テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

なるべく分かりやすく!コロナウイルスの事⑧:ワクチンは?特効薬は?

2020年04月06日 | コロナウイルス2020

なるべく分かりやすく!コロナウイルスの事⑧:ワクチンは?特効薬は?



◆まさに瀬戸際です、

この数日の東京都の感染者数、2020年4月、
1日 66人
2日 97人
3日 89人
4日 118人
5日 143人
と、急速に増えてきています、

感染爆発の判断材料として、“感染者が2日か3日で倍増する”という新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長・尾身茂氏の発言がありました、

3日後倍増で見ると、、、

1日66人⇒4日118人は、ぎりぎりのライン

3日89人⇒本日6日が178人以上になると感染爆発のレベルということになります、まさに瀬戸際であります、

【4月8日追記:間違った記述の報告】

上記は、“新規感染者数が倍になる日数”と理解して書いておりますが、どうも“総感染者数が倍になる日数”が正しいようです、スイマセン、ワタシの不勉強による誤記の可能性が高いです、最新の感染者数増加のスピードについては「コロナウイルスの事⑩」で再記載させていただきます、

◆それでも、国内の感染スピードは緩やかに思える、なぜだろう?

感染経路不明の感染者の比率が増えてきている(5日の東京都143名中90名以上が感染経路不明)ので、市中感染が連鎖的に起こっている可能性が高いと考えますが、その割には拡大スピードがまだ緩やかに思える、

なぜだろう?

またもや、日本の衛生習慣(マスク着用率の高さ、手洗いの励行)、社会習慣(握手しない、ハグしない)が功を奏しているという説が頭を過ぎります、(コロナウイルスの事②参照)

香港大学の研究でマスクの有用性に言及されています、

流行初期からマスク着用率が高いと思われる日本には心強い研究結果です、

◆BCGの日本株が効いているという説もありますね、

BCG接種は乳幼児肺結核ワクチンの接種です、

過去に全国民にBCG接種をした国(日本もしている)と、していない国とでは感染拡大スピードが違う!という傾向がみられるということです、

実はBCGワクチンには、これまでもオフターゲット効果(本来のターゲットである感染症以外の感染症に効果がある)があると確認されています、

こちらのサイトが分かり易いです ⇒

BCG接種は『白血球を刺激して無関係なウイルス感染ともしっかり戦えるようになる』ということだそうです、

いくつかある種類のうち“日本株”で接種を行った国での感染スピードが緩やかに見えることが注目されています、

もし、BCG接種に感染拡大抑制効果があるなら、これは日本にとって思わぬラッキーパンチです、

でも、現状は“そこになにか関連があるかもしれない、ということが観察された”、という段階、エビデンスはまだなし、これからの研究に期待です、

ワクチンいつ出来るの?特効薬は出来るの?

何度も書いていますが、コロナウイルス感染拡大を止めるには、『集団免疫獲得』か『完全な封じ込め』でしたが、世界レベルで見ると現段階での『完全な封じ込め』は無理なように思えます、

対策無しの『集団免疫獲得』は犠牲が多すぎるので、少しでも時間を稼ぎ、医療現場の崩壊を避けつつ、少しずつ感染していく、という悲しい現実、

そんな先にあるのが、3つ目の終息の仕方=『ワクチン』・『特効薬』の開発・実用化です、

もう少し詳しくと書くと、以下のような可能性があります、

① ワクチン
② 特効薬(抗ウイルス剤)
③ 既存薬(オフターゲット効果)
④ 抗体検査

などの可能性があります、

ワクチンとは?
弱体化させた病原体を体に入れて軽度の発症を促し、それにより感染症に対抗する抗体を体内で作る方法です、抗体が出来ると病原菌に犯された細胞を抗体が攻撃してくれるので、感染症発症を防ぎます、

天然痘に一度かかると二度と罹らないことが古くから知られており、それをヒントに開発された医療法だそうです、

コロナウイルスのワクチンが開発実用化され、予防接種が世界中で広まると、感染拡大は収まると考えられています、

まさにコロナウイルス感染拡大の切り札です、しかし、、、

コロナウイルスのワクチンの実用化には1年半~2年は掛かると云われています、、、あちゃ、

弱っているとはいえ、病原体をヒトの体内に入れる訳ですから、念には念を入れてその安全性を確認しなければなりません、臨床評価(実際に患者に投与して安全性・効果を確認)に最低でも1年はかかるようです(通常はもっともっと長い!3~7年とか)、

つまり、それまで“時間を稼ぐ”必要があります、なので外出自粛、都市封鎖は相当長期間に渡ると考えます、あと1年か1年半?は掛かりそうです、(オリンピックはどうなるの!?)

