Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「穴」ルイス・サッカー著(幸田敦子訳)講談社

2008-11-03 | 児童書・ヤングアダルト
「穴」ルイス・サッカー著(幸田敦子訳)講談社を読みました。
無実の罪で少年たちの矯正キャンプに放りこまれたスタンリー・イエルナッツ。
彼は焼ける大地に一日一つ、大きい穴を掘らされます。
人格形成のためといわれていますが、実は穴ほりには隠れた理由がありました。
全米図書賞ほか多くの児童文学賞を受賞した作品です。

なんとなくポール・オースターの「ムーン・パレス」の砂漠の場面を思い出しました。照りつける太陽、あたり一面なにもない荒野。
登場する少年たちはイカにX線にジグザグにゼロ!?
そしてスタンリーについたニックネームは「原始人」。なんだそりゃー。

何世代にもわたる幾人ものストーリーが語られ、結びついていく後半。
スタンリーとゼロの結びつきが深まっていくくだりは読んでいてとても気持ちがいいです。
タマネギや桃ジャムなど小道具の使い方も見事。

この話の後日談も出ているそう。そちらもぜひ読んでみたいです。