庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

バイオ燃料は途上国に対する産業支援になる。 

2009-10-20 | バイオ燃料・バイオマス
自動車や航空機、船舶に使用している石油資源は、一部の産油国に埋蔵が限られている。
その輸出によって稼ぐお金で、いわゆるオイルマネーとして、世界中に広まることで、バブルを生み出す要因にもなっている。
気候変動の原因にもなり、石油価格の変動は世界の経済に大きく影響して、需給のバランスが取れなくなれば、すぐに経済の破綻を引き起こす。
21世紀は、石油の消費を削減することが世界共通の課題であり、日本にとっても急務である。

その代替燃料にバイオ燃料の課題が浮き上がって久しいが、一般にはほとんど実情が伝えられていないし、誤解も多いので、ここで一度おさらいをしておこう。
バイオ燃料というと、すぐに自動車のガソリンの代替になる「エタノール(エチルアルコール)」が連想されるが、これは、一部の話にすぎない。
エタノールはガソリンエンジンを使った乗用車か小型のトラック用に限定される。
それは、今はサトウキビを栽培して作るのが一番経済的で優れている。
ブラジルではこのサトウキビ栽培を砂糖の増産とあわせて、国策として実施して30年以上も継続して、今では、ブラジル国内の自動車用燃料の半数以上を「サトウキビエタノール」で賄っている。

アメリカはサトウキビから作るのではなく、自国内で大量に栽培されるトウモロコシからエタノールを作っている。
トウモロコシの成分のでんぷん質をいったん糖化させて、それからエタノールに発酵させるので、製造段階で消費するエネルギー量が多くなる欠点がある。
あるデータでは、100のエネルギーをもつ「トウモロコシエタノール」の製造には、80のエネルギーを消費するといわれる。
大変、効率の悪い作り方であるが、アメリカ政府は石油の輸入量を減らすのが国策上の急務であったので、そんなことは無視してトウモロコシエタノールの増産政策をとっている。

その影響もあって、2008年にはトウモロコシの国際取引価格が急上昇をしてしまった。
トウモロコシの作付を増やすために大豆の栽培地を減らしてしまい、大豆も大幅に価格が変動した。
このような問題が発生したので、「バイオ燃料」は穀物の価格を急上昇させるので、使うべきではないと、穀物の輸入に頼る途上国からは大きな反発がでている。
今は、食糧作物からバイオ燃料を作るのは避けるべきとして、いろいろな代替策が研究されている。

一方、エタノール以外のバイオ燃料をみると、航空機用の燃料を代替する研究がおこなわれている。
航空燃料は石油の中の灯油成分「ケロシン」だが、これに近い成分のバイオ燃料を開発している。
この原料には、パーム油(油ヤシ)から作ることもできるし、最近では、「ヤトロファ(南洋あぶらぎり)」から作ることが関発されて、事業が検討されている。
これは、食糧になる作物が栽培出来ないような痩せた土地でも育つので、荒廃した土地の利用に適しているとされている。

農業開発に失敗したような土地でも栽培ができるので、貧困にあえぐ途上国での新産業として育成することにより、雇用創出と燃料製造、輸出によって外貨を得る有益な手段になり得る。
このようなバイオ燃料を開発し、利用を拡大することは、貧困の途上国に支援策として役立つ。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。