もちろん、世界中の製薬会社、科学者が必死に研究しています、早期の実用化に向けて人類の英知に期待しましょう、

特効薬(抗ウイルス剤)とは?
ワクチンが予防施策であるのに対して、『特効薬(抗ウイルス剤)』は直接症状を治す薬です、
コロナウイルスに感染すると重度の肺炎を発症しますが、この肺炎を抑える薬です、

この抗ウイルス剤の開発、残念ながらワクチンよりももっと難しいようです、、、

過去に流行したSARSやMERSに対しても特効薬(抗ウイルス剤)はまだ開発されていません、、、あちゃ、、、

ここで知ったのですが、“ウイルスは生物でない!”そうです、え!?どういうこと、

ウイルスは細菌の1/50程の大きさで細胞を持ちません、自己増殖も出来ないので“生物ではない!非生物”だそうです、なんと、、、

ウイルスは自己増殖できないので、他の生物の細胞に入り込んで増殖します、これが感染状態です、

生物ではない(細胞がない)ので、現在ある抗生物質(細菌などの生物の細胞を攻撃する薬)などはウイルスには効果がないということです、なんと、、、

“細胞を壊す”ことが特効薬の主なアプローチのようなので、細胞がないウイルスをやっつける抗ウイルス剤の開発はワクチン以上に難しいそうです、、、

既存薬のオフターゲット効果とは? 
既存の他の病気治療薬がその目的以外の感染症にも効果があることを“オフターゲット効果”と云うそうです、

今期待されている代表選手はインフルエンザ治療薬『アビガン』(富士フイルム富山化学製造)ですね、他にも『レムデシビル』(抗エボラ出血熱剤)、『カレトラ』(抗HIV感染症剤)などが観察研究(一部治験開始)の対象になっています、

これらの既存薬は、コロナウイルスにもなにがしかの効果がある可能性があるのでは?と期待されているのです、

既存薬ですから、効果が確認されれば即投入できる可能性があり、一定の割合で重篤な患者を救えることになります、ワクチンが出来るまでの中継ぎ役として大いに期待されます、

これも微かな希望、

日本政府は『アビガン』を30カ国へ無償提供するようです、各国で臨床研究データを共有することで早期の効果確認を目指しています、ガンバッて欲しいです、

前述のBCGワクチンも“オフターゲット効果のあるワクチン”と云うことになります、

抗体検査 
さらに『抗体検査』の開発研究も進んでいます、
PCR検査は、現在ウイルスに感染しているのか、を調べる検査です、
これに対して抗体検査は、過去に感染したことがあるか?現在の感染の状態(感染初期なのか、感染してから一定時間が経過しているのか?)、ウイルスに抵抗する“抗体”をすでに獲得しているのか?を調べることができます

治療薬ではないのですが、抗体検査のメリットは感染経験の有無、現状の感染程度、抗体の有無がPCR検査よりスピーディに分かることです、

これが実用化されると“安全に働ける人”が確認できるので、たとえば医療現場の稼働人数を増やすのに有効です、

感染の実態・全体像が分かり易くなるので、感染拡大防止にも有用だと思います、ここらの活用の仕方はこれから研究が必要です、

◆(まとめ)長期戦にはなりますが、

長期戦にはなりますが、戦後世界最大の世界レベル危機、世界中がコロナウイルスに打ち勝つ知恵を絞っています、その成果に期待しましょう、

基本動作(手洗い・マスク)+3密回避(さまざまな自粛)で時間を稼ぎ(もしくは封じ込め)=専守防衛

既存薬のオフターゲット効果、抗体検査による感染拡大の抑制=反撃開始

そして、ワクチンの実用化=終息への反攻

その先にある最終的な流行の終息、、、長期戦ですが諦めずに闘いましょう、

これより短い期間で終息する可能性は、、、“奇跡的な封じ込めの成功”、

日本の衛生習慣・生活習慣+3密回避・外出自粛+BCGのラッキーパンチ+既存薬の活躍、

これらの合わせ技へのかすかな期待があります、

かすかな希望の光です、


コロナウイルスの事⑦ そろそろ日本人も実感しなくてはいけない、闘いの長さと犠牲の大きさは?

