Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「オテル モル」栗田有起著(集英社)

2006-06-27 | 児童書・ヤングアダルト
「オテル モル」栗田有起著(集英社)を読みました。
しあわせな眠りと夢を提供する不思議なホテル、オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン(通称オテル モル)。そのホテルのフロントで働き出した主人公希里。希里には双子の妹沙衣がいます。沙衣は病院に入院しており両親はそのつきそいで病院の近くに暮らし、希里は沙衣の娘で自身の姪、美亜とその父親西村さんと3人で暮らしています。

語り口は淡々としていますが、主人公含め、その設定はかなりハード。
でもあえてそのぐちゃぐちゃさをきれいにまとめようとせず、そのまま受け入れてなんとかしのいでいく、というような希里の気持ちがじんわり伝わってきます。
オテルは大きくてあたたかで、人を裸のまま包んでくれる穴倉みたい。私も宿泊してみたいです。
登場人物のなかでは、西村さんがとても不思議な人物で気になりました。
作品自体が大きな序章のようで、希里や沙衣のこれからが気になりました。