ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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マックで暮らすホームレスギャルを語る講演会に潜入!

2014年01月23日 | Weblog

 平成二十五年十ニ月十五日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「潜入! ウワサの現場」で記事
 
「マックで暮らすホームレスギャルを語る講演会に潜入!」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

  格差社会といわれて久しい。かつてとは違い、最近は若者の男性ホームレスも増えている。例えば13年6月28日付のNHKニュースによれば、昨年度、全国の自立支援センター(東京、大阪など10都市に設置されたホームレスのための施設)に支援を求めたホームレスは4354人で、このうちなんと30代以下の人は33%、1421人に上ったという。ホームレス自立支援法の成立した02年度は13%だったが、年々増え続けており、はじめて30%の大台を超えた形だ(NHK調べ)。

 そうした中、女性の若者ホームレスも実は都会に多い。そのことを語った講演会が先日あった。「漂白される少女たち~ジャーナリストが見た子どもの性産業~」と題し、ジャーナリストの開沼博氏が12月7日、東京都港区内の女性就業支援センターで講演したものだ。主催はNPO法人しあわせなみだ。現地へ向かった。会場は約40人が参加。そのうち30人は20、30代の女性だった。

 講演で開沼氏は、以下のようにホームレス少女について語った。

 きっかけは、都心のファーストフード店に行くと、深夜に寝ているホームレスに混じって、少女たちもみかけることがある。開沼氏は「この人たち、何なのかなぁ」と前々から思っていたが、ある日、実際に少女2人に話かけられる機会があった。

 場所は東京都豊島区・池袋のマクドナルドの2階喫煙席。時間は深夜1時。少女の名はリナとマイカ(仮名)。

 リナは、豹柄のジャンパー、ジーンズ生地のミニスカート。マイカは紫色のビニールジャンパー、黄色のミニスカートという格好だった。年齢は見た目は10代後半ぐらいだが、肌は荒れ、髪は茶髪でボサボサ。

 話を聞いていくと、リナとマイカはお金がないときはマクドナルドに泊まっているという。たしかにマクドナルドであれば、100円で朝まで粘ることもできる。だが、それにしても、多少のお金は必要だ。それに2人は携帯電話も所持している。一体どうやって稼いでいるのか。

 その点を質問したところ、「移動キャバクラ」を立ち上げて仕事をしているのだという。その内容はこうだ。

 彼女たちは、繁華街の喫煙所でタバコを吸っている飲み会帰りの会社員などに声をかけ、ライターを借りる。そして、「いけそうな空気を感じたら」、移動キャバクラの名刺を渡し、和民や庄屋などの普通の居酒屋に行き、キャバ嬢のように接待し、お金をもらう。大体5千円~1万円だという。

 客によってはラブホテルに行くこともあるが、そのときは必ず彼女たち2人は一緒に行動するようにしている。危ない目に遭わないためだ。ホテルでは、ただ話をして寝ることもあれば、売春をするときもあるという。

 お金がたまると、カプセルホテルでサウナに入る。それ以外の日は、もっぱらマックか、客とラブホテル。

 移動キャバクラの売上は週に3~5万円程度あるが、ホストクラブに行ったり、服を買ったりして、すぐに使い果たしてしまうのだという。

 それにしても、なぜ、普通のキャバクラではないのか。その理由を聞くと、2人は1度、キャバクラで働いていた。リーマンショックの前は、金融業を中心に景気が潤っていて、1回席に着いたら客は1時間1万円払っていたが、今は3千円で入れる状況。さらにガールズバーという店もでき、1時間2千円くらいで飲めてしまう時代になった。そういうところで働くと結局、時給1500円~2000円程度で勤怠管理は厳しく、ちょっとでも遅刻したら罰金を取られたり、客がいないのに待たされて、その間は給料が支払われなかったりで、生活していけないから、自分たちでやろう、という思いに至ったのだという。

 次に開沼氏は、二人の生い立ちを聞いた。リナは、1991年8月、大阪府堺市で生まれで、父は日本人で、母はフィリピン人。5歳のときに両親は離婚し、母はフィリピンに帰り、父に育てられた。しかし、父は、焼酎いいちこを1日3本も飲むほどアルコール依存症で、暴力を振るい、いつも全身みみず腫れだった。その後、リナはドラックにはまり、ぐれていった。

 一方、マイカは、リナと同い年で、大阪市西成区出身。中1から援助交際を始め、稼いだ金をホストクラブで使い込み、300万円借金して取り立てられて、逃げるように東京にやってきたという。

 上記の話を会場にしたあと、開沼氏はこう語った。「現代は、色々な問題が、自己決定、自己責任の名のもとにおかれている。彼女達のようにだらしのない格好をして生きているのは『お前らが努力を怠っているだけだろ』と。だが、果たして本当にそうだろうか。自己責任、という話をしていても、問題は解決しない、というのが私の見解です」

 そして、「現代は自由で平和。統計データをみていくと、たとえば、日本は自殺者が3万人を超えひどいことになっている、とよくいうが、人口当たりの自殺率でみると実は極めて少ない。実は戦争が終わってすぐの頃の方が自殺率や犯罪率は高かった。軽犯罪や殺人、少年の凶悪事件などの数字はすごい減っている。そういった意味では、平和な社会。例えば、今ほど情報の行き来、身体の行き来もできて、格安航空券もあり、2、3万円あれば海外旅行もできる時代はなかった。国民生活時間調査報告書という統計データをみても、40年にわたって自由な時間が常に増えている」と前置きして、こう語った。

 「でも、それにもかかわず、私たちは、自由や平和が失われている、と感じ続けていいる。その正体は何なのか」と疑問を投げかけ、こう結論付けた。

 「一見、表面的には綺麗になっていて、クリーンで便利で平和な生活を送っている、という状況だが、しかし、よくよく目を凝らして見ると、そこの汚れは、きれいに色だけ抜かれただけであって、もとからある構造は思いっきり残っていたり、あるいは、以前よりもひどい構造になっているにもかかわらず、それを私たちは認識できないでいる状況にあるのではないか。それは「漂白」という言葉で言い表せさます」

 氏のいうように、まるで世の中に存在しないかのように「漂白」された不条理に目を向けていく必要があるのではないか。(佐々木奎一)

 

 写真は、開沼博氏。

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