2020年04月03日 | コロナウイルス2020

コロナウイルスの事⑦ そろそろ日本人も実感しなくてはいけない、闘いの長さと犠牲の大きさは?

◆まず、対コロナウイルス自粛による経済損失に対する政府の対策、

今週、なにか具体策が出るかと期待しましたが、、、

“布マスク2枚”という奇想天外なアイデアと税制変更(税支払い猶予など)案のみ、

先行きの経済活動を不安視している国民に一致団結を呼びかける強いメッセージが必要なこの時期に、まったく機能しなかった日本政府、残念、、、

都市封鎖に関しても専門家などからの提言があるものの、政府はグズグズしているだけにしか見えない、

まるで『まだ安全ですから大丈夫』と云っているかのような官房長官のコメント、、、

ま、政府の悪口を書いても何も生まれないので、これはここまで、、、

◆本当に起こる医療現場の崩壊、そして死亡者の増加、

米国が相当疲弊しています、

またドイツもここまでよく頑張ってきましたが、ここに来て“医療現場の崩壊”が近づいてきているようです、

トランプ大統領が3月31日に発表した米国内の想定死亡数、

なにもしないと150万~200万人が死亡、これを10万~24万人に押さえ込みたい、と発表しました、

とんでもない数字です、これだけでもコロナウイルスの恐ろしさがよく分かります、

数字の根拠についての推論は後で書きますが、

まず、ここで学ぶべきは、少なくともトランプ大統領は国民に対して“想定される犠牲の大きさを共有した”ということかと思います、

日本政府は未だに“ぎりぎり踏ん張っている”“長期戦を覚悟”と曖昧な状況説明しかしていません、

そろそろ具体的な数字や期間を示して、国民にコロナウイルスのほんとうの怖さを伝えるべきではないかと思います、

もちろん、不用意な情報発信で国民がパニックに陥ることは望みませんが、そろそろ、“どの程度の期間(長さ)で、どの程度の犠牲者(死亡者)が出るのか?”、

それとセットで思い切った経済対策、そして今最も必要な国家のトップとしての国民への強いメッセージを発信して欲しいと切に願っています、

◆米国の想定数字の根拠は分かりませんが、、、

これは一応、前にも書いた集団免疫の考え方、つまり“70%で集団免疫、死亡率1%”で説明できるようです、

米国でなにもしなかった場合、
米国総人口3億2700万人×70%感染で集団免疫=2億2890万人×死亡率1%=229万人

比較的近い数字が導かれます、ひょっとすると“集団免疫”理論で導かれているのかもしれません、もちろん、もっと細かな関数がいろいろあると思いますが、

この死亡者数を1/10程度の10万~24万人に減らす努力をする(これが闘い)とトランプ大統領は云っています、

これがトップの宣言です、

これを単純に日本に置き換えると、なにもしなかった場合、
人口約1億2600万人×70%感染で集団免疫=8820万人×死亡率1%=88万人が死亡、という数字になります、

当然さまざまな対策が施される訳ですから、ここが最大値、現実の死亡者数はもっと減ります、

米国よりも高度な医療体制が日本にはあると信じて、もっと低い数値に落としてほしいものです、

それでも、3万人~8万人程度の人が犠牲になる可能性があります、

ここのところに対する覚悟と対策を日本のトップに宣言して欲しいと思っています、

◆コロナウイルスの死亡率は、、、現状ではよく分からない、

上記の想定式でもっとも重要な関数の1つが死亡率です、

2020年1月頃には“コロナウイルスの死亡率は1%前後”と云われていたので、それで上記試算を行っていますが、

正直、現状では死亡率に関しては良く分からない、まだ母数も少ないし、各国によって数字が違い過ぎます、

最も状況が悪いイタリアでは死亡率が10%近くに達しています、以下、4月2日現在でスペイン9.1%、中国4.0%、米国2.4%、

日本は2日夜の時点で感染者数3475人、死亡者数83人、死亡率2.4%です、

おそらく国毎の医療体制、人口構成(高齢化率)、衛生環境、生活習慣などが影響していると思われます、

でも、もし死亡率が想定の1%より高いとなると、上記の試算よりももっと死亡者が増えるということになります、、、これマズい、、、

◆コロナウイルスの死亡率は0.66%?

