日本が現在のような政治的な活力不足と、将来展望のない状況に陥ったのは、民主主義の機能が不完全であるからだ。
1995年の「日本的経営の将来」の提言に沿って、勤労者の環境を一気に悪化させた失敗が大きいが、それに追従した企業、地域も問題だ。
本当の豊かな生活を目指すならば、もっと地域特有の視点や提案があっても良いのだが、中央集権的な効率性ばかりを優先してしまった。
地方分権、地域主権など、分権化の掛け声は多くても、実際に多様性を認めない風潮で、中央の内閣府の方ばかりを重んじてしまう。
安倍一強の体制となって、他の勢力の活力は影を潜めてしまい、ヒラメメンバー、忖度側近、イエスマンばかりに権限が集中する。
選挙さえ勝っていれば、成果の方はデータを都合の良いように加工して、マスメディアには適当に説明すれば済む、と考えている。
これでは、多様な意見や提案がある各方面の知恵が、黙殺されることになって、日本の活力が集結できないのは明らかだ。
中央集権の権力さえ握っていれば、日本を安定的に統括できると思い込んでいるようでは、民主主義のリーダーではない。
『広く会議を興し、萬機公論に決すべし』といった、先人の知恵を軽視する傲慢な政治姿勢が、日本を衰退させるのである。
国民に理解できる対話を繰り返して、その熟議のうえでの決断を実行に移して実現することが、長期的な国創りの基本である。