Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「淋しいおさかな」別役実著(PHP研究所)

2006-10-05 | 児童書・ヤングアダルト
「淋しいおさかな」別役実著(PHP研究所)を読みました。
今から30年ほど前にNHKの幼児向け番組「おはなしこんにちは」の中で朗読された童話を集めた22編の童話集。今月文庫で復刊されました。
心に風が吹くようなしんみりとした話が多く、大人向けの童話と宣伝では語られていますが、私は小学生のとき読んで、ほかの童話にはない、もの淋しい雰囲気にとても惹かれたので、やっぱり子供向けのお話でもあると思います。
不思議な童話集です。
舞台は国籍も不明な数々の街。乗務員だけで満員の電車。猫貸家の老婆が歩く路地、ふなと話す老人、星を売るセールスマン・・・。
表題作はとりわけ印象的です。
「淋しい」という気持ちがわからない少女が「淋しいおさかな」の夢をみて旅に出るお話です。「はー・・・「おはなし」ってこういうものだな・・・」と腑に落ちます。
寓話的な話も多いのですが、あえて「こういう話」とくくらずに、読んだその時々で感じたものを大事にしたいと思う短編集です。

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