CNNが3月30日に、医学誌の論文を引用して『コロナウイルスの死亡率は0.66%』と伝えています、

CNNのサイトより抜粋転載

新型コロナウイルスに感染した患者の死亡率は、検出されないこともある症状の軽い患者も含めた場合、約0.66%と推定され、今月上旬に公表されていた推定より低いことが分かった。ただし、インフルエンザの死亡率0.1%に比べるとはるかに高い。

検出されていない感染者を除外すると、新型コロナウイルス感染症の死亡率は1.38%だった。

米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は今月上旬、新型コロナウイルス感染症の死亡率は約2%とする推計を公表していた。ただしこの数字は報告された症例のみを対象としていることから、無症状や症状が軽い感染者を含めれば、実際にはもっと低い可能性もあると指摘していた。

今回の調査では、症状が出て検査を受けた人に限らず、感染者全体に占める死者の割合を算出した。

死亡率は高齢者の方が高い傾向があり、80歳以上の死亡率は約7.8%だった。一方、9歳未満の子どもの死亡率は0.00161%と極めて低い。40歳未満では0.16%だった。

(抜粋転載ここまで)

つまり、ここで云う死亡率は確認された発症者が母数ではなく、おそらく感染しているであろう(でも確認されていない)人を母数にしているようです、なるほど、如何にも科学的です、

でも、やはり高齢者の死亡率は高いようです、

◆日本は世界一の高齢化社会、

イタリアの死亡率が高いレベルで推移しているのは高齢化社会が原因ではないかと云われています(他にも医療体制の脆弱さも指摘されています)、

知らなかったのですが、お隣の韓国はそんなに高齢化社会ではないそうです、

CNNのサイトより抜粋転載

イタリアの人口構成は世界の大半の国々とかなり異なっている。2015年の国連の報告書によれば、同国の人口の28.6%は60歳以上だ(33%の日本に次いで世界で2番目に高い割合)。これに比べ、韓国では60歳以上の人口は全体の18.5%と、世界で53番目の水準になっている。

(抜粋転載ここまで)

世界一の高齢化国日本、、、

やはり日本では高齢者に対する手厚い対策が必要なようです、

◆さて、死亡者を減らす方法論は?

とにかく、感染爆発が起こったら、“救える命を救う”ことが最優先事項になります、

そのためには医療現場の崩壊を防ぐ=感染者数のピークをコントロールする=都市封鎖などの強い規制、という流れになっています、

残念ながら、経済の維持は一時的に諦める(そのため、国の対応策が重要になる)、もしくは部分的に動かしてみながら感染者数増加を抑える、という感じでしょう、

【これからの重要な対策の重要関数】

① 重篤な患者へ高度な医療を集中することで死亡者数を減らす
医療体制の強化=重要関数:医療従事者数、病床数、人工呼吸器数、トリアージ体制、一体化した医療情報共有体制

② 感染者数自体を減らすことでピークを低く、とにかく時間を稼ぐ
クラスターの発生を抑制=重要関数:基本動作(手洗い・マスク)、外出自粛、リモートワーク、学校休校や部分休校、そして都市封鎖

◆この闘いはいつまで続くのか?

さて、日本政府が示さなければならない重要な情報で、未だ欠落しているのが、“この闘いがいつまで続くのか?”という情報です、

これについて、具体的なことはまだ何一つ発表されていません、目途の無い闘いに勝算はありません、国民は疲弊するだけです、早急に教えて欲しいです、

以下はワタシの『独酌酔言』です、まだよく分かりませんが、

この闘いが終わるのは、ワクチンが世界に行き渡った時、、、だと思っています、

政府や東京都、JOCは“2021年のオリンピックの開催時期”について熱心に語っていましたが、それより前に“コロナウイルス感染拡大の終息時期”についてもっと関心を持つべきでした、

