Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「永遠の出口」森絵都著(集英社)

2006-10-29 | 児童書・ヤングアダルト
「永遠の出口」森絵都著(集英社)を読みました。
主人公は少女紀子。彼女の小学3年生から高校を卒業するまでの日々をつづった連作短編集です。
小学生の時の誕生日会をめぐる小さな事件。ぐれかかった中学時代。高校に進んでからの初めてのアルバイト。初めてつきあった保田くんとの恋。
サンリオグッズやガラスの仮面、ブルーハーツなど70年~80年代の風物を背景に物語は語られます。
どうしてあの子はかわいくないのにもてるのか?
どうしてあの子のいうことは正論なのに私の心にとどかないのか?など
小学校、中学校時代、私もこういうこと考えてたな・・・という気持ちが丁寧に語られていて、ひとつひとつにうなずいてしまう作品ばかりでした。
自分のこと(というより、自分がどう見られているかということ)ばかり考えていて周りがぜんぜん見えていなかった中学時代。
自分が思い描いていた夢のような世界と、現実の世界が違ったときのとまどい・驚きを覚えたアルバイトでの経験。
一緒にいるだけでいっぱいいっぱいで、何も伝えられなかった初めてつきあった男の子。
ドラマチックな事件はない、でもいろいろなことを感じる毎日が少しずつ自分を変えていき大人になる、それを実感させてくれる本でした。