Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「空中スキップ」ジュディ・バドニッツ著(岸本佐知子訳)マガジンハウス

2007-07-10 | 柴田元幸
「空中スキップ」ジュディ・バドニッツ著(岸本佐知子訳)マガジンハウスを読みました。
シュールでブラックでユーモラスな23の短編集。
日常生活の中によくある風景からどんどんねじれていく世界。
私が印象的だったのは「チアのあるべき姿に」妄信的になった女の子たちを描いた「チア魂」。
青年が語る故郷アーカンソー州の小さな村イエルヴィルの奇妙な話「イェルヴィル」。
アメリカ国民の平均値ど真ん中のジョーの元にみんながリサーチにくる「アベレージ・ジョー」などなど。
このように現代の民話のような奇妙で面白い話のほかに、母親が病み、家族が崩壊していく様を少年の目で描いた「百ポンドの赤ん坊」、バスの中でたまたまいきあった老婆の姿に思いを重ねる「バカンス」など、しんみりする話も。
この作品は作者の処女短編集だそうですが、作者の妄想ぶりが面白いです。

余談ですがこの短編集の中の「道順」が旅がテーマの柴田元幸さん編訳のアンソロジー「紙の空から」(晶文社)に収められています。


最新の画像もっと見る