世界中から選手が集まるオリンピック、開催の絶対条件は“世界中の人々がワクチン接種を受けてコロナウイルスの感染拡大が止まった”ことが確認されることです、

現在、ワクチンの実用化には1年から2年掛かると云われています、

2日のTVでWHO日本人職員の方が18カ月程度とも発言されていました(お名前失念)、

このタームを極力短くすることがとても重要です、

オリンピック開催にとって重要と云うよりも、死亡者数の激減に繋がるからです、ワクチンが実用化されるまで死者は出続けます、

ワクチンが実用化された時、初めてこの闘いが終わる可能性が見えるからです、、、

【これからの重要な対策の重要関数】
③ この闘いを終わらせる=重要関数:ワクチン開発はもちろん、既存薬の臨床承認、抗体検査開発などのスピード

必要以上に悲観的にならず、闘うしかないです、、、


コロナウイルスの事⑥:日本の都市封鎖は命令ではない!?ならばこそ、民主主義的に一致団結しましょう。

2020年04月01日 | コロナウイルス2020

コロナウイルスの事⑥:

日本の都市封鎖は命令ではない!?ならばこそ、民主主義的に一致団結しましょう。

事態が急速に進展しているように思えるので、このシリーズも連投、連続投稿です、

ここまで、なんとか持ちこたえてきた日本ではありますが、さすがに感染爆発の脅威が迫ってきているように感じます、

要因としては、

『海外からの帰国者による感染』が増えた(第2波流行)のに加えて、

『3月20日~22日の3連休での外出自粛の緩み』が重なり、

さらに『若者』と『夜の店での感染』が増えている可能性があります、

感染~発祥~検査~感染(陽性)確認まで2週間程度のタイムラグがあるので、

3月の3連休時の感染拡大の実態は今週末、4月3日~5日頃の新たな感染者数が一応の目安になります、

今週末に感染者数が激増するか否か、感染爆発が起こるのかどうかの分かれ目だと思います、

もし、感染者が急増したら、海外同様の都市封鎖が東京で実施される可能性があります、

今日のテーマはこの“都市封鎖”、

同じ言葉で表されますが、日本の場合、法的な事情で海外とはずいぶん様子が違うようです、

中国武漢に始まり、イタリア北部の各都市、そして今や欧州全体、米国NYにも広がっている都市封鎖、

メディアで報じられているように、海外では罰則を伴う“外出禁止命令”や“強制的な店舗休業命令”が出されています、これらは禁止命令です、

日本の場合は、、、

強制的な“外出禁止命令”や強制的な“店舗休業命令”は出ません、法的根拠がないためです、

日経ビジネス3月30日付け記事に書かれていますが、、

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく緊急事態宣言によって、都道府県知事が外出自粛の「要請」、学校や福祉施設などの使用制限に関する「要請」や「指示」が可能になる、、、

ということです、

外出自粛はあくまで「要請」です、店舗休業も同様です、命令ではありません、

学校などの使用制限や、一部施設を感染防止対策に使用する際は、「要請」ともう一段強い「指示」ができるようです、

他に「感染症法」での対応もメディアで紹介されていますが、これは時間的・地理的に非常に限定された狭い場所の生物学的汚染を前提にしているので、都市封鎖という施策には適用できないようです、

海外の都市封鎖の法的根拠になっている法律に比べると緩いように感じますが、これは日本が上等な民主国家である証でもあると考えたいです、

仮に命令でも禁止でもなく、罰則もないなら、都市封鎖の要請が出た場合、

日本政府はどんな対応をとるべきなのか?日本国民はどんな対応を取るべきなのか?

これを書きたいと思いました、ここが今日の「独酌酔言」の肝です、

以下に3つの可能性を示します、

A. 『禁止じゃないんだったら、命令じゃないのなら、開いている酒場を探して呑みに行こうぜ!』

これが最悪です、呑みに行く方も、店を開けている方もアカンやつです、
昨日書いたように、「医療現場の崩壊」を避けるためには、感染拡大のスピードを緩めて、ピークを低くコントロールする必要があります、
これを実現するために国民は様々な制約に自主的に甘んじるべきと考えます、

B. 『新たに強制力を持った法律を至急作るのが良い!国会は法律を作るのが仕事の立法府だから、速やかに強制力を持つ新しい法律をつくろう!!』

これはまあ正論です、こういうスピード感がないのが日本の欠点、ここでサッと頑張って法律を作るのも良いかと思います、、、

が、この場合、アレルギーもあります、その新しい力のある法律が悪用されないようにハザードがしっかりしていないといけません、事ある毎に国民に強制的な行動を押し付けることが出来るようになると民主主義の根幹に関わります、

