Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

肥薩おれんじ鉄道、鹿児島中央駅・熊本駅乗り入れ目指し交渉中。

2007-05-19 07:14:59 | 鉄道(地方・専用線など)
九州新幹線開業時に分離された八代・川内間を経営する第三セクター・肥薩おれんじ鉄道。
開業時の予測を下回る経営状況を改善する一助として出されたのが、「熊本・鹿児島中央両駅への直通列車運転構想」
最初にこの構想を聞いたのは昨年5月だが、乗り入れを希望する肥薩おれんじ鉄道に対してJR九州の対応が芳しくなかったこともあって話は進まなかった。

そして一年が過ぎ、交渉の最新状況が明らかになった。
「肥薩おれんじ鉄道:中央駅乗り入れ、来年3月目標」(毎日新聞、5/15)

記事から読みとれる現状を整理してみる。
○肥薩おれんじ鉄道は来年3月の鹿児島中央、熊本の両駅乗り入れを目指し、JR九州と交渉している。
○乗り入れは週末と祝日の、朝夕2往復。平日は検討課題になっていない。これは車両・運転士に余裕がないため。
○経費負担等で両社間の交渉は進んでいるものの、仮に乗り入れが実現したとしても肥薩おれんじ鉄道の経営への寄与は望めない。

一年前の議論提起がようやくここまで形になってきたのかと思う。
肥薩おれんじ鉄道の最初の思惑では今年春のダイヤ改正で実現している筈だったので、ちょうど一年遅れで実現に向けた努力が続けられていることになる。
確かに土休日・祝日の朝夕二往復という少ない乗り入れ本数では経営改善効果は限られたものになるのは当然の話で、効果を挙げるなら平日も・・・と行きたいところだが、先の記事にもあるように運転士・車両に余裕がない現状下ではやむを得ないところだろう。
むしろ、曲がりなりにも両駅への乗り入れを果たすことで「線路は一本に繋がっている」ことを沿線に再認識してもらうという心理的な効果の方が大きいのではないかと記事を読んで思う。

その肥薩おれんじ鉄道、NIKKEI.NETの15日の記事によれば運賃収入の減少幅が少しではあるものの、縮小したという。
また、鹿児島、熊本両県を含む経営検討委員会は6月を目処に肥薩おれんじ鉄道の、今後5年間の収支見通しを策定すると共に同社が年度内に経営計画を策定する予定。
かくして、手持ちの資産を駆使して旅行商品や利用促進策を策定して利用客の減少を食い止めようとする努力は続く。
しかし、これは肥薩おれんじ鉄道だけの問題ではなく、同じような環境下にあるローカル線に共通する課題ではあるのだが、最適解はなかなか見つからないものだと実感する。

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2 コメント

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旅ブログからお邪魔しました (Shane)
2007-05-23 22:25:21
はじめまして
旅ブログのローカル線のカテゴリーで記事を拝見しお邪魔しました。

肥薩オレンジ鉄道が熊本や鹿児島中央への直通運転を検討し、実現の方向に向かっているんですね。

昨年11月に、肥薩オレンジ鉄道に乗車したのですが、
素晴らしい景色とは裏腹に、車内は時折高校生が乗り込む程度でした。

今は、地方の鉄道はどこも経営は苦しいと思いますが、なんとか存続をして欲しいと思っています。

TBさせて頂きます。
宜しくお願いします。
はじめまして。 (Simplex)
2007-05-24 20:59:28
Shaneさん、コメントありがとうございます。
旅ブログからおいでとのこと、意外な接点があるものだと感じます。
苦境が続く肥薩おれんじ鉄道ですが、今回の話が何とか成立して欲しいものと願っているところです。
そして、地方のローカル鉄道も一社でも長く存続を願って止まないところですが、現実は厳しいものだと各地のニュースを見て思う次第です。

そうした話題にも機会があれば触れていますので、よろしければまたお越しください。