『鶴』 長谷川四郎著 (講談社)を読みました。
表題作『鶴』、時は敗戦直前の満州、国境の監視哨での日本兵の物語。
望遠鏡に映る人々の生活と自然。
そして主人公が初めてその土地で見た、ま白く静かに立つ鶴。
鶴を狙う死神のような黒い影はそのまま戦争と平和のメタファーのようです。
友人兵矢野の逃亡、ほどなく監視哨は爆撃にあい、撤退時に望遠鏡を
携行し忘れた一隊。結局主人公が哨舎に取りに戻ることになります。
そして主人公を襲う一発の銃弾・・・。
この作品ではストレートなメッセージは何も語られていないのですが、
物語全体の美しくすらある哀しみから、自然と「平和への希求」が
にじみ出ているように感じられます。
講談社文芸文庫にはほかにも戦争を題材とした、中国人やロシア人を
主人公にした作品が収められています。
戦時教育を受け、シベリヤ抑留を体験した作者が公平な視点で戦争を描いた
ことに私は驚きを隠せません。
長谷川さんの書く小説から受ける印象は、ほかの「戦争体験記」よりずっとクールです。
だからこそ逆に深みと広がり、普遍性が感じられると私は思います。
文庫にはほかに『張徳義』『ガラ・ブルセンツォア』『脱走兵』『可小農園主人』
『選択の自由』『赤い岩』が収録されています。
表題作『鶴』、時は敗戦直前の満州、国境の監視哨での日本兵の物語。
望遠鏡に映る人々の生活と自然。
そして主人公が初めてその土地で見た、ま白く静かに立つ鶴。
鶴を狙う死神のような黒い影はそのまま戦争と平和のメタファーのようです。
友人兵矢野の逃亡、ほどなく監視哨は爆撃にあい、撤退時に望遠鏡を
携行し忘れた一隊。結局主人公が哨舎に取りに戻ることになります。
そして主人公を襲う一発の銃弾・・・。
この作品ではストレートなメッセージは何も語られていないのですが、
物語全体の美しくすらある哀しみから、自然と「平和への希求」が
にじみ出ているように感じられます。
講談社文芸文庫にはほかにも戦争を題材とした、中国人やロシア人を
主人公にした作品が収められています。
戦時教育を受け、シベリヤ抑留を体験した作者が公平な視点で戦争を描いた
ことに私は驚きを隠せません。
長谷川さんの書く小説から受ける印象は、ほかの「戦争体験記」よりずっとクールです。
だからこそ逆に深みと広がり、普遍性が感じられると私は思います。
文庫にはほかに『張徳義』『ガラ・ブルセンツォア』『脱走兵』『可小農園主人』
『選択の自由』『赤い岩』が収録されています。