ヒトラー(上):1889-1936 傲慢

2018-04-02 11:29:51 | Book
傲慢と天罰の上下巻を一ヶ月かけてやっと読み終わった。
ナチスの暴力的な手法を国家が黙認する中、ヴァイマル共和国への国民の失望からナチスが政権をとっていく過程は、その後の運命を知っている者にとっては悲劇への道をまっしぐらに進んでいるとしか思えないが、当時の人々にとってはヴァイマル共和国そのものが怒りと失望の対象だったことがリアルに伝わってくる。
スターリングラード攻略に失敗した後、破滅へと真っ逆さまに転げていく過程は、終戦かヒットラーの破滅かの二択しかなく、ヒットラーが権力の頂点に立っている限り、その選択肢はありえないという絶望的な状況にやるせなくなる。
ナチスの暴走が内部からは止めることは誰にもどうしようもなく、連合国の戦力によってのみ、やっと終えられたというのは本当に恐ろしく、国家の暴走が始まったら絶対に止めることはできず、暴走する前に止める以外にないとうことがよく分かる。
ヴァイマル共和国時代の政治家は、個々人は理想を追求したつもりなのだろうが、結果的に正反対の体制を作り出したことを、生きていたらどう思うのだろうか。
日本では民主党政権があまりにもひどすぎたために、反動で安倍一強が続いているが、未だにリベラルと言われる人たちが全く反省していないことに愕然とする。歴史に学んで欲しい。

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イアン・カーショー
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