上の下落となっており、運休騒ぎがあったとはいえ、急激な下落は異常ともいえる事態です。

もともと午前中1往復という使い勝手の悪いダイヤもあって、特に神戸発の成績が冴えなかったわけですが、2月の千歳線開業で神戸線と組み合わせて、神戸もしくは茨城発の日帰り需要取り込みが出来るダイヤにすればいいのに、それも適わない状況ではかなり厳しいです。

神戸発8時台で茨城に行っても何をする?というのが率直なところですが、だったら関西発つくばへの最速ルートとして研究者に売り込むといった戦略が茨城県には求められるのですがどうなんでしょうか。神戸側での茨城県の売り込みがさっぱり目に付かないだけに、千歳線や中部線の就航で見た目のメニューが揃ったこともあり慢心しているようにも見えます。

ただ悩ましいのは搭乗率が減ったとはいえ738の定員を考えると、例えばこの数字を静岡空港に持って来れば、FDAのERJ170なら連日満席かつ大幅積み残しになるわけで、そう見れば静岡県よりは成果を出している?とも言えなくもないわけで、評価の難しいところです。

二次アクセスが決定的に弱い茨城空港の場合、かろうじてつながっているつくば、そして水戸への需要を神戸側でどう掘り起こすかという非常に難しい問題があります。
通年運行の定期便での基礎固めという意味では上記のようにつくば関係の研究者にアピールするのが正攻法ですし、観光に頼るのであればまだまだ仕鰍ッが足りないとしかいいようがありません。

観光についていえば、素材はそこそこありますが、売り出す仕鰍ッが弱いと言うか無い状態です。
大河ドラマ効果もあり竜馬関係の観光地が今年は潤いましたが、もともと歴史上のヒーローとはいえ、ここまで観光の目玉になるというのには高知県をはじめとする各地の努力、潤色があっての話です。

そういう意味では「水戸黄門」という国民的ヒーロー?がいるのに、どちらかというとテレビや映画ではない「真実の黄門様」を売り出そうとする姿勢は、観光という意味ではどうでしょうか。
歴史学をやるんじゃないんですから、フィクションを楽しむ観光的な仕鰍ッがあってもいいはずですし、そういう仕鰍ッがあってこそ黄門様の水戸という印象が強まり、観光地としての魅力を上げていく可能性につながります。

こうした取り組みが無いままに、自然体で「集客」しても、それは集客ではないです。そしてそのことは急落している神戸線の搭乗率が物語っているといえますし、2月からの千歳線も同じ轍を踏みかねない懸念があります。


LCCへの提灯記事

2010-12-14 23:20:00 | 交通
こうしている間にもメディアの羽田提灯記事が目白押しです。

今のトレンド?はLCCの乗り入れのようで、マレーシアのエアアジアの片道5000円を持ち上げていますが、茨城空港での春秋航空の片道4000円には半ばチャチャのような取り上げ方しかしなかったのに、メディアご贔屓の羽田だとここでも痘痕も笑窪です。

さてこの手のLCCを国営放送までが持ち上げている始末ですが、そもそも「誇大広告」気味な部分をどう見ているのか。
この手の走りは豪州から関空、そして成田へ乗り入れたジェットスターですが、往復運賃以上にかかる空港利用料や燃油サーチャージってどうよ、という陰の部分があるわけです。最近はさすがに原油高騰の影響も一段落して沈静化したとはいえ、だいたい、表示価格の倍以上かかるという段階で公取のご指導どころか排除命令の対象となって然るべきでしょうし、今回メディアご贔屓の羽田乗り入れを狙う各社もこうした陰の面は揃っています。

さらにどうかとおもうのはサービスの有料化。
もちろんお仕着せのサービスがいらないという人も多く、それ自体は否定しません。しかし、無くても構わないというレベルではなく、普通はあるだろ、というサービスまでが有料というのはどうなんでしょうね。

それなりに距離があり、旅行日数もかかる国際線なのに持ち込み荷物の制限が厳しく、事実上荷物別料金というケースもそうですし、上記のエアアジアのように飲み物食べ物が有料のみならず、持ち込み禁止というのは公取のお世話というレベルを超えています。

先日のCX系の「めざましテレビ」で出ていましたが、ロンドン線の試乗時に飲食物の持込を咎められたわけで、エコノミークラス症候群の問題があるのに飲み物も持ち込めないというのは安全というか健康確保として論外な気がします。ちなみにエコノミークラス症候群といえば、春秋航空の機内体操が有名ですが、これと持ち込み禁止のコラボとでもなったら洒落にもならないわけで、無邪気な賞賛は罪ですらあるのです。

