「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ著(須賀敦子訳)白水社を読みました。
失踪した友人シャヴィエルを探してインドを訪れた主人公ルゥ。
彼がたずねたのはホテルとは名ばかりのスラム街の宿。
すえた汗の匂いで息のつまりそうな夜の病院。
夜中のバス停留所。
ルゥはわずかなてがかりをもとにボンベイへ、マドラスへ、ゴアへ。
猿の様な姿の占い師の少年の予言。
椅子に座った芝居がかった老人の夢。
フィラデルフィアからきた郵便配達の男の話。
何が現実で夢なのか、語り手は僕だったのか彼だったのか?
「分身」というと神経症の話のようですが、その部分の怖さはとても静かに訪れるので、わけがわからないながらも受け入れてしまいました。不思議な感覚の物語です。
インドのいかがわしい混沌を描写していながら、不思議と「熱」を感じない、幻想的な不思議な夜の世界が描かれています。
失踪した友人シャヴィエルを探してインドを訪れた主人公ルゥ。
彼がたずねたのはホテルとは名ばかりのスラム街の宿。
すえた汗の匂いで息のつまりそうな夜の病院。
夜中のバス停留所。
ルゥはわずかなてがかりをもとにボンベイへ、マドラスへ、ゴアへ。
猿の様な姿の占い師の少年の予言。
椅子に座った芝居がかった老人の夢。
フィラデルフィアからきた郵便配達の男の話。
何が現実で夢なのか、語り手は僕だったのか彼だったのか?
「分身」というと神経症の話のようですが、その部分の怖さはとても静かに訪れるので、わけがわからないながらも受け入れてしまいました。不思議な感覚の物語です。
インドのいかがわしい混沌を描写していながら、不思議と「熱」を感じない、幻想的な不思議な夜の世界が描かれています。
母は著作をいくつも読み、「名は体をあらわす」ならぬ「文は体をあらわす」を実感、この作家に心酔しております。ご本人はもう亡くなってしまいましたが。きっと、どんなに高尚な文章を書いたとしても、書き手の性質・人柄はどうしてもにじみ出てくるもので、どうせなら、人柄の良い人の秀逸な文章に多く触れたいもの。ということだろうか。
ぼくはといえば、須賀氏の本はほとんど読んでいないのですが、「ユルスナールの靴」は面白いな、と。
翻訳家でいい文章書かれる方も多いですね。
「文章の目利き」だからでしょうか。
何が現実でどれが幻なのか、惑わされてしまいますね。
でも、その不思議な雰囲気がインドのイメージにぴったりでした。
そして、哲学書のようにも感じました。
コメントどうもありがとうございます!
インドというと「混沌」「パワー」「汚い」などというイメージがありますが、この作品の幻想的な異国情緒は現実のインドと一線を画していて、文学ならではの描き方でいいなーと思いました。
また青子さんのブログで素敵な本と出会えるのを楽しみにしています。