ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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仕分けで中止した豪華公務員宿舎が着工に…

2011年11月11日 | Weblog


 2011年9月2日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号

「朝刊ピックアップ」で記事

「仕分けで中止した豪華公務員宿舎が着工に…」

を企画、取材、執筆しました。

 
 キーワードは「宿舎」…。
  

 9月2日付産経新聞に「凍結の国家公務員宿舎建設着工 『お手盛り』地元住民反対『震災復興に資金回せ』」という記事がある。これによると09年の事業仕分けで「宿舎を提供しなければならない合理性はない」として凍結していた国家公務員宿舎の建設工事が昨日、埼玉県朝霞市で始まったという。

 この宿舎の敷地は、もと米軍キャンプ地で、現在は緑が生い茂る森。そこに13階建て2棟の宿舎(全850戸、総事業費約105億円)を2013年6月に完成させる予定という。

 被災地には仮設住宅にも入居できない被災者がまだ約4千人いるなかで工事が始まったことついて、地元の市民団体「朝霞基地跡地利用市民連絡会」の大野良夫代表は「衣食住にも困っている被災地を差し置いて、宿舎を建設するのは許されない」と怒りの声を発している。

 被災地だけではない。けさの東京新聞によると、失業で住まいを失った人たちに給付している「家賃手当」(東京23区の場合、家賃として月5万4千円を6ヶ月間支給)が今年度末に打ち切られるという。

 さらにけさの産経新聞の記事「25年度に『消費・所得』同時増税の恐れ 家計負担年12万円増」によると、野田佳彦新政権は近く増税議論を始める予定という。同記事によると「最悪の場合、2013年度に所得税の復興増税と消費税率引き上げが同時にスタートする可能性がある」という。仮に所得税の10%定率増税と消費税率3%引き上げを実施した場合、年収700万円の標準世帯の負担増は年約12万円。「消費が一気に冷え込み 、日本経済が深刻なダメージを受けるのは避けられない」と分析している。 

 不況と増税、住宅手当の廃止など国民が路頭に迷う要素が満載だ。そんな国民生活を省みず、わが世の春を謳歌しているのが、激安家賃に宿舎に住む国家公務員たちといえよう。


 
 そもそも国家公務員宿舎は冒頭の朝霞の宿舎だけではない。全国になんと約21万戸もある。その家賃は六本木や青山、赤坂といった都心一等地でさえ、異様に安い。宿舎の家賃を定めた「国家公務員宿舎法施行令」によると、東京23区の55平米未満の部屋が1平米当たり536円。なので50平米の部屋でも、家賃はたったの2万6,800円。相場の5倍以上違う。駐車場も1平米400円なので、1か月4千円超にしかならない。しかも、敷金、礼金、保証金といった初期費用も一切なし。

 この国の“官尊民卑”の体質は、住宅政策にくっきり表れているといえそうである。

 唯一この体質を法律で変えることができるのが国会議員なのだが、その議員たちは「赤坂宿舎」という国家公務員以上の高級住宅に住んでいる有様だ。まずは国会議員が範を示して議員宿舎を廃止し、その上で国家公務員宿舎も廃止する。そうすると初めて、月々の家賃や住宅ローンの支払いに苦しむ国民の側に立った政治が行われるのではないか。


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