それでなくても、我が国のトップは勝手に法解釈を変えたり、文書改竄を容認したりする悪癖があります、ここは慎重にならざるを得ません、

C. 『日本国民が民主主義的な意識の上に一致団結してコロナウイルスと闘う!!』

“民主主義的な意識の上に”というところが少々まどろっこしいですが、、、

これがないと“国民が一致団結して難局を乗り切ろう”と、なにやら先の大戦でのスローガンに聞こえてしまうのが嫌で、、

今回の一致団結は、第2次世界大戦時の『進め!1億 火の玉だ!』とか『1億総玉砕!』とは違うということです、政府のプロパガンダに踊らされたくありません、

良い例があります、この厄災に対峙したドイツのメルケル首相が3月18日にドイツ国民に対して行ったTV演説です、

メルケル首相の3月18日の演説全文と映像はこちら ⇒
(公式な邦訳が見つかりませんでした)

この演説でメルケル首相はとても重要で素晴らしい発言をされています、

ぜひ、全文を読んでいただきたいですが、ここでは抜粋します、恣意的ですがお許しください、

(メルケル首相の言葉 3か所を抜粋)

開かれた民主主義に必要なことは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。

 

東西ドイツ統一以来、いいえ、第二次世界大戦以来、これほど市民による一致団結した行動が重要になるような課題がわが国に降りかかってきたことはありませんでした。

 

私たちは民主主義社会です。私たちは強制ではなく、知識の共有と協力によって生きています。これは歴史的な課題であり、力を合わせることでしか乗り越えられません

(抜粋ここまで)

全文を読めば分かりますが、彼女は非常に丁寧に、細部にわたっての心遣い(医療関係者やスーパーマーケットの従業員への感謝)を国民に示しながら、

誠実に分かり易い言葉で、強い禁止事項の説明や協力要請を行っています、

とても、“民主国家のリーダーとしての自覚と自負”に溢れています、

“民主国家はコロナウイルスに打ち勝てるという強い信念”に貫かれています、

そしてなにより“民主国家を支えているドイツ国民に対する慈愛”に満ちています、

これが、国家的危機を迎えた時のリーダーシップであると強く感じました、

ドイツ国民はこの演説を聞いて奮い立ったのではないでしょうか?

今こそドイツは一つになるべきだ!!と、、、

ドイツの歴史や国民性を考えるとその可能性は十分あります、

彼我を比べると、もう云わずもがなです、

都市封鎖を始める時、我が国のトップはこういう知的で強くて優しいメッセージを発することが出来るのか?

難解な単語が並ぶ空虚な官僚の作文を、ディベートか演劇部の学生のように読み上げるだけで、日本は民主主義的な意識の上に一致団結できるのか?

でも大丈夫、

トップがどうであろうが、国民は民主主義的意志のもとに一致団結して闘う事が出来ます、

4つ目の可能性があります、

D. 我が国のトップがどんな演説をしようが、そんなことはお構いなく、

『もう、これ以上感染拡大のスピードは早めないぞ!』という意識を持って、強制ではない民主主義的都市封鎖に出来る限り協力する、

ということは誰にでも出来ます、民主主義的な一致団結です、

もうトップの演説の悪口なんか云っている時間は無いかもしれません、

それはまた次の選挙で意志を示すしかない、

もし、東京で、他の都市で都市封鎖が行われたら、出来る限りの努力をして“感染拡大のスピードを緩める”ことに協力したいと思います、

感染爆発が起こると、もう正面からコロナウイルスと闘うという選択肢は無くなります、

長期戦をつきあいながら被害を最小限に食い止める策を講じるしかありません、

冒頭に書いたように、今週末の感染者数の推移が最初の関門です、

そして次は、都市封鎖で失われる経済活動をどうして守るのか?という難題です、

これもまた政治の課題です、、、これはまたあらためて、、、

これまでの記事、

その①:『致死率1%を前向きに』『医療現場の崩壊だけは避けたい』はこちら ⇒

その②:『長期化は避けられない』『マクロ戦略は封じ込め』『ミクロではきめ細かい対応を』 ⇒

その③:正念場です!!日本でなぜオーバーシュートが発生していないのか?理由は分からないそうです!

その④:コロナウイルスの事④:日本のPCR検査数が少ないのはなぜか?そして、日本の感染者数増加が緩やかなのはなぜか?

その⑤:絶対に避けたい「医療現場の崩壊」日本の医療体制体力はどのくらいあるのか?