Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「くっすん大黒」町田康著(文藝春秋)

2006-10-15 | 児童書・ヤングアダルト
「くっすん大黒」町田康著(文藝春秋)を読みました。
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行ってしまった主人公。
誰もいない部屋に転がっている不愉快きわまりない金属の大黒さま。
「さま」なんかつけんでいい、大黒、今日こそ捨ててこます!
町田さんのデビュー作で、97年に第19回野間文芸新人賞、第7回ドゥマゴ文学賞を受賞しました。
主人公の語り口調が乱暴で自由でおもしろーい!
登場人物の会話も、主人公が思いついたことも地の文も歌も、すべてぐっちゃぐちゃになっている独特の文章、で、とにかく笑えて面白い!
吉田おばはんとかチャーミイとか、妄想桜井とか出てくる人物たちがみんな妖怪じみていてまた面白い。
酒びたりでお金もなくて眉唾ものの仕事も引き受けて・・・状況はかなり深刻なのになぜこんなに笑えるのか・・・。そしてなぜ最後にせつないような気持ちが残るのか・・・。町田さんにしか書けない作品。
同時収録の「河原のアパラ」も必読!