さらにLCCのシビアな経営を持ち上げる経済記事によれば、トイレの有料化も検討しているとのことですが、そうした事実上の「別払い」を強制させられるような「公共交通」を持ち上げる神経というのがわかりません。
ここまで来ると、日雇いの労働者をタコ部屋に押し込めて、最小限の食事類以外のいわゆる諸式をぼったくって、高く見えた賃金も事実上残らないようにする手配師のやり口と相似系ですし、誇大広告どころか詐欺を疑われても不思議が無い世界に入ろうとしています。

そうでなくても本来当然あるはずの着席といったサービスすら「付加価値」「別料金」とすることを当然とする傾向がエコノミストのみならず、交通論の世界でも散見されるわけですが、そこまでしてでもコストを下げたいということは「異常な需要」として一般論化すべきではないのに、そういう傾向を容認する傾向があり、やがてそれが一般化していくことに、サービスの受け手としては懸念を感じます。

そこまで大上段に構えなくても、そういった異常なサービス水準に何の疑問も抱かないばかりか、羽田再国際化を持ち上げるためにさも素晴らしいように取り上げるメディアの異常さに気付けるかどうかという部分で、メディアリテラシーが問われます。



羽田は何でも許される

2010-12-14 23:17:00 | 交通
羽田の再国際化で鳴り物入りで搭乗したのが早朝深夜便。日本でのビジネスタイムを十二分に活用できるということで、JALの宣伝なんかではアフターファイブに恋人と過ごした後に出張なんて、それって何時のトレンディドラマ?(死語)というシーンまで繰り出していました。

どうも羽田が相手だと僻みっぽくなるんですが(爆)、羽田が絡むと痘痕も笑窪じゃないですが、メディア的には早朝深夜便利用も総てメリットになってしまうようです。

例えば西海岸。ロスなら夕方の成田便に乗れば、向こうに昼前後着で、とりあえずチェックイン後、現地で顔合わせがてら軽く打ち合わせをして夕食を摂り、ホテルで休んで時差ぼけを取って朝から仕事にすればいいのに、わざわざ深夜発で夕方着。ホテルに入って翌朝顔合わせ、というほうがいいとのこと。どうせ出発間際まで半日仕事を引き伸ばしても意味があるかどうかで、だったらサクッと上がって「前夜」にプレミーティングのほうが気が利いてると思うんですけどね。

帰りも深夜発で早朝着。そのまま空港でシャワーを浴びて出社できますって、だったら半日早く切り上げて成田に夕方着いて帰宅したほうがいいんじゃないの?という気がします。時差ボケ+夜行明けでは仕事になるかどうかでしょう。

ただ羽田便をちょっと擁護すれば、羽田便が便利とされるこうしたケース、成田発がもう少し遅ければ、また、成田着がもう少し遅ければ、という不満が残る部分への独自対応でもあるわけで、その点ではメリットは大きいのですが、結局は成田の改善余地があるのに羽田で対応して羽田の利便性を際立たせているようにも見えます。
ちょうど成田スカイアクセスの実績が羽田国際線の利用見合いだけ減少したという記事が出ていましたが、そうやって羽田シフトをすることで、成田の利便性、特に収益性の高い東京発着のビジネス利用が低下しているわけです。

これにより成田の「なんちゃってハブ」機能維持に逆風が吹くわけです。羽田に現在の成田のような「なんちゃってハブ」の機能代替は出来ませんから、この手の機能が仁川や浦東に取って代わられ、東京発着の需要を充たす最小限の本数にシュリンクする可能性もあるわけです。横浜や城南あたりのちょっとばかりの利便性向上のために国益を大きく損なう危険性があるといったら言いすぎでしょうか。

余談ですが、深夜着、早朝発へのアクセスはあるにはあっても限られているから、結局国際線ターミナルを終夜開放して対応しているようです。
テロ警戒と称してあれだけ厳戒態勢を強いておきながら、深夜帯に不特定多数がたむろできるシステムをわざわざ新設するというのも変な話で、ご都合主義の香りがします。

ちなみにこのあたり、夜行列車を巡る議論と一緒なんですよね。
夜行を廃止したいときには、「家やホテルでゆっくりのほうが好まれる」と言い、羽田を売り出したいときにはその真逆という感じ。無辜の利用者に不便を強いていながら、深夜開放をはじめるという矛盾振りも似た話で、初めに結論ありきですから、理屈は後から貨車に乗ってやってくる、といわんばかりの話です。