18日の記事で関東鉄道が鹿島鉄道への2007年度以降の支援を打ち切り、これを受けて鹿島鉄道が廃線の意向を表明したことをお伝えした。
今日の記事はその続報となる。
20日に鹿島鉄道対策協議会の席上で正式に鹿島鉄道から廃線の意向が沿線自治体に伝えられた。
「鹿島鉄道廃止準備へ 来月まで協議」(asahi.com、2/21)
「鹿島鉄道 来年3月末での廃線意向 親会社の援助打ち切りで 沿線自治体反発」(YOMIURI ONLINE、2/21)
「鹿島鉄道:来年4月にも廃線 親会社・関東鉄道、来月廃止届提出を表明」(毎日新聞、2/21)
「廃止届提出の意向 鹿島鉄道 社長「維持は困難」」(茨城新聞、2/21)
「鹿島鉄道、3月末までに廃止届」(常陽新聞、2/21)
各紙が報じた内容を整理すると次のようになるだろうか。
○鹿島鉄道の親会社、関東鉄道が2007年4月以降の支援打ち切りを表明。
○支援打ち切りを受けて鹿島鉄道は廃止準備を進める意向を表明。
○鹿島鉄道の動きに対して、同様に支援を行ってきた茨城県と石岡市はじめ沿線自治体は存続を求めた。
○鹿島鉄道と鹿島鉄道対策協議会は来月末まで協議を続けることで一致した。
詳しくは鹿島鉄道問題を詳細に扱っている「Transport Network Blog」さんの記事と合わせてお読み頂ければ、より一層理解が深まると思う。
個人的に気になった所を整理すると次の点だろうか。
○3月末までに実効性のある支援策は打ち出せるのか。
○国土交通省への廃止届の提出は避けられないとしても、それを取り下げさせる支援策を来年度末までに地元が出せるのか。
一つ目については、次項で半ば答えを書いてしまっている。
結論から言ってしまえば3月末までに茨城県と沿線自治体が支援策を打ち出すのは難しいと見る。
まず、行政が年度末を迎え人事異動などで事務が停滞してしまうのではないかという懸念がどうしても拭えない。
従って、年度内に行政が「支援策」のメニューまで作れれば上出来ではないだろうかと見る。
ただ、この時点では具体性は伴っていないから廃線届の提出は避けられないだろう。
年度内で鹿島鉄道の翻意が難しいという前提で二つ目の論点に移る。
2005年度末に廃線届が提出された場合、茨城県と沿線自治体には次の事務が発生する。
・年度末で示されるであろう「支援策」の具体化に向けた鹿島鉄道との協議、廃止届の取り下げ要請
・「支援策」の2007年度予算計上に向けた調整
・(最悪だが)鉄道路線廃止後の代替交通機関の確保
実を言うと、一つ目の事務にかけられる時間はあまりないのではないかと見る。
年度内で結論が出ないという前提で書いているが新年度に入っても実は時間的な余裕はあまりない。
茨城県や各自治体の2007年度当初予算編成開始時期などを考えると、2006年の初夏ぐらいまでが協議に使える時間ではないだろうか。
参考までに岐阜の事例ではどういった経緯を辿ったか、書き出してみる。
2004年3月に名鉄が揖斐線の廃止届を国土交通省に提出、紆余曲折を経て同年7月に岐阜市長による存続断念、2005年3月末に廃止という流れを辿っている。
廃止に至った岐阜のスケジュールを鹿島鉄道に単純に当てはめると、やはり「初夏」が一つのタイムリミットになるのだろうか。
逆に言えば、この時点で茨城県と沿線自治体が鹿島鉄道の存続を可能ならしめる「支援策」を打ち出せていれば問題はなく、逆に調整が不調に終われば代替交通機関の検討が本格化するのだろう。
いずれにしても、時間が足りないことだけは間違いない。
岐阜の事例と違って救いがあるのは石岡市長が「できれば廃線は避けて欲しい」とし、NPOなどがバックについている点が心強く思えるところだろうか。
ただ、そういった動きが「実際に鹿島鉄道を利用している人」にどれだけ届いているかということもまた気にかかる。
茨城県と沿線自治体が鹿島鉄道へ支援をした期間中、利用者は増えるどころか逆に減少している。
「行政」としての支援策が果たして「適切」と言えたかどうか、評価は分かれる所だと思う。
存続させるのであれば、単なる赤字補填ではなく車両や設備の補助に回せなかったのだろうか。
これは補助金の増額を伴うから難しかったのだろうと思うが。
利用者が減少し、鉄道会社で支えきれる限界を超えた所で今回の「廃線表明」に至った訳で、その所を行政もよく考える必要があるのではないだろうか。
個人的には「存続」して欲しいと願っている。
しかし、手厳しいことを言うと行政が「存続」を前提としているのであれば、短期間であらゆる策を講じ、実行していく必要がある。
その覚悟があって「存続」を言っているのだろうか。
関東鉄道の支援分を肩代わりするという単純な発想ではダメだろう。
実際、鹿島鉄道社長はこう言っている。
「会社からの支援がないと、金融機関からの資金繰りが苦しくなる。支援額を肩代わりしてもらえば済むという問題ではない」と。
結局、鹿島鉄道という一ローカル線を地域に再び根付かせ、長期的に利用してもらえるようにするにはどうすれば良いか。
「危機感」を地域で共有し、何ができるのか。
今回の問題は、この点に尽きるのではないだろうかと各紙の記事を読んで改めて思う。
今日の記事はその続報となる。
20日に鹿島鉄道対策協議会の席上で正式に鹿島鉄道から廃線の意向が沿線自治体に伝えられた。
「鹿島鉄道廃止準備へ 来月まで協議」(asahi.com、2/21)
「鹿島鉄道 来年3月末での廃線意向 親会社の援助打ち切りで 沿線自治体反発」(YOMIURI ONLINE、2/21)
「鹿島鉄道:来年4月にも廃線 親会社・関東鉄道、来月廃止届提出を表明」(毎日新聞、2/21)
「廃止届提出の意向 鹿島鉄道 社長「維持は困難」」(茨城新聞、2/21)
「鹿島鉄道、3月末までに廃止届」(常陽新聞、2/21)
各紙が報じた内容を整理すると次のようになるだろうか。
○鹿島鉄道の親会社、関東鉄道が2007年4月以降の支援打ち切りを表明。
○支援打ち切りを受けて鹿島鉄道は廃止準備を進める意向を表明。
○鹿島鉄道の動きに対して、同様に支援を行ってきた茨城県と石岡市はじめ沿線自治体は存続を求めた。
○鹿島鉄道と鹿島鉄道対策協議会は来月末まで協議を続けることで一致した。
詳しくは鹿島鉄道問題を詳細に扱っている「Transport Network Blog」さんの記事と合わせてお読み頂ければ、より一層理解が深まると思う。
個人的に気になった所を整理すると次の点だろうか。
○3月末までに実効性のある支援策は打ち出せるのか。
○国土交通省への廃止届の提出は避けられないとしても、それを取り下げさせる支援策を来年度末までに地元が出せるのか。
一つ目については、次項で半ば答えを書いてしまっている。
結論から言ってしまえば3月末までに茨城県と沿線自治体が支援策を打ち出すのは難しいと見る。
まず、行政が年度末を迎え人事異動などで事務が停滞してしまうのではないかという懸念がどうしても拭えない。
従って、年度内に行政が「支援策」のメニューまで作れれば上出来ではないだろうかと見る。
ただ、この時点では具体性は伴っていないから廃線届の提出は避けられないだろう。
年度内で鹿島鉄道の翻意が難しいという前提で二つ目の論点に移る。
2005年度末に廃線届が提出された場合、茨城県と沿線自治体には次の事務が発生する。
・年度末で示されるであろう「支援策」の具体化に向けた鹿島鉄道との協議、廃止届の取り下げ要請
・「支援策」の2007年度予算計上に向けた調整
・(最悪だが)鉄道路線廃止後の代替交通機関の確保
実を言うと、一つ目の事務にかけられる時間はあまりないのではないかと見る。
年度内で結論が出ないという前提で書いているが新年度に入っても実は時間的な余裕はあまりない。
茨城県や各自治体の2007年度当初予算編成開始時期などを考えると、2006年の初夏ぐらいまでが協議に使える時間ではないだろうか。
参考までに岐阜の事例ではどういった経緯を辿ったか、書き出してみる。
2004年3月に名鉄が揖斐線の廃止届を国土交通省に提出、紆余曲折を経て同年7月に岐阜市長による存続断念、2005年3月末に廃止という流れを辿っている。
廃止に至った岐阜のスケジュールを鹿島鉄道に単純に当てはめると、やはり「初夏」が一つのタイムリミットになるのだろうか。
逆に言えば、この時点で茨城県と沿線自治体が鹿島鉄道の存続を可能ならしめる「支援策」を打ち出せていれば問題はなく、逆に調整が不調に終われば代替交通機関の検討が本格化するのだろう。
いずれにしても、時間が足りないことだけは間違いない。
岐阜の事例と違って救いがあるのは石岡市長が「できれば廃線は避けて欲しい」とし、NPOなどがバックについている点が心強く思えるところだろうか。
ただ、そういった動きが「実際に鹿島鉄道を利用している人」にどれだけ届いているかということもまた気にかかる。
茨城県と沿線自治体が鹿島鉄道へ支援をした期間中、利用者は増えるどころか逆に減少している。
「行政」としての支援策が果たして「適切」と言えたかどうか、評価は分かれる所だと思う。
存続させるのであれば、単なる赤字補填ではなく車両や設備の補助に回せなかったのだろうか。
これは補助金の増額を伴うから難しかったのだろうと思うが。
利用者が減少し、鉄道会社で支えきれる限界を超えた所で今回の「廃線表明」に至った訳で、その所を行政もよく考える必要があるのではないだろうか。
個人的には「存続」して欲しいと願っている。
しかし、手厳しいことを言うと行政が「存続」を前提としているのであれば、短期間であらゆる策を講じ、実行していく必要がある。
その覚悟があって「存続」を言っているのだろうか。
関東鉄道の支援分を肩代わりするという単純な発想ではダメだろう。
実際、鹿島鉄道社長はこう言っている。
「会社からの支援がないと、金融機関からの資金繰りが苦しくなる。支援額を肩代わりしてもらえば済むという問題ではない」と。
結局、鹿島鉄道という一ローカル線を地域に再び根付かせ、長期的に利用してもらえるようにするにはどうすれば良いか。
「危機感」を地域で共有し、何ができるのか。
今回の問題は、この点に尽きるのではないだろうかと各紙の記事を読んで